【感想・ネタバレ】いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学のレビュー

あらすじ

いつも時間に追われていて、思うとおりに物事が片付けられない。それなりの収入はあるのに、目の前の出費のために、借金を重ねてしまう。ダイエットをしようとたびたび取り組むけれど、長続きしない。人の気を引こうと熱をもって話しかけるが、いつも相手はつまらなそうなだけ。薬を処方通りキチンと飲まないから、いつまでも治らない。こうした、同じ状態から抜け出せない人は多いですが、じつはこれらはすべて、必ずしもその人の資質によらない、ある共通の要因がもとで起こっていたのです。さまざまなめざましい実験・研究成果を応用し、期待の行動経済学者コンビが初めて世に贈る一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

行動分析学に詳しい方推薦図書。時間がないということに対する思考や行動と、お金がないということに対する思考や行動が似ていることがこの本からもよくわかります。欠乏状態によるメリットやデメリットを考えると、多少集中力がアップすることがあっても、欠乏のままいくのではなく、ゆとりへと捉え方を変えていく方法のほうが、人生や仕事で効果的なことが多いと思います。病院でも、手術室を一部屋あけておくことで、急患の受け入れ、スタッフの余裕、対応の余裕が生まれて業務の効率、売上貢献という成果につながった例など、とても興味深い。

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2016年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お金や時間がない欠乏状態は、無意識のうちに人間の処理能力を奪っていると言う事実に驚かされた。
この本はまさにこの1つの大きな事実をたくさんの事例と共に詳しく説明しているものであり、少し冗長的であるかもしれない。ただ、この1つの事実が様々なことに繋がっていくところがとても面白い。
結論に書かれているが、まず欠乏とは豊かさのときに土台が作られる。そして、スラックがなくなると突然現れるショックにより欠乏が訪れる。欠乏状態になってしまうと、人はトンネリングを起こし、大事なこと以外が見えなくなり、かつ処理能力が落ち、ジャグリング状態となって、欠乏の罠に陥る。
こうならないためには、豊かさのあるうちにスラックを維持し、できないのであればそうできるように仕組み化する。何より、人はゲームのMPのように処理能力が常に変化していることを意識して、その量と使うタイミングを考慮することが大切である。
仕事にもプライベートにも使える非常に有益な本であった。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

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いつも「時間がない」あなたに/センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール

最近、仕事が多忙になってきて、あー、忙しいなぁ、時間が足りないなぁと思っていたところ、この心理状況のプロコンって何だろう?と思い、手に取った本。

この本は様々な実験から、時間のみならず、金銭面でも、人が欠乏を感じた時の心理的影響と生産性の変化を分かりやすく教えてくれる。

この本のキーワードは、"スラック"、"トンネリング"、"ジャグリング"である。
スラックとは、余裕があることを指す。大きな旅行カバンだったら、必需品以外も入れることができ、お土産用のスペースができるかもしれない。これがスラック。
トンネリングとは、トンネルに入ると抜けた出口から入る光が見え、それ以外は真っ暗で見えない。人は予定が詰まっている時、急用に追われている時、目の前のタスクにしか目にいかず、他の要素は見えなくなる。この状況をトンネリングと呼ぶ。
ジャグリングは忙しい人は一つタスクが完了したとしても、すぐ次の急を要するにタスクを処理しなければならず、急用の連鎖を意味する。

どんな人も逼迫する状況では、トンネリングが発生する。重要な要件があっても先延ばししていると、目の前のタスクが終わったら、その重要な案件の締め切りが来る。ジャグリングが発生する。
これを防ぐためにはスラックが重要である。

スラックを作ることで効率的になった事例、研究結果がとても面白かった。

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2020年12月12日

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欠乏は、お金であろうと時間であろうと食糧であろうと欠乏したものへの集中力の向上を生みだすとともにそれ以外のことの処理能力の低下を生みだす。トンねリング効果。
欠乏への対処、欠乏を起こさないように豊かなときに取り分けておく仕組みを作る。
欠乏とともに処理能力の低下を計画の際に考慮する。メールチェックを先にしない。処理能力の高い状態を割り振るべきタスクを選択する。

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2015年08月07日

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人は、足りないと感じているものに心を奪われてしまう。他のものが目に入らなくなる。処理能力が低くなる。

人間関係の失敗は、そこに起因するように思える。

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2015年04月10日

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ネタバレ

タスク管理の本のようなタイトルだが、内容的には時間に限らず金銭も含めた「欠乏」の対処法。正論ではあるが凡庸な内容。経済的な欠乏が認知能力の欠乏にも繋がるという箇所以外は読む価値がどの程度あるのかやや疑問?

・欠乏は心を占拠し、満たされないニーズに心を向ける。空腹の場合は食物だし、多忙の場合はやらなければならないプロジェクトだ。

・欠乏にもよいところはあり、注意を他から奪い去ってひきつける。締め切りがあると集中できるのはそういうことなのだが、締め切りがあるふりをして、自分をごまかして一生懸命やるのは難しい。

・欠乏状態になると、トンネル効果がおこる。
例えば、「白いものをできるだけたくさん挙げてください」と言われるのと、「白いものとして雪や牛乳があります。他にどんな白いものを挙げられるか考えてみよう」と言われたのでは後者の方が難しくなる。これは白いものを考え始めた時に、その代表的な例である雪や牛乳に考えが戻ってくるからで、心理学的には「抑制」とよばれるものの理教である。一つのものに集中すると競合する概念が抑制される。
トンネルの中にはいると重要だが緊急でないことなどをトンネルの外に追いやって先送りしてしまうので、トンネルを抜けると次のトンネルに入るという悪循環(ジャグリング)に陥る。

・様々な種類の欠乏は共通した基盤があり、例えば貧しい人たちに金銭にまつわる心配が生じると、ひどい睡眠不足と同等かそれ以上の認知力が損なわれる。(金銭的に余裕のある人にはこういう効果はみられない)

・これを避けるためにはスラック(スーツケースの中の空き部分のような余裕)を作る。最初から意図的にスラックを作っておく。これという理由もなく、スケジュールに余分な空きを野押しておく

・長い期限はトラブルの元になる。初めのうちの豊かさが無駄を促し、期日が近づくころにはトンネリングとほったらかしが生じている。長い期限を段階的にいくつかに区切ると悪循環になる前に断ち切ることができる。

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2016年04月28日

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