あらすじ
母が精神科に通い始めたとき
私はまだ4歳でした――。
31年間の想いが詰まった感動のコミックエッセイ!
これは、精神病にかかったお母さんを持つ、著者の実話を描いたコミックエッセイです。
近年、「うつ」という言葉が一般に浸透したことで、
実は、とても多くの人が心の病気で悩んでいるということが明らかになりました。
著者のお母さんもその一人……。ただし、診断の結果は「うつ」ではなく、うつに次いで多い「統合失調症(トーシツ)」です。
昔は「精神分裂病」と言われていたこの病気、なんと100人に1人の割合で発症しています。
これはがん患者と同じ割合です。でも、どうしてあんまり聞いたことがないのでしょうか。
その裏には家族のやりきれない想いがあったのです……。
本書では「統合失調症」とはどんな病気なのか、どうやって回復するのか、どんな思いを抱いているのか、
そして当事者とどう関わっていけばいいのかを家族の視点から描きました。
また、看病されるお母さんと看病する娘の、心と心のぶつかり合い、通じ合いを深く鮮明に描いた作品にもなっています。
「ときにはイヤになるけれど、今では幸せな生活を送っています」。そんな著者の姿が、間違いなく胸を打つ一冊です。
*目次より
◎幻聴に従う
◎死にたい…
◎やっぱり同じお母ちゃん
◎退院と15kg
◎一度も恋をしたことがない
◎副作用がつらい…
◎100人に1人のビョーキ
◎プロポーズに苦悩
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
統合失調症について興味があって読んだ本。統合失調症のことは「ブラックジャックによろしく」に掲載されている程度のことを知っている状態で読んだ。読んでいて適切な治療を長期間受けられなかった統合失調症の著者のエピソードは読んでいて怖いと思ったが、患者本人だけではなく患者の家族の病気に対する理解とサポートが大切だということがわかった。著者の母の統合失調症の症状の描写は映画の「エクソシスト」みたいだと思った。著者の親の事情を知っていて二つ返事で著者と結婚し、結婚を機に転職をした著者の夫は凄いと思った。そういうことが当たり前のようにできるのはカッコイイと思う。学校とかに置いておいて欲しい本だと思った。統合失調症の人が受けられる各種サポートのことが読んでいて参考になった。
Posted by ブクログ
統合失調症はたしかに病識はないだろうけど、他の親類でも近所の人でもパート先の人でも、作者さんをもう少し助けてあげられたらと読んでいて思いました。
壮絶な記録だなと。
作者さんが、ストレスでどうかならないかも読んでいて心配でした。
病気のことが恥ずかしくて話せない、、ってお母様が言われるところがあるけど、ちょっとずつ踏み込みが足りないとここまで大変になるのは、伝えるべきだし、治療のこともしっかり描いてあるから良い本だと思います。
やっぱり、もうちょっと病気の知識を普及していかないといけないですよね
Posted by ブクログ
林公一著「名作マンガで精神医学」で紹介されていて、とても興味を持ったので読みました。
決して軽い内容ではないのに、サクサク読め、うるうると来て辛いものもありましたが、3人生活になり徐々に生活が明るくなっていくところにはとても感動しました。
一番印象的だったのは、「母ちゃん」が母の日にニコッと笑ったくだり。
中村ユキさんのHPを拝見し、「母ちゃん」が昨年9月に永眠したことを知り、とてもショックを受けました。
母ちゃんがどのように生きたのか、家族がどのように支えたのか。続編の「家族の絆編」、そしてさらなる続編を最終回として執筆しているようなので、そちらも是非読ませていただきたく思います。
謹んで哀悼の意を表します。
Posted by ブクログ
リアルな話だからこそ前半は読んでいてつらく感じたけれど、お母さんが地域生活支援センターに通い始めた頃から視界がひらけたような気持ちで読むことができました。
障害年金申請のことやセカンドオピニオン、変薬などについても丁寧に触れられていてわかりやすかったです。
Posted by ブクログ
私はこの本を読む前は「やはり当事者本人の言葉と家族と言えど第三者とは違うのだな。」と考えていたけど、読み終わったら「子どもの立場って、微妙に「当事者性」を帯びているんだな」って思うようになった。
これまでコーダって自分と同じ「聴者」だって思っていたけど「コーダは聴者だけどコーダ」なのかもなぁ~って思うようになった。
「当事者性」って自分とろう者の間に横たわる「橋のない川」だよなってずっと思ってきたけど、コーダはその川に浮かび流れている小舟なのかな?それとも「渡し舟」?
books225
Posted by ブクログ
統合失調症は100人に1人いるありふれた病気なのに、その実態は知られていない。統合失調症の母を持つ作者が、母の治療の軌跡と闘病の注意点をコミックエッセイとしてわかりやすくまとめている。家族の側から統合失調症を見つめた貴重な作品。
Posted by ブクログ
統合失調症を患う母を看て来た著者が自身の体験(4歳〜)を漫画で綴ったものです。
壮絶な内容をコミカルに描いています。
実体験を描いているだけに迫力が有り、コミカルだけれど内容は深く、最後は涙してしまいました。
是非読んで欲しいです。
Posted by ブクログ
女性漫画家と統合失調症の母親が現在に至るまでの暮らしをもとに書いたコミックエッセイ
30年くらい前まで遡るようで、病識のアップデートに至る過程が描かれています
機能していない家庭環境のバランスを担っていた母親が、統合失調症を患ってしまうところからスタートします
旧来の病識だと治療に繋がりにくく、どこまでも悪化していく姿には悲しさを感じました
女性漫画家の方も気の毒ですが、母親側の気持ちを思うと余りにも理不尽に思いました
本書で一番感動したのは、精神疾患を抱えながら就労していた母親が職場からマジメに働いていて助かっていたと評価されていたことです
自己判断で断薬して勤めに出てなお、評価されていた勤務態度には母親の人間性が表れていたんだと思います
言っても仕方ないことなのですが、早期発見早期治療に繋がってさえいれば別の幸せを手に入れれたのではないかと思ってしまいます
責任感があって愛情深い母親だったと思いました
女性漫画家の母親はすでにお亡くなりになられており、読み返して人生について考えてしまいました
他人のモノサシで測れることではないですが、余りにも悲しすぎると思ってしまいました
Posted by ブクログ
この本は、統合失調症の母のもとで育った方が描く、母との生活の記録だ。統合失調症の当事者の行動や症状、周りにいる方が受ける影響を見事に可視化している。
作者が、統合失調症は脳の病気ときいて安心するところが印象的だって。心の病気、おかしい人などといわれるとどうすればいいかわからないが、脳の病気ならは他の病気と同じで対処が可能であると感じるのだろうか。物事の見方が変わることで、精神的に楽になることがあることを学べる本だ。
Posted by ブクログ
著者は幼いころから統合失調症の母の面倒を一人で見てきた。その苦労は計り知れない。優しくおおらかな夫と出会えて、本当によかった。困難な状況にある人も安心して生きていける社会になっていければと思った。
Posted by ブクログ
統合失調症の方を家族に持つ人の体験談を読むのは初めてだったので、驚きとともに読んだ。軽いタッチの漫画で書かれているので、とても読みやすかったけど、実際に家族がこの病気にかかってしまったら、とても正気ではいられないほど周りも傷つく症状ばかりだった。きちんと病気を理解し、第三者の協力も得ながらじゃないとかなり厳しいと思う。
著者のご主人がただただスゴイの一言。本当に優しい方に巡り会えて、この親子は心底救われたと思う。
Posted by ブクログ
統合失調症を患ってしまった母親をもつ子どもの漫画。読んでいて辛くなってしまう部分もある。しかしじんわりと感動する。心に傷を負った時に何かを表現する仕事(仕事じゃなくてもいいけど)につくっていうのは非常に大事なことなんだろうな。
Posted by ブクログ
借りたもの。
統合失調症の母を持つ著者の体験記。
知識不足から母の症状は「幽霊に憑りつかれている!?」と迷走したり……
「地域生活支援センター」を通して、統合失調症が「脳の病気」であると聞き、安心する著者。
「統合失調症は治療可能(リハビリと薬物で症状を抑える)」であること、適切な処置、正しい知識を知ることが、当事者も家族も安心して暮らす第一歩である事を痛感する。
このコミックが出版されたのが2010年。
それ以前では、まだ統合失調症が正しく認識されていなかっただろうし、大変だったと思う。(精神病理の偏見、隠ぺい体質とか)
しかし著者のお母様が統合失調症を発症したのはやはり、ストレスフルな環境――ギャンブル依存症の著者の父と子育てに非協力的な姑――が引き金だっただろう。
そこに見る、家庭環境が破綻した人々の負の連鎖。
そもそもギャンブル依存症の父親を嫁のせいにする姑(←そうなるように育てたのは姑)……姑の家の家庭環境も問題あったのだろう。
それを選んだのはお母様だが。(DV家庭だったらしい)
著者の父親は心配ではなく「俺への当てつけの芝居」というくらい、現実見えていない。
母親、統合失調症患者の「病識がない」ため、「何のために薬を飲んでいるかわからない」ので、自分で勝手に薬を飲むのをやめてしまうという。
異常行動だけでなく、当事者の心理状態を描いている。
更には主治医に病状を正確に伝えていなかったりと……
それは病気のせいで人間関係が破綻したり白い目で見られる経験をしてきたため「恥ずかしい」と考えていたためだった。
Posted by ブクログ
漫画だから面白おかしく描かれているが見えない苦悩は、ひしひしと伝わってくる。
やはり早期治療していればと悔やまれるでしょうが家族が得た宝は、とてつもなく大きい。
お婿さんであるタキさんのほのぼの系な性格が中村家に溶け込んでトーシツ幸せライフをおくっていることに気持ちが救われる。
Posted by ブクログ
統合失調症をもつ母親のもとで成長した娘のお話。
読みやすい作画とレイアウトで、病気や、利用できるサービスや制度、年金についての紹介もあって、充実の一冊です。
読みながら、病気は病気なのかもしれないけれど、、お母さんの幻聴さんが切なく胸に刺さりました。
長い人生で考えた時、幻聴さんは突飛なものではなくて、その人の心の深いところにある傷つきとつながっているものなのかな、と感じました。
Posted by ブクログ
統合失調症のことを知るための、とっかかり、最初の一冊にお勧めです
本人も大変だけど
家族だって大変
病人の配偶者は文句ばかり言うけれど
そんなだから、配偶者が発症したんだろうが・・・と言いたい気持ちを
どこにもぶつけられずにいて
やっぱりな。。。と思いました
今、心配なのは子供のこれからです
Posted by ブクログ
涙が止まらなかった。
精神的に病んで、自分も家族も苦しくて、でも、いいなあ、と、この家族は今は苦しいながらも安定を手にいれているのだな、と思うと涙が止まらなかった。
精神の病が、もっと世間にきちんと理解される日が来ますように。
私の病気も、いつか少しはマシになりますように。
Posted by ブクログ
著者の壮絶すぎる体験にビックリ。最後に「母の場合は長い間薬も飲まずにほったらかしにしたから…」みたいなことが書いてあったので、統合失調症の中でも病状の深刻なケースなのだろうとは思うけれど、マンガなのでビジュアルもあって少なからず衝撃を受けました。100人に1人がかかる躁うつ病と並ぶ一般的な精神疾患というのも知らなかった。すぐに読み終わるので、統合失調症についてこれから知りたいと思う方にはおすすめだと思います。
Posted by ブクログ
タイトルは重いけど、最後はみんな幸せになれて良かった~とほのぼの。困っている人はたくさんいそうだから、きっと同じ思いをしている方の役にたちそうです。支えになる人たちに出会えて良かった。
Posted by ブクログ
統合失調症についてマンガのような本。統合失調症というと大変なイメージがある人も多いが、本書を読むと、早期の対処が肝心で思いやりと共感の重要性を感じることができる。
病気には困難が伴うことも多いが、こんな風にプラスに捉えられたら素敵だと思う。
Posted by ブクログ
ユキのおかあさんは統合失調症という精神病です。病気が発症してから現在までの長い間、母を支えてきたユキ。
逃げ出したくても、子どもだったユキはどうすることもできず、ただ、包丁を隠したり(さされないように)、お金を隠したり(パチンコにつかわれないように)するのが精一杯。
大人になって統合失調症についての知識が増え、援助してくれる人と出会って、だんだん快方に向かっていくおかあさん。
ユキは今までどうして病気についてもっと勉強しなかったんだろう、とか、本人の気持ちに沿ってあげられなかったんだろう、とか反省していますが、まだ子どもだったし、仕方がなかったんだよね。本当にがんばったよ。えらかった。
そして、心やさしいタキさんと出会って結婚して、おかあさんとも一緒に暮らせてよかったね。これからはもっと自分の人生楽しんでね。
Posted by ブクログ
狂ったわけではなく、病気です。
娘にとっての通常と、母親にとっての通常。
まったく違う状態で、どういう事なのか。
病気だ、と分かった時点で、少し心が軽くなります。
自覚して精神科に通うまではいいものの
先生と話していた内容が…という落ちも。
やはり、恥ずかしい、というのがあるのだな、と。
言い方ひとつ、受け取り方ひとつ。
とはいえ、即座に言葉として出るか、と言われると
無理ではないかな、と思います。
Posted by ブクログ
■ちょっと綺麗にまとめ過ぎかな?と感じた。
■読みやすいので,統失の概観を知るには
イイかもしれない。
もちろん,本書にも書かれているように統失の
症状は千差万別なので,あくまでも「統失の
一事例である」ということを付記しておく。
Posted by ブクログ
病気のことを知らないと、早期治療のチャンスを逃してしまうから、それを他の人にも知ってもらいたいと、思い出の痛みに耐えて描いた回顧録。
統合失調症は分裂病という恐い名前で呼ばれていたというけれど、病気の実態を知らなければ、統合失調症も分裂病も恐いことに変わりはないと思います。だから、この本を描いてくれてありがたいです。
「新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました(WHO 2001)。」という状況で、「統合失調症は治る病気」と言い切っていいかどうかは疑問ですが、著者と著者の配偶者が、病気のおかあさんと上手く付き合う道を探し出す所に、救いと希望があります。
お母さんは自分の病気と、家族はお母さんの病気と、共存していくやり方を、見せてくれてありがとうと言いたいです。