あらすじ
中学で習う社会科は、社会人に必要な「常識」を身につけるための勉強です。本書では、中学校で習う「歴史」「地理」「公民」のうち、知らないとマズい社会人としての「常識」を高校入試レベルの問題で学べます。巻末には電子書籍特典のテーマを収録しました。
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Posted by ブクログ
自分用キーワード
関東と関西の味の違い( 西回り航路と東回り航路 ) 黒いダイヤ(石炭) 常磐ハワイアンセンター 食料自給率は食べずに捨てるから低い 食糧危機を救うには就業人口を増やすのではなく技術革新をすべき ユカタン半島 KT境界 上杉鷹山の飢饉対策 スーパー301条と大店法 楽市令の本質 たたら製鉄 関孫六 ペリー来航と捕鯨 国際捕鯨委員会のメンツ 値切りと越後屋の関係 儒教的アジア式教育と 欧米式教育 黄禍論 表参道のケヤキ並木は関東代から学んだ結果 ベアテ・シロタ MSA4協定 自衛隊の英名 ソテツ地獄
Posted by ブクログ
受験ではあまり重視されない公民が
日々の生活では一番重要なのかも…でも
世界史のエンターテイメント性に惹かれて
公民は学生の頃はまったく興味がわきませんでした
仕事に役立つかどうかは置いといて
「社会科」というのは日本で生きていくには
最低限の知識は身に付けておきたいことを
扱っている科目だなと再認識しました。
Posted by ブクログ
中学校三年間で、社会科の科目としては、歴史・地理・公民を勉強したことを覚えています。公民とは、今から思い返すと、高校で学習する、政治経済の政治に焦点があっているのでしょうか。
この本は、社会人を対象に書かれた本で、社会人が仕事をするにあたって必要な知識は、中学校で習った社会(歴史・地理・公民)に多く含まれている、というのが趣旨です。
筆者の言葉を借りれば、中学社会科は、大人になっても役立つ視点や思考回路を、様々な角度から教えている(p5)ということだそうです。
高校の入試問題を活用して、社会人に役立つとされる、22のテーマを解説した、面白い試みの本です。先週は忙しくて本を読む時間が確保できませんでしたが、良い本に出会えてうれしかったです。
以下は気になったポイントです。
・東海道新幹線は、戦前に軍部主導で新幹線用の土地買収が強引に進められていたこともあり、ルートそのものも比較的スムーズに選定され、あとは技術と財政が主な課題であった(p24)
・関西の伝統的な出汁は、昆布ベースで、そこに薄口醤油を足す。関東は、鰹節ベースに、濃口醤油で作られる(p30)
・戦国時代までは堺が、貿易や文化の中心として栄えていたが、大阪城築城の際に、豊臣秀吉の命令で、堺の商人達が大阪に移転して、大商業都市としての大阪が始まった(p31)
・うどん、と蕎麦の違いも、耕地の肥えた西日本では小麦生産が、痩せた土地の東日本では蕎麦が栽培された結果となる(p35)
・日本でも石油を輸入した方が有利な状況になり、1962年に原油輸入が自由化されると、石炭需要は減少した(p39)
・全国民平均で1日当たり、1800キロカロリーが現消費量。それに対して一人当たりに「供給されている」とみなされる熱量は、2600キロカロリーあり、その差分は、廃棄されていることになる。これがカロリーベース食料自給率が低い(40%)理由。国民消費する食料を価格換算して、生産価格で何割賄われているかを数値化すると、廃棄されている分を含めても、65%となる(p50)
・歴史的に、凶作が発生した際に飢饉になりやすいのは、都市部ではなく農村部。流通の要である都市部には様々なやりくり方法があるが、農村部は自給に失敗すると供給手段に乏しい(p52)
・地球の急激な寒冷化(中生代から新生代に切り替わる、KT境界:6500万年前)は、巨大な恐竜にとって外気から身を隠すことができずに突然地球上から姿を消した。(p59)
・信長が「楽市楽座」でやったことは、強引とも思える商人招来を、規制緩和の名の下に行い、商人たちをできるだけ多く安土に滞在させることで、安土の城下町を繁栄させ、領国経済支配の要にした(p86)
・新期造山帯にある火山の造山活動により、多くの硬質は堆積岩が採掘可能になったので、高度の高い砥石で刃物を研ぐことができた。これが刀の、薄さ、機能美が追求できることを意味した(p98)
・真綿は、蚕から生まれた動物性の繊維であり、木綿とは全く別系統のもの。弥生時代、平安時代、鎌倉時代の女性が着ていたのは、麻・絹といった別の素材(p103)
・木綿栽培が盛んになたのは、三河国(愛知県)、河内国(大阪府)、堆積平野があったので木綿の一大産地となった。綿織物を織る力織機から財を成したトヨタ、紡績関係から商社化した伊藤忠商事などが関係している(p106)
・1860年代にアメリカで南北戦争が起きると、地中海に面したエジプトに綿花栽培を奨励して資金援助、戦争後にはアメリカ産綿花に切り替えた。借金を返せないエジプトを属領化(p109)
・イギリスの技術を導入して産業革命、中国産綿花を紡績した中国に綿糸を逆輸出、もっと安いイギリス綿糸に乗っかって、豊田製人力織機で綿織物を生産して、イギリスを凌駕したのが日本。当時、それが独立を維持できる唯一の道であった(p109)
・極楽浄土を望む浄土教ブームで造寺造仏が盛んになると、仏像の材料としても大陸から輸入された銅銭が、交換財としての機能をもって流通し始めた、それが平清盛の宋銭で決定的になる(p123)
・江戸に出現した三井の越後屋は、「現金掛け値なし」の革命的な売り文句を看板にした。買い手である顧客との価格交渉をやめて、正札売りという定価販売を店頭で行った、そしてツケ払いではなく、現金支払いを求めた。これは三井側にも人件費削減をもたらせた(p148)
・良質な商品を安価で提供することにもつながり、上流階級の呉服が庶民に普及する契機となり、市場拡大となった(p149)
・大阪は、老舗の商家も多く、江戸ごときの商法の模倣をしなかったので、結果として定価販売の普及が遅れた。関西圏の値切り行為は、伝統的な商業文化を継承している(p150)
・稽古とは、「古(いにしえ)を稽(かんが)ふ」、つまり、古い先例から様々なことを学ぶという意味を持っている。忠実な模倣ができるうようになってこそ、先例のなかにある様々な教えに気づくことができる(p155)
・学制発布(1872)以来、欧米式の授業となったが、習字・儒学の系譜を引く修身(いわゆる道徳教育)も取り込まれ、現代教育の祖型が出来上がった(p160)
・民族で語り継ぐ「お話」であって、品詞や活用を意識した「読み」とは違った文化が栄えていた。平家物語や、太平記の文化も、浄瑠璃や講談といった芸能の母胎となり、リズムに乗って「語る」文化として受け継がれた(p172)
・関東大震災では鎌倉に津波が押し寄せて、土砂崩れもあった。大量の瓦礫を埋め立てに使ってできたのが、山下公園(p177)
・震災後の首都圏は住宅不足で人口が急減し、一時は大阪市が東京市に代わって人口日本一になった(p182)
・関東大震災で家屋を失った被災者に住居を供給するために、同潤会はアパートを、鉄筋コンクリートを、一般向け集合住宅に初めて採用した。(p183)
・戊辰戦争で薩長方が徳川方に勝利した最大の要因は、なんといってもイギリスから購入した新型銃などの近代兵器(p202)
・維新後に制定された明治憲法は、薩長政治家が権力を保持していけるように、立憲制度としては妥協されていた。三権の行政機関が内閣にない、司法権が裁判所にない、立法権も国会にあるか微妙(p203)
・戦前に三度も首相を務めた近衛文麿は、中臣鎌足から続く名門貴族の家に生まれた(p206)
・アメリカにもない最高法規への男女平等の明記は、マッカーサー元帥もびっくりしたくらいの先進的な内容であった(p211)
Posted by ブクログ
仕事に効くかどうかは人によると思った。
本書で書かれている情報をデータ(事例)として扱う方法がベストだと思う。
移民社会のトピックは前から気になっていたため、とても印象に残っている。
Posted by ブクログ
予備校講師が中学社会科の範囲でビジネス教養本を出す、というもの。キャッチーなタイトルの通り、高校の入試問題(のようなオリジナル問題も多いが…)をベースにしながら関連のある項目をわかりやすく解説している。レイアウトも見やすく、すんなり読むことができるだろう。
ただ、個人的にはタイトル通りになっているかどうかが見えにくい一冊だと感じた。ビジネス本としての解説を詳しくする結果、別に中学社会科で習わないような要素もどんどん入ってくる。何より「中学ではこんな感じにやる」という整理がないので、論点に関する知識が足りない人が「習った気がする」という所から話を始められないのはもったいないところなのではないか。また、各論点についてどのように「仕事に効く教養」として考えているのかについてもとくに触れられていないので、いまいちモチベーションも上がらない。