あらすじ
引退後、燃えつき症候群による鬱状態のホームズをみかねたワトスンは、思い切ってアメリカの旅へと誘う。ときあたかも第一次大戦前夜、一触即発の状況下でホームズが出会った少年は、のちに世界一の冒険家となる(表題作)。ほか、ライヘンバッハの滝での決闘、彼が会得した体術バリツ、正典年表における空白の半年間――4つの真実に迫る傑作パスティーシュ。
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Posted by ブクログ
4編のパスティーシュで構成され、どの短編も意外な趣向が凝らされている。
正典への驚きの繋げ方や、「その作品とまで!?」という楽しみに満ちていた。
特に「賢者の石」が面白かった。「最後の挨拶」の前日譚的要素だけかと思いきや、あの名作映画と繋げて来るとはたまげた。
その映画からの登場人物は、冒頭から堂々と登場していたのにも関わらず、全く気づけなかったのが本当に悔しかった。
掉尾を飾る「英国公使館の謎」も、ホームズを読んだことのある者なら一度は想像したことがあるであろう、英国史上最も有名な犯罪者との対決を描いており、その正体の意外さとオチの巧みさに唸らされてしまった。
Posted by ブクログ
大好物なホームズもののパスティーシュ短編集です。「聖典は一通り読んだつもりだけど、取りこぼしはあるかも〜( ^ω^ )←」程度のシャーロキアンには、サービス精神旺盛なパスティーシュはどんとこ〜い!なのです( ^ω^ )
というわけで、今作にふんだんに盛り込まれた意匠には、非常ーにエキサイトしました。
ワトソンに銃を向けるホームズ!
ライヘンバッハ前後のホームズの人物像の齟齬を説明する新解釈!
バリツ!←
意外な「あの人」との邂逅!
そして、悪名高い「ある人物」が日本にやってきたという斬新なエピソード!
うーん、どれをとっても素晴らしい。ミステリとしては物足りないと言わざるを得ませんが、メインテーマではない部分で存分にホームズ・パスティーシュでしか味わえない満足を得られたので無問題( ^ω^ )
◎彼が死んだ理由…「どうして僕を殺そうと思ったんだい、ワトソン君」ーー新作の中で、親友である筈の自分を何故「殺害」するのかと問い詰めるホームズに、ワトソンは必死の釈明を試みた。彼にピタリと照準を合わせた銃口を見つめながら。
◎最強の男…体術の心得があるホームズが、唯一勝てなかった相手とのエピソード。「バリツ」の謎に迫る意欲作!
◎賢者の石ー引退後の真実…探偵業を引退後、鬱気味になったホームズを誘ってニューヨークにやってきたワトソン。ところが、彼らを待っていたのは、世界大戦開戦の火種ともなりかねない誘拐事件だった!完全な密室と化したホテルの屋上から、少年はどのようにさらわれたのか?
◎英国公使館の謎…英国公使館の一室に突如として出現した娼婦の惨殺死体。秘密裏に犯人を逮捕せんと公使館に勤める敬之助は奔走するが、館に戻ってきた彼を待ち構えていたのは、「殺人事件などなかった」と主張する同僚達と、殺害の痕跡の無い部屋だった!