あらすじ
はたしてカジノ法案は、日本を幸福に導くのだろうか?
日本のカジノ導入議論は、これまで「別の土俵からの空中戦」であった。
つまり、カジノ推進派は地方再生・観光客増加などのメリットだけを強調し、反対派はギャンブル依存症問題・治安悪化などのデメリットだけを主張してきたのだ。
では、そもそも推進派が主張する「カジノで日本経済が成長する」は真実なのだろうか?
本書では、「ゼロサム」「カニバリゼーション」「ジャンケット」「コンプ」といったキーワードからIR型カジノの危うさを明らかにしていく。
カジノの危険性と、そこに残された可能性から、カジノが日本を幸福にするのかを問い直す。
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Posted by ブクログ
日本へのカジノ導入(表面的には統合型リソート、IR)に対しての問題点を他国でのデータをもとに丹念に検証した本。
本当によく調べ上げていて、説得力のある内容になっている。
本書の出版は2015年だったが、その主張もむなしく日本でのカジノの導入は決まってしまった・・・。
目先の利益にとらわれて、長期的には国と国民を疲弊させる可能性の高いシステムの導入が決まってしまったことに深い失望を覚えるものである。
後は、後年「やっぱり、あの本の言うとおりだった・・・。」ということにならないことを祈るのみである。
Posted by ブクログ
日本におけるカジノ導入への批判論。日本におけるカジノ導入にあたって、考えなければならない有益な指摘も多いが、過剰にデメリットを強調しているように感じた。
カジノが「ゼロサム経済」であり、周辺の他の消費を奪う「カニバリゼーション」が発生するという指摘は、重要な指摘ではあるが、インバウンド振興やIRの設計次第で最小限に抑えられる問題であるようにも思った。
ギャンブル依存症も深刻な問題ではあるが、現にパチンコ等で日本で発生しており、カジノ導入にかかわらず対処が必要だろう。カジノ導入がギャンブル依存症対策が本格化する契機にもなるのではないか。カジノ導入後進国である日本は、諸外国のカジノ依存症対策を参照できるというアドバンテージもあろう。