【感想・ネタバレ】検証 日本の「失われた20年」―日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのかのレビュー

あらすじ

日本の「失われた時代」の原因として、次の5つが指摘できる。
その第一は、「最優先課題」と「損切り」の先送りである。これは、バブル崩壊後、金融機関が背負い込んだ不良債権の処理をめぐって典型的に表れた。
第二は、部分最適と全体最適のトレード・オフを克服し、全体の利益を追求する国家戦略を打ち出せなかったことだ。政府が重要な決定を下すにあたって、全体最適解を下そうとする際、それに抵抗する政治力の強い組織的ストレスを克服できず、その組織の部分最適解を優越させてしまう。このことは、国家課題に関する明確な政策優先順位を設定し、それを容赦なくかつ効果的に追求し、実現する意思と能力の不在とリーダシップの不在を示している。
第三は、既得権益層の岩盤構造である。これは、既得権益層がインサイダー集団を形成し、そこで手にするレント(過剰利潤)を守るために改革に抵抗する政治的に強固な構造のことである。
第四は、政府も企業も「成功体験の虜」になったことだ。グローバル化とIT化と新興国の台頭と挑戦という新たな環境の下でも、日本企業の多くは高度成長期のビジネス慣行を維持し、それにしがみついていた。
最後の第五は、官民問わずに危機意識が不十分だったことだ。日本の危機感の乏しさは、この間に深まった日本人の悲観主義の高まりと著しい対比を成している。そうした危機感なき悲観論の傾向は二一世紀初頭にはすでに明瞭に表れていた。
これら五つの原因のうち、部分最適解と全体最適解のギャップにこそ、日本の「失われた時代」の本質がある。
日本の「失われた時代」の行方は、世界に大きな意味を持つだろう。

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Posted by ブクログ

2026/06/16「検証 日本の『失われた20年』」船橋洋一
「日本の総合分析全書2015年版」著者の朝日人脈を使って内外様々な視点から分析評価を加えている。
1990年以降の停滞「失われた20年」を俯瞰的・網羅的に分析している。戦後復興から高度成長までの偉大な成功体験の虜になって、時代に適合した改革が出来なくなったのが停滞の本質。
その後2013年アベノミクス・黒田金融政策により、ようやく日本経済は改革の実を上げ始めたという意外な認識に至っている。
特筆は「日米同盟の総括(319)」
冷戦終結後、世界は米国一強体制であったが、2000年代に入り、米国の衰退、中国の大国化は世界を米中2ヵ国体制へ移しつつある。その中で日米同盟は新しいアジア秩序における新たな役割・グランドデザインを描かなければならない。

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2026年06月16日

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