あらすじ
「世界が尊敬する日本人25人」(2011年・Newsweek日本版)、
「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012」(2011年・日経WOMAN)、
「International Leaders Programme」(2015年・イギリス政府)に選出。
2015年、「戦後70年談話」の有識者懇談会メンバーに
最年少で抜擢された注目の著者による自伝的エッセー。
「壊れた社会」を立て直す、それが私の仕事――。
17歳のときに見た写真が、平凡な少女の運命を変えた。
「武装解除」のプロとして、24歳で国連ボランティアに抜擢、
30代で各界の注目を集めるに至るまで、
いくつもの組織を渡り歩いてきた著者が、その半生をつづる。
「グローバル化で世界の垣根はますます流動的になっている。世界の問題を知り、その解決の担い手となることが、日本の身近な平和にもつながる。そのためには、海外情勢について知る機会を増やし、紛争がもたらす現実を認識すること、平和構築の担い手を増やすことだ。日本は世界の平和に多額の資金提供をしているのに対し、実務的な専門家や団体が少ないし、個人の支援や参加も限られている。必然的に具体的な政策提言やロビイングも弱くなりがちだ。窓口が政府しかないと、そこでうまくいかなかった時に行き詰まってしまう。個人と行政の間にある距離を埋める役割として、NPOももっと力を発揮していけるし、そのためにこれからも自らの役割を果たしていきたい」(本文より)
「私は同じ日本にこういう人がいることを誇らしく思っているし、日本からそうした若者が一人でも多く現れてほしいと願っている。本書は、そのための貴重な道しるべとなるだろう」
文庫版に解説を寄せた作家・石井光太氏も絶賛。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ちょうど読み終わったのですが、これ、素晴らしいです。NHKスペシャル「ヒューマンエイジ(第2集 戦争)」に出演されたことから、2015年の文庫版(単行本は2011年)を読んでみたのですが、実体験をもとに提言される日本の指針には思わず鼓舞されます。
著者は、高校生のときにルワンダ難民の親子の写真を見て、紛争地帯の問題解決に携わることを決意。自らあちらこちらと接触するうちに、英国ブラッドフォード大学に「平和学部」があることを知り英国留学。やがて、「DDR(Disarmament:兵士の武装解除、Demobilization:動員解除、Reintegration:社会復帰)」という専門分野を見つけて、アフリカなどの紛争地帯に単身乗り込んでこれを実践。武装解除をしても、武器はそのまま残され、精神的苦痛や周囲との軋轢などから、一市民として生きるようになるには、こうしたDDRが必要なことがよくわかりました。
実践を続けるうちに、「文句をいうだけじゃなくて、自分が日本をどこまで変えられるか、やってみたら?」と自問し、やがて「個人は傍観者ではなく、行動するものとして施策に影響を与えうる役割がある」という考えに至ります。海外では「日本人」として見られ、それは「日本」という国の評価がどうかで変わってくる経験を通じ、「自分の国が行うこと、つまり日本政府の方針と自分は無関係ではいられないことを痛感した」とあります。
世界の国々へは、「日本のもつ中立性と大戦後の復興の経験が、世界各地の紛争地域に大きな(良い)影響を与えているという事実」があり、これを踏まえて、「資金協力か自衛隊派遣かの二択ではない」「独自の非軍事分野での平和貢献を強化することで果たせる役割がある」と述べています。「日本が背負ってきた歴史的経緯は、他の国がどれだけお金を積んでも手に入れられない価値を持っている」というのは、この本を読んで今更ながら「なるほどな~」と思いました。昨今の緊迫した情勢から賛否ありかと思いますが、実体験を踏まえた提言には重みがあります。
ただし、決して堅苦しい本ではなく、現地での痴話話(といっても暗殺者が出てくる)や海外での珍体験も豊富。実践の重みをつくづく教えてくれる一冊です。
Posted by ブクログ
常に志を高く持って自分の本心に真っ直ぐ向き合って、自分が本当にやりたいと思えることを追求してるんだと思った。「自由に行動できる権利」を最大限使って生きていかれてる姿が眩しかった。
「取り柄があまりなかった」から「誰もやってないことをやる」と何度も書かれていて、客観的見たら瀬谷さんに取り柄は沢山あるはずなので、その謙虚さも素敵だと感じた。
Posted by ブクログ
PKO 活動やNGO 団体というものが何をしているものなのか、日本人が紛争地帯で何ができるのか、ニュースを見ながらなんとなく考えたことはあるけど、それ以上深く追及したことはなかった。武装解除という言葉すら聞いたこともなかったことを、自分とさほど年が変わらない日本人が世界を股にかけて行っている。平和を作るために、加害者である兵士を優先せざるを得ないなど、きれいごとだけでない、私の知らない世界の普通がそこにある。
Posted by ブクログ
重かったけど眩しくて、力強いけど気分が悪くなった。
手を失ったお父さんの話の中で、平和は「祈るもの」じゃなくて正に「身を削るもの」なんだなあと。
もしも自分だったらと一瞬想像するも我慢できそうにない。水に流せそうにない。身投げするか憔悴して死んでしまう多分。そんな人たちと毎日接して、彼らの間に立って、先を信じて交渉するなんて、本人は「自分がすごいわけじゃない」と謙遜するも、やっぱり凄すぎる。
自分にできる事って、寄付とかもそうだけど、かわいそうだけど厄介だから見ないふりじゃなくて、知ろうとすること、思ったことを発信していくこと、そういう人を特殊だと遠ざけず普通に考えることなのかなあと、気が遠くなりそうになりながら考えさせられた一冊。