あらすじ
性選択制度を利用し女性になった「啓太郎」改め「啓子」。性別の変わった啓子に対し、はじめは戸惑いもあった勇次だったが、時間が経つ内に女性としての違和感がなくなっていく…。啓子と兄の洋介、3人で遊園地に行くことになった勇次。遊んでいる内に、啓子が洋介と楽しげに接しているのを見て、勇次は自身が嫉妬していることに気付く。複雑な気持ちに揺れ動く中、啓子に惹かれ始めている事に気付くが…?
新時代性転換ラブコメディー第2巻!!
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Posted by ブクログ
もしも性別を変えることができるセカイがあったとしたら―そんなセカイのお話、第二巻。
第一巻で感じたことだけれども、第二巻ではより強く―現実では不可能なことが可能になったとしてもなお、現実における問題がそのままに映し出されているように感じた。
例えば、「自分は女性として自然だろうか」「女性らしくできているだろうか」との不安、周囲の視線への意識、さらには無自覚な、そしておそらく本人は好意から言っている「女の子になったのだから」という注意。
それらは現実においてはトランスジェンダーの方が強く意識することであろう。また、肉体の性がかわったことで、仕草なども含めて「らしく」あれという圧力がかかっていることは何も変わっていないのだ、と。
第二巻では女性から男性への性転換が描かれる。そこで浮かぶ疑問は、野球選手になれるかもしれないという可能性のために性別を変えるという決断を要求されることと、一方で要求した側のあまりにも「軽い」姿勢である。なぜ野球をやろうとすると性別を変えねばならないのか?そういった疑問が自然と浮かび上がってくる。
一方、作品はそういった要素を影に、描かれないところに湛ながらも、ラブコメディであり恋愛コミックとして面白い。
あるいは私が長々と考えていたことは単なる思い込みなのかもしれないし―と、いろいろな読み方ができる、ラブコメディ作品ではなかろうか。