あらすじ
ある代議士夫人の影が盗まれた――。夫人は爪哇(ジヤワ)から来日したワヤンと呼ばれる影絵芝居一座の長に、影を盗られたと信じているという。この不可思議な事件の謎を解いて欲しい、義父母の頼みを断れず、高広は礼と調査を開始する。美しくも妖しい爪哇(ジヤワ)の魔術を調べていくうちに、事件に帝都を騒がす大怪盗、ロータスの気配が……(表題作)。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年を中心に、明治の世に生きる人々の姿を人情味豊かに描いた6篇を収録する作品集。〈帝都探偵絵図〉シリーズ第3弾。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
毎度毎度ジュンク堂の作戦に乗ってしまうんですが、
同じ本を複数回買ってしまうことがよくあります。
好きな作家さんのが平積みになってたら、そりゃあ手に取りますよね。
でもさ、自分がバカなんだけどさ。
この本(単行本の方)の発売をブログで知って1週間位前からフラゲできるんじゃないかとジュンク堂通いつめてさ、前日もダメでさ、当日「ヒャッホー!」って買った本を
「しまった、持ってないかも!」
って2度買いするかね普通。自分の記憶力に愕然としたさ。せめて中開け、裏のあらすじ読め。
帰宅後、目次をみて
「びいどろ池……知ってる……このびいどろ池の景色鮮明に脳裏に焼き付いてる……。読んでないのに知ってるってもしかして僕は超能力者」
と、一瞬でも思った自分を殴りたい。アホかと。
つまりそれだけ印象的なお話だってことです。
印象的で美しい。
どこか静謐なところも。
人々の温かさよりも、どこか冷たさを感じるところも(いい意味でね)。
2冊めもしっかり読み終えたところで、読書家の友人に対する布教用として活躍してもらうことにします。
ところでホームズとワトソン君といっても性格は逆なんですよね。
人が良いホームズと、「高機能社会不適合者(ホームズ談)」(とまではいかないが)で、人を振り回す礼。
7月の新作が楽しみです。
それにしても……ジュンク堂めぇぇぇ。毎度してやられてるわ。
Posted by ブクログ
割と短くてさっくり読める短篇が多め。
でも少しあっさりしてるような気がして少し残念。
とは言え、やはり高広と礼のコンビは読んでいて面白いです。
Posted by ブクログ
好きな事、大切にしたい人のために、何ができるか、何をするか――何をしたいか、読みながら思いめぐらさせられました。好きなものと望むままに共に在れるということは、とても稀有な幸運なのですね。
そして、相変わらず礼が大切すぎる高広さんと、高広が自慢過ぎる礼を、微笑ましく読みました。しかし、高広さんったら、「――どちらも」とか「大丈夫、落ち着いて。俺がいる」とか、するっと惚れ惚れするようなこと言いますよね。父子膝突き合わせて、「女はわからない」談議してるときは、可愛らしいほどなのに。(^^;)
それから、桃介さん――最強の大家さん!(><)/
Posted by ブクログ
帝都シリーズ第三弾。今回も、わくわくの短編集。面白かった!
だんだん高弘くんの受難がツボにはいってきた。礼の傍若無人っぷりにも磨きがかかる。大臣夫妻もいいキャラだ。と、個性豊かなキャラクター小説みたいな設定なのに、なかなかミステリとしても優秀なのが、このシリーズのよいところ。
やっぱり表題作、ロータス再登場の中編が珠玉。安西さんとなんかおいしそうな因縁があるんですね?!という、引きもあり。無影灯の仕掛けはすぐにぴんときたけど、まさかオチにまで絡んでくるとは。
このシリーズに限らず、三木さんの作品は全体に漂う時代臭というか、世界の雰囲気というか、それがとっても心地いい。少し闇をまとって、どこか郷愁を誘うような、そんな空気がとっても好みです。恩田陸や小野不由美に少し似た、でもあそこまで怪物を秘めていない感じっていうのかなあ。お草さんシリーズとか、あのへんを思い出しました。続編が楽しみです。
Posted by ブクログ
シリーズ三作目。
一番好きかな。
前2作より、情を感じる作品ばかりだったような気がします。
そして、高広と礼の友情は相変わらず、こっぱずかしいわ。
相変わらずというかますますというか・・・
高広も礼も可愛いこと(笑)
Posted by ブクログ
影には人の心が映る。(p.242)
【花竜:はなりょう】芸者。三味線の名手。相談されやすいタイプ。特に借金はなく自由な立場。長澤塾に通っている。レギュラーになってほしいキャラ。【梨木桃介】高広の暮らす下宿〈静修館〉の大家。高広と同年輩で家事のスペシャリスト。主役を張れるキャラ。【松平顕昌】子爵。妹の雛は実兄(顕昌にとっては異母兄)の顕芳が島流しにあっていると言う。【仁井田】大和製糖社長。演劇狂い。【ワヤン】爪哇の影絵芝居。【安西】検事。【ロータス】怪盗。【小暮】東京美術学校助教授。【北林】東京美術学校教授。
【感想】今回はしみじみしたキャラが多い。
【びいどろ池の月】御茶屋〈びいどろ〉に行くと試験に受かると言う噂に芸者花竜(はなりょう)が挑む。
【恐怖の下宿屋】高広が暮らす下宿屋〈静修館〉の噂。
【永遠の休暇】兄が島流しされていると令嬢が言う。
【妙なる調べ奏でよ】礼があやしげな料理屋に出入りしているとの噂。
【人形遣いの影盗み】田無夫人は不思議な老人に影を盗まれたと言う。そこに怪盗ロータスが絡んでくるが今回のターゲットは何か? 省吾はまだ蓮の仲間ではないらしい。光があって影があるとよく言われるけど、実際のところ宇宙においては影がデフォルトで少しの光があるだけなんやけどなあ…
【美術祭異聞】東京美術学校のイベント、「美術祭」で卒業制作作品を展示する予定の第六講義室を使うなという脅迫状。
■簡単な単語集(スピンオフ含む)
【アーリントン卿】幕末の日本で開国のために奔走し攘夷派に生命を狙われていた英国人。今は貴族で数十年ぶりに日本に招かれた。
【愛川】静修館に現れた腹を空かせて人相の悪い男。下宿したいらしい。
【天の河】新橋にある料理屋。基博が若い頃からの馴染み。女将は業界の重鎮でなんか組合の理事らしい。
【鮎川】日本橋の化粧品店「あゆかわ」店主。東の横綱と呼ばれる。化粧品自体には興味がなく稼ぐことに専念している。広告のため田代伯爵家の令嬢姉妹に目をつけ、恩を売りたいと考えている。
【有村礼:ありむら・れい】→礼
【安西】検事。仙人のような男だと里見基博は言う。後に…
【市村】東京美術学校の教師。白髭。
【兎屋】高広の馴染の質屋。
【エレン・バレット】唐沢幸生の父の母方の従姉妹。幸生に会いに来た。
【大黒重治】いけ好かない成金男。怪盗ロータスに持っている絵を狙われている。主に印象派のコレクションらしい。
【小川健作】作家。後の小川未明。まじめな青年。
【唐沢幸生:からさわゆきお】森恵と東京美術学校彫刻科で共に学ぶ。父が英国人で目が灰青色で肌は石膏のように白い。生まれも育ちも下谷。天才と呼ばれる恵から見ても腕が良い。義父は陶工の唐沢清山。
【川辺豊吉】「風呂」の扱いでは名人。影絵好き。
【花遊鞠子:かゆうまりこ】ゴージャスで傍若無人な美女。どうやら礼や高広の母親くらいの年齢らしい。
【北林】東京美術学校で西洋美術史を教えている教授。礼と親しい。互いの父親が友人同士だったらしい。礼をして「変わり者」と言わしめる。口が悪い。
【キヘイ】幕末の頃アーリントン卿と知り合った人形師。生人形を作る。
【金太】原口に雇われていた腕のいい御者。中嶋回漕店勤務。
【粂男】西福寺の寺男だった。故人。蓮と仲良くなって死んだら葛籠に収めている銅板を譲ってくれると言った。
【倉敷】帝国ホテルの支配人。
【けい】霊媒。原口とともに帝国ホテルに来た。蓮は一目見て「ファム・ファタル」とつぶやいた。
【圭子】〈長澤塾〉で花竜の友人になった。長野の造り酒屋の生まれらしい。後継ぎである兄の生活を助けるために一緒に上京したのだとか。
【現実】《こうあってほしいという[幻想]を、「演じ手」と「観客」が共有したとき、あり得ない夢も現実になる。》怪盗ロータス綺譚p.59
【ここだけの話】基博《よし乃に言わせると「ここだけの話」はあっという間に広まるのだそうだ。特に女性の間においては。》人形遣いの影盗みp.235。だが、基博と高広には理解できない。
【後藤】田代伯爵家の家令。
【近藤】大和製糖の秘書室長。
【嵯峨晴正】画家。嵯峨孝徳子爵の御曹司にして日本西洋画壇の巨匠。礼でも頼みごとには嫌とは言えない。
【相模清右衛門】海産物を扱い大きくなった相模家の養子で、現在は家督を息子に譲ったご隠居。よし乃が世話をしていた。孫娘は敏子。
【雑誌縦覧所】内外の雑誌を読むことができる場所。利用料は高いが洒落た内装で落ち着いたサロンのような雰囲気。
【聡子】よし乃の娘。高広が逆らえない相手。
【恵:さとし】→森恵
【里見高広:さとみたかひろ】→高広
【里見基博:さとみもとひろ】司法大臣。高広の義父で後を継いでもらいたがっている。実子は家を継ぎたくないらしい。妻はよし乃で義父ともども高広に優しく接してくれた。高広が逆らえない相手。
【佐野徹平:さのてっぺい】喜楽通信記者。関西弁でキツネ顔の図々しい男だが記者としての嗅覚は一流。
【三星楼】料理屋。怪しい噂がいっぱい。最近礼が出入りしているという。
【省吾】安西省吾。今は風見省吾という偽名で通している。蓮の友人。元東京地方裁判所検事局の検事。
【至楽社】雑誌出版社。出してる雑誌は『帝都マガジン』のみ。編集長の田所と、社員は高広のみ。礼が表紙を描くようになってから売り上げが増えた。
【スミス牧師】ジェームズ・スミス。メソジスト教会の大立者。高広がときどき講師を務めるオンボロ英語学校も経営している。いたずら好き。
【静修館】高広のいる下宿。梨木桃介が大家。《窃盗を生業とする業界じゃ「京橋の静修館という下宿屋には近付くな。どういうわけか自首したくなる」って噂が流れてるそうだよ》p.92。
【高階】横浜正金銀行の頭取。達磨のような感じ。
【竹倉兼安】著名な銀行家。いくつもの銀行にかかわっている。「上品の権化」の異名を持つ。
【高田芳子】長澤塾出身で今は電話交換手。
【高広:たかひろ】里見高広。主人公のひとり。至楽社編集者。純朴な正義感と言える。いくつかの事件を解決したことがあるらしい。里見基博によると高広に隠し事はできないそうだ。なんとか突き止めてしまう。でも本人は探偵能力に自身がないのに事件を解決させようとする礼にいつも閉口させられている。ものごとの本質を摑むのがうまいのではなかろうかと思われる。剣の腕が立つ。
【竹下】桃介の客。丸顔。数字が書かれている書類を前にしていたので礼は保険か貯金の勧誘かと考えた。
【田代伯爵家】奔放な姉妹が有名。
【田所】至楽社編集長。高広の上司。海坊主と呼ばれる。食わせ物だが編集方針には歪みがない。なんでも知っておりなんでも記憶している。「黒革の強迫手帳」に各界名士の弱みがぎっしり詰まっており折に触れて取材に利用する。
【田無早苗】政友会の実力者田無和盛の妻。影が盗まれたと言う。彼女に話したら千人に話したも同じというタイプ。
【ダラン】爪哇(ジャワ)影絵の人形遣いのこと。呪い師でもあり影を抜き取った相手を殺す。
【鶴亀】駄菓子屋。全部一等の当てむきが出た。店主は文雄。
【帝国ホテル】日本初のグランドホテル。
【帝都マガジン】至楽社の発行している雑誌。記事は硬軟取り揃えているが下品にはしない。
【テイラー】米国の大富豪。日本贔屓。
【桃介:とうすけ】梨木桃介。高広の下宿の大家さん。ご近所の名物男。高広と同年輩。家事のスペシャリスト。料理は絶品。自家菜園も彼が手をかけると素晴らしいものになる。緑の手。《桃介さんは、できただけのことを認めてくれる。》p.90
【兎川博一:とがわひろかず】高広の馴染の質屋「兎屋」を父親とともに切り盛りしている。記憶力がよく、「帳簿いらずの兎川」と呼ばれている。
【長澤塾】花竜や圭子が通っている。
【中根秀真:なかねほづま】長州出身のエリート。里見基博の友人。若い頃の基博に下宿先の村上医院を紹介してくれたり翻訳の仕事を回してくれたりした。
【梨木桃介】→桃介(とうすけ)
【仁井田慶富:にいだよしとみ】大和製糖の2代目で創業者の息子のようだ。芝居狂いでプライベートシアター建設中。
【原口勝正】良正の兄。大富豪。
【原口良正:はらぐちよしまさ】勝正の弟。テイラーのパーティーに招待されていたお坊ちゃん。
【白菜】この時代、まだ珍しい野菜だった。中国原産らしい。
【花竜:はなりょう】芸者。本名は和子。清元の三味線の名手。いろいろ相談されやすいタイプのようで「新橋若手芸者の煩悶引受所」と呼ばれている。父親の勇吉は桁外れのお人好しで溺れたどこかの子供を助けようとして死んだ。母のとよは苦労して花竜を育ててきたので少しでも楽をさせたいと芸者になった。特に借金などはないのでその気になったらいつでもやめられる。
【びいどろ】御茶屋。店じゅうに硝子製品が散りばめられている。女将は小夜。最近女中の失踪事件が起きた。また、ここに来たら受験に合格できるという噂がある。
【文雄】駄菓子屋〈鶴亀〉店主。気のいい男で子どもたちに人気がある。病気で起きることが難しい兄がいる。
【風呂】幻燈機をいくつも使って絵が動くように見せるもの(「写し絵」というもの)らしい。
【松平顕昌】徳川家康の血脈らしい子爵。礼が絵を教えている妹の雛は、兄(顕昌の異母兄でもある顕芳)が顕昌によって島流しにあっていると言う。
【松の家】花竜が所属している。女将の篠は〈びいどろ〉の女将小夜と友人。
【三上】花竜にとってイヤな客。
【美妃翁】「美妃真珠」の大旦那。真珠の養殖を可能にした。《美しいものは美しいから価値があるのではないぞ。美しいものに接した人間が、勇気づけられ、正しい心を持てるから価値があるんじゃ。》p.99
【美奈子】〈びいどろ〉の女中。17歳。勤務して3年。失踪した。
【港吉左衛門】花竜の父親くらいの年齢だが若々しく見える。港商会社長。
【南金六町の先代】作れないものはないと言われた発明家。
【村田】大和製糖の爪哇(ジャワ)営業所社長。爪哇語に堪能。
【椋田】蓮と省吾の大家。
【村上和仁/むらかみ・かずひと】若い頃の里見基博の下宿先だった村上医院の若先生。
【基博:もとひろ】→里見基博
【森桜:もりさくら】尋常小学校四年生。勝ち気そうな少女。至楽社に人捜しの広告を出してくれと依頼してきた。
【森恵:もりさとし】桜の兄。府立第三中の生徒。広告図案で一等賞を取った。天才的な彫刻家。行方不明になっている。出来事の後、至楽社に出入りするようになった。後に東京美術学校彫刻科に入学する。
【柳田】里見基博の知人。《民間伝承やそれぞれの土地に根づいた生活様式や風俗に強い関心を持っている。》p.224。柳田國男のことかと思われる。続編とかあれば登場するかも?
【大和製糖】創業社長は仁井田。
【よし乃】相模清右衛門の面倒をみていた若い娘。後に里見基博の妻になる? 高広が逆らえない相手。
【ラクササ】ジャワの神の子。人を喰うが神から喰うことを許されているのは影を持たない人間のみ。
【礼】有村礼。帝都唯一とも言われる絵師。美人画が得意。表紙にできたら雑誌完売間違いなし。本人もとんでもない美貌の持ち主。自分が美しいこともわかっている。気難しく稿料も目の飛び出るような金額を要求する編集者泣かせだがなぜか至楽社にだけは安価で提供するのはシャーロック・ホームズのファンで『ストランドマガジン』に掲載された小説を高広が訳してくれるから。現在では互いに友人と言える仲となっている。とは言え惚れた弱みで高広が逆らえない相手。父は西洋画の菱川静画伯。
【蓮:れん】怪盗ロータスの正体。新進気鋭の怪盗。登場から一年足らず。主に美術品を狙い盗んだ金は庶民にばら撒く義賊らしい。もともと「睡蓮小僧」と呼ばれていたが気に入らず「怪盗ロテュス」と呼べと新聞に投書した。予告状も出した。当然ながらアルセーヌ・ルパンのファン。相棒は省吾。表向きは欧州帰りの手妻師。倉敷いわく「生まれながらの千両役者」。《魔術のトリックってね、本当にびっくりするくらい簡単なんです。でも、簡単であれば簡単であるほど、良いマジックなんですよ》怪盗ロータス綺譚p.28
【ロータス】→蓮
【ワヤン】田無早苗が出会った不思議な老人が発した言葉。どうやら爪哇(ジャワ)の伝統的な影絵芝居のことらしい。