あらすじ
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2012年の日本ダービーをディープブリランテで制し、79代ダービートレーナーに輝いた矢作芳人調教師による仕事論。名門・開成高校出身という経歴から『開成調教師』の異名をとる著者は、どん底のスタートからいかにして現在の地位を築いたのか?
序章 現代の調教師像
今の若手調教師は怖くない/競馬界に革命を起こした森調教師/調教師はゼネラルマネージャーである
第1章 牧場編 仕入れの実態
「クラブならば、やらせてください」/オーナーの手を挙げさせる調教師と手を下ろさせる調教師/1分の1で当てる難しさ。番長・三浦大輔オーナーの場合/「走る馬をください」「走る馬ぁ?」ある牧場主との忘れ得ぬワンシーン/なぜ、矢作厩舎には個人馬主が多いのか?
第2章 厩舎編 人作りの極意
「岩田騎手で折り合うように馬をつくるのがお前らスタッフの仕事だろう」/「もう、乗らんでいい! 」大きな賭けだった岩田騎手への叱責/矢作厩舎には定年以前に辞めた人間が一人もいない/ダメな奴に共通する言い訳
第3章 競馬場編 勝ち続けられる理由
勝率へのこだわりは自己満足に過ぎない/中1週は厳しいローテーションではない/藤田騎手のエージェント批判にもの申す/「マイルのバクシンオー」グランプリボス/「ここで勝ちたいのか、それとも5着以内に入りたいのか」
終章 これからの競馬界
オープン馬は2.5倍ルールから外すべき/日本人の気質には、旧裁決制度の方が合っている/「成功した社会主義」は打破していかなければならない
※上記は章立ての一部です。
著者について
1961年生まれ。名門・開成高校出身という異色の経歴を持つJRA調教師。2005年の開業以来、着実に成績を伸ばし、2008年にJRA史上最速での通算100勝を達成(当時)。2009年に関西リーディングを獲得すると、翌2010年にグランプリボスで朝日杯フューチュリティステークスを制してGI初勝利。そして、2012年にはディープブリランテで日本ダービーを制し、ダービートレーナーの称号を手に入れた。主な管理馬は、ディープブリランテ、グランプリボス、スーパーホーネット、タイセイレジェンド、ダイワマッジョーレ、ヘニーハウンドなど。横浜DeNAベイスターズ三浦大輔投手の愛馬・リーゼントブルース、リーゼントロックも同厩舎に所属。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
よく稼ぎ、よく遊べ。そんなスローガンの矢作厩舎。
組織論、人づくり論、勝てるチーム作り、について書かれている。
牧場周りを怠らず、海外へ足を運び、先見の目を常に持っている。
社会主義が強く、強いものに不利なるルールを課すJRA。それに屈せず、立ち向かう矢作調教師。
厩務員は、2頭持ち、攻め専が調教をつけるなど、厩舎システムが勉強になった。
トレセンの坂路に屋根の設置、低酸素馬房、など厩舎の設備を充実させなければならない。
また、競馬全体を盛り上げるために、マイレージ制の導入、海外の馬券販売、カーニバルデーの設置の推奨。
Posted by ブクログ
開成高校出身でJRAの調教師でトップクラスの成績を収める矢作芳人氏が自身の調教師としての仕事の向き合い方について書いた一冊。
2014年当時グランプリボス、ディープブリランテ、スーパーホーネットと活躍馬を出していた氏が
馬の仕入れ、馬の出し入れ、番組選びの3つを調教師の仕事としてどのように仕事を行なっているかということが詳細に書かれており、普段見ている競馬の裏側を深く知ることができました。
矢作ラインなどの人との繋がりで有力馬を探すことやよく遊ぶという厩舎の姿勢は競馬に対するイメージも変わるものでした。
また、色々な人を雇う調教師としてのマネージメント術も多く書かれており、リーダー論も参考になるものが多くありました。
また、執筆当時の氏がJRAに対する提言も多く書かれており、本書を読んで制度を知ることで出走に至るまでの厩舎の苦悩も知ることができました。
そんな本書で知ったなかで氏が海外のセールで上手く血統のいい馬を探してくることや未勝利を脱するために馬を最後まで諦めずに管理することの姿勢は印象に残りました。
本書で氏が行なっていることを知ることによって様々な氏の行う工夫などがトップクラスの成績を上げる裏打ちになっていることを感じるとともに旧態依然な体制が変わってきていることも感じました。
ただ、まだまだ閉鎖的な部分も多く、氏のこれからの活躍や働きかけによってますますの競馬の発展が楽しみになった一冊でした。