あらすじ
食べる喜び、よみがえれ! 舞台は東京都新宿区。背中にデイパック、肩からカメラバッグを下げ、自転車を漕ぐ一人の歯科医師、ドクターごとうが、口からうまく食べられなくなった人のいる家庭を訪問し、情熱あふれる診療によって、行く先々で次々と奇跡を巻き起こす。現役の歯科医師である著者が、自らの訪問歯科診療の体験に基づき書き下ろした、愛と感動の物語。長らく絶版となっていた名著の新装版、待望の刊行!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
プレゼント本。
歯科医の訪問治療の格闘をユーモラスに描き、最後は涙で読み終わるのが惜しい本。
「こんにちは、五島です。訪問歯科の五島です」
五島先生のこんな元気な挨拶から訪問歯科診療は始まる。
1章の始めから、楽しい会話で思わずハハハッっと笑ってしまう場面から始まり、
この本は楽しく読める歯科医のお話しかなと何気なく読み始めた。
しかし1章の最後で、思わず涙が流れてきてしまった。
その涙を隠すのに苦労するほど、素直に泣いてしまい、いつもより目薬を必要以上にさしている
自分に気が付いた。
この本は、口から食べ物を入れられない患者と家族に対して
五島先生が10年間週休ゼロで情熱的に活動した訪問歯科医療現場での現実の体験に基づいて
書かれたお話しである。
いろんな感動的なエピソードがあるが
その内容は読んでからのお楽しみにしておきたい。
最後に五島先生の訪問歯科診療の目的を書いて終わりにする。
「食べるという行為は、生物的な栄養供給だけではなく、文化的、人間的な営みである。
この極めて単純かつ重要な行為が、医療の発展とともに、軽視される傾向にある。
このような時代だからこそ、食べることの重要性を
社会に訴え、食べる喜びを失った方をサポートし、その方の生き方をもサポートすること」
が目的であると五島先生は語る。
Posted by ブクログ
チェック項目8箇所。訪問歯科診療は、心身の障害により通院できない方のために、歯科医師が自宅に訪問して診療するシステムである、訪問歯科診療では「口から食べられない」障害に対する対応も多い。「実は、口から食べるっていうのは歯だけよくてもダメなんです。ほっぺたやベロがしっかり動かないと噛めないんです」。「訓練って意外とすぐには結果が出ないんですよ。だからあせらず長く続けられるもののほうがいいですね」。「材料や作り方は少し変わっているかもしれませんが、調整すること自体は入れ歯の構造が変わってないので、まったく変わってないんですよ」。僕は「口から食べる」ということは人間の自然の営みであり、生きていることそのものであるとも感じている。この世に経管栄養のような代替的な手段がなければ、どんなことをしてでも口から食べる努力をするだろうが、現代医学は口から食べない選択肢を確立してしまった、技術の進歩はやっかいな問題をつくり出す。「いろんな歯ブラシが売られていますけど、硬いのが多いですね。でも、お母さまのように、誰かほかの人が歯ブラシをするときは、柔らかいこととコンパクトなことが基本ですね」。「食べるという行為は、生物的な栄養供給だけではなく、文化的、人間的な営みである。この極めて単純かつ重要な行為が、医療の発展とともに軽視される傾向がある」。