あらすじ
第2次世界大戦の敗北により、人心・国土とも荒廃したドイツ。その復興を担ったのが、73歳で首相に就任、14年間その座にあったアデナウアーである。戦前、ケルン市長として活躍した彼だが、ナチに迫害され引退。戦後、保守政党を率い、「復古」「反動」のレッテルを貼られながらも、常に自国のナショナリズムを懐疑し、米仏など「西側結合」に邁進、ユダヤ人との「和解」にも挑んだ。「国父」と呼ばれる保守政治家の生涯。
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Posted by ブクログ
私の中では「西ドイツの戦後の首相の1人」であるという認識しかなかった。
詳細は読むことをおすすめするが、彼の徹底した「反ソ主義」「間接民主主義」は眼を見張るものがある。「本当に」「何一つ」ソ連の言うことを信用しないのだ(若干民族主義の嫌いもある気はするが)。
ドイツの「臣民」の感覚を利用し、彼は西ドイツに民主政を根付かせることに成功した。
彼のドイツ再統一論は、逆説的ではあるが「東ドイツの存在を認めない」ことにある。彼の中には、ドイツ帝国の後継者たる西ドイツが「メーメル川までのドイツ」を回復することにが脳内にあったのだろう。しかし東ドイツが編入され、東ドイツを編入した西ドイツは、ポーランド政府とゲルリッツ条約(オーデルナイセ線)を追認する条約を結んだ。
彼は徹底した力の政治で西ドイツの「西欧化・西側へのドイツ」をつくり上げることに成功したし、その意味で私は戦後日本の復興と対比させながら読んだ。彼はヒトラー政権での戦争責任を政府としては認めたが、国民に対しては認めなかった。
「何事もタブーにしないこと」が重要なのであろうと思われた。