あらすじ
グールドがデビューした一九五五年を境に、世界のピアニズムは明らかに変貌した。一九世紀ロマン派を象徴するような詩情豊かな奏法とは一線を画し、さりとてチェンバロ奏法や古楽復興ムーヴメントとも方向性を異にするピアニスト、それがグレン・グールドであった。本書は、グールド以降、ピアノ音楽を革新した32人のピアニストを取り上げ、グールドの演奏との比較を通じて、ピアノ演奏の最前線を紹介する。登場するおもな曲・バッハ「ゴルトベルク変奏曲」「パルティータ」「フランス組曲」・ベートーヴェン「ピアノソナタ第14番《月光》」「ピアノソナタ第17番《テンペスト》」「ピアノソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》」「ピアノソナタ第30~32番」・モーツァルト「ピアノソナタ第10番」「ピアノソナタ第11番《トルコ行進曲付》」・ショパン「ピアノソナタ第3番」・ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」
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Posted by ブクログ
『グレン・グールドと32人のピアニスト』というタイトルから連想する内容と、実際の内容の乖離に戸惑った。
グールドのピアニズムや人物像を掘り下げ、それらに影響を受けたり、親交のあったピアニストたちに焦点をあてているのかと思いきや違った。グールドについて書かれていることは、全250ページ弱の中で半分もないのではという始末。
では何が書かれているのかというと、グールドが録音した作品の一部についての曲の解説および、その作曲家であるバッハやベートーヴェンについての解説である。(曲と作曲家の解説だよ!グールドを謳った本にも関わらず、結構なページ数をあててまで書くことか?)
そしてその作品を自身のレパートリーに持つ現役ピアニスト(現役引退したブレンデルも含まれているが)の紹介である。さらに驚くことに、紹介されているピアニストは、別にグールドに縁のある人達ではないということ!少なからず影響は受けているのだとは思うが、そのようなことはほぼ書かれておらず、グールドに対して思いの丈を語っているわけでもないのである。これには心底驚いた。タイトル詐欺だと言っても過言ではないと思うが…
騙された感は否めないが、割りとさっくりと読めるウィキペディア的な読み物として見れば、まぁアリなんじゃないかと。
グールドについて詳しく知りたいのであれば、他の書籍をおすすめする。