あらすじ
養殖鯛より天然鯛のほうが美味しいように、家畜肉よりジビエのほうが美味しい。日本人と肉食の関係は、まだどこかよそよそしい。「高い」「クサい」と敬遠されてきたジビエの魅力を伝えるべくフレンチ料理家の狩猟女子が立ち上がった――。日本人には「ジビエは臭いし硬い」と食わず嫌いの人が多い。しかし、初めて食べた人は、その美味しさに驚愕するという。「アナグマの肉はフルーツの味がする」など、きちんと処理された狩猟肉は臭くないのだ。日本での狩猟は、農作物の害獣駆除として行政がハンターを雇う駆除が主で、行政の許可を受けた施設でしか解体加工、流通できないため、年間10万頭が廃棄されている。害獣駆除、食糧自給率アップ、美味しくてヘルシーといったメリットがあるのに、実に憂慮すべきことだと著者は考える。フランスでの料理家修業時代に欧州の食肉文化に触れ、日本の食肉文化の浅さを感じた著者は、処理施設のある福岡を拠点にした猟師グループ「Tracks」に加わり、“ハンターガール”として捕獲した狩猟肉の料理をするほか、福岡産ジビエの販路を広げる活動をしつつ、狩猟アドバイザーとして全国を飛び回る。ハンターガールならではの「狩猟ファッション」にもこだわる。本書では、ジビエの本場で修業をした女性シェフが荒々しい動物たちと向き合い、日本にジビエ文化を広げるべく奮闘する姿、狩りを楽しみ、味わい、自然と共生する喜びを語り尽くす。
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Posted by ブクログ
フレンチ料理家の著書がジビエに出会い、狩猟免許を取得。狩猟し、解体し、肉にし、料理する。しかし、解体の過程で悩み苦しんだ心情も吐露。その果てに到達した著者の心中とは。
ジビエ料理として一般の人たちが接することができるのは、数少ないイノシシ料理専門店くらい。イノシシ肉やシナ肉、アナグマや鴨の肉などが一般に流通しない、流通できない事情も綴られている。
Posted by ブクログ
料理家である著者がジビエ(狩猟により捕獲された野生の鳥獣)料理に出会い、臭い固いと言われるジビエをおいしく調理したい!という思いから狩猟免許をとり、イノシシの解体や調理に取り組みながら「命」をいただく重みに向き合っていく。
その姿勢がとても真摯で、著者のとまどいや気持ちがとてもよく伝わってきて良かったです。
狩猟というと銃で撃つというイメージしかなかったのですが、銃猟、罠猟、網猟と免許に種類があることなど初めて知りました。
捕獲した動物をどう処理していくか写真と解説も、生々しいけれどグロくはなく、<命>の温かみを感じました。
どうせならせっかくのジビエ料理の写真ももう少し欲しかったかな・・・。
文章だけでなく写真もとても良かったです。
Posted by ブクログ
知らずに食べるのはせこいという考え方に
耳が痛くなります。
肉が口に入るまでの過程の複雑さ
狩猟という手順上、定量的に手に入るわけではないむずかしさ
野生との対等な知恵比べ
じゃあ、農場で育てる畜産は?
この本は禽獣狩猟のみが主題ですが
狩猟だけにとどまらない「食べること」について考えさせられます
題名は「ジビエの美味しさを知らないあなたへ」ですが
ジビエ好きな人のための本だと思います