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Posted by ブクログ
昔「天使の卵」を読んだが合わず敬遠していた作家。
本屋にて目に飛び込んできた「母を愛せないのは私の罪なのか」という帯に無性に惹かれたのは、自分にも似た気持ちがあったからなのか。
夏帆の母、美紀子は感情的で理不尽な教育を夏帆に施す。一つ一つは何気ない言葉だし、人が見れば特別異常とも受け取れないものが多い。演技過剰に見えるのも、夏帆自身の思い違いという可能性もある。が、それらは夏帆自身に痛いほど刷り込まれ、長く続く苦しみの原因になってゆく。
美紀子の口から飛び出すのが関西弁というところにも自らの母親と重なる部分があった(口調がまじで似てる!)。頭の中では自分の母の声に変換してしまう。
母×娘というのはややこしい。「お母さんだってあんたくらいの歳のときはな、」と、自分に張り合ってるのか?と感じるような発言にうんざりしたのは1度や2度ではない。こういうことを言えば、こういうことをすれば、母親がどういう反応を示すか手に取るようにわかるからこそ、母の前では求められる姿を演じなければならなかった部分はわたしにもあった。夫に、「お母さんの前だといつものわたしじゃないね」と言われてハッとなった。
でも30歳になった今、自分がどんどん母親に似ていることに気づく。常々息子がほしいと思っていたのは娘を育てる自信がないからなんだ。
夏帆の境遇は確かに異常だけど、大好きと言える父親が側にいるのはうらやましい。そして、「おふくろは、お前のこと、ちゃんと愛せてなかったよ」とちゃんと見てくれてる兄がいるのがうらやましい。家族は選べないし逃げられないからこそ問題を抱えやすいけど、救いをあたえてくれるのも家族なんだと思う。