【感想・ネタバレ】災厄の街〔新訳版〕のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

エラリー・クイーンの1942年発表の本、その新訳。
災厄の家、という話かと思ったら、災厄は町全体、その人々。
銀行家のライト氏の美しい3人の娘たちと、
偶然訪れた小説家、エラリー・クイーン(?都合良すぎ!)アメリカの田舎の富裕層の家庭が、推測ではあるけれど垣間見られて、長閑で平和だけれど悪意に満ちた物見高い庶民達の噂話が大きくこのストーリーを左右している。だけど、年代をみたら大戦前夜。
この町も国も、そして我が国もやがて時代の大きな波に飲み込まれてゆくんじゃないですか!
アメリカという大きな国のまた、その一部をみつけてしまった

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて読んだエラリイ・クイーンの小説。
前半では、田舎町の良い面も描かれるが、事件後は圧倒的に悪い面が多く描かれる。
登場人物たちの濃い人間関係によって拗れていく事件が、緻密な人間描写によって、なんの無理もなく展開されていく様子は、圧巻だった。
こうした、ドロドロとした関係のミステリ、そして、探偵が気付くのがあまりにも遅いミステリは、イライラして読むのが辛いこともあるのだが、今作は、エラリイの人柄もあって、スルスルと読めた。
真犯人が被害者となるはずだったノーラであることに関しては、状況的に考えて、わりとすぐわかるのだが、ジムの姉にまつわる謎解きは、最後までわからなかった。
何より、意外だったのは、ノーラが、夫を犯人に仕立て上げた事で、物語序盤から、魅力的なパットに感情移入させられてしまっていたので、読者もエラリイも、ノーラの狂気に気づくことができない、という仕掛けを、作者は作っていたのかなと思った。

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2023年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お正月に読むのにぴったり!

よく言われているプロットがすごい、の意味を初めて理解したかもしれない
犯人やトリックや動機を知ることより、一連の真実を知ったことで"今まで見てきたもの"が全く違う見え方になるのが、そしてそれがとても哀しい話なのが独特の読後感に繋がってるのかな…と思っ
裁判のパートは飽きるかなと思ったけどそうでもなくて、全体的に面白かった

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

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面白かった。クイーンは旧訳のドルリー・レーンものを四苦八苦しながら読んで以来なので、新訳の読みやすさに感動しながら読んだ。

エラリイが偽名で滞在するライツヴィルで、借りた家の持ち主の家族の中で計画殺人が??という話だけど、クイーンらしくとてもフェアだし、手がかりは全て読者に示されていて、そこそこミステリ読んできた人なら、なんとなくの真相の大枠は掴めるのではないかなと思う。
本が梱包されていた件にしたって、エラリイには最終盤になってパットから聞かされるまでわからないけれど、読者にはもう最初から詳らかにされていたわけだし。
手紙にしても現在進行形のものではないだろう、とか、ジムが不在の三年のうちに誰か別の妻を持ったのでは、とか“姉”の正体だとか、察しはつくよね。“姉”殺しだって、この不可能性を見れば、読みなれた人ならすぐ真犯人にたどり着く。
でも、そこはそんなに問題じゃない。作者のクイーンは「ほらみなさん、作中のエラリイは知らなかったけど、みなさんには最初から明かしていたでしょう?」と言いたげで面白いけど、そこはそんなに問題じゃない。

私が読んでて面白かったのは、このフェアさもだけど、やはり、「ライツヴィルの町」自体が主人公と言えるこの町の物語。群衆のいやらしさ、陪審制の気味の悪さに圧倒されながら読んだ。
そして、クイーンが"パズル小説"から"人間ドラマ"に移行しようと買いたものと解説にあったけれど、それを目指しながら、やはりフェアな謎解きでもあるところ、さすがクイーンという感じで、おもしろい推理小説だった。すごくよかった。

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2021年08月22日

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殺人は一件だけで、しかも百ページを超えてもまだ起きない。トリックも軽量級で、迂生でさえ最初の手紙の下りで、ほぼこの先の展開が読めてしまった。そんなわけで「エラリー・クインの最高傑作」てな惹句に惹かれて、緻密過ぎる謎解きや、凝りまくったトリックを期待すると当てが外れる。巻末の解説に依ると、本作はエラリー・クインが所謂パズラーに一種の行き詰まりを感じていた時期の作らしい。なるほど。とは言え、読んでてすごく楽しかったのは事実。

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2021年03月01日

Posted by ブクログ

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 本格推理と言うよりも、家庭小説と呼んだ方がいい作品ですね。

 クイーンがこのライツヴィルの作品で変わったというのが、よくわかります。

 勿論、小説の基本は推理だともいわれるわけですので、これだけの力量があるのは当然だったのだと思うのですが、離れてしまったがゆえにこれまで読まなかったことに大後悔です。

 とても家庭的な悲劇な作品でした。読みごたえがありました!

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2021年02月25日

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