【感想・ネタバレ】再生可能エネルギーの政治経済学―エネルギー政策のグリーン改革に向けてのレビュー

あらすじ

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地球温暖化対策の1つとして、太陽光や風力などによる再生可能エネルギーが注目されている。欧米での先進事例を紹介しながら、今後のあるべき日本のエネルギー政策を提示する。

【主な内容】
序 章 新しい環境・エネルギー政策を切り拓く―原子力依存か、再生可能エネルギーの爆発的普及か
第1章 なぜ日本では原子力発電が拡大したのか―原子力政策の政治経済学的分析
第2章 原子力発電は本当に安いのか―経済的優位性に関する検討
第3章 将来に莫大なツケを残す再処理政策―原子力政策の負の遺産
第4章 未来を拓く再生可能エネルギー政策―再生可能エネルギー政策の役割と課題
第5章 アメリカ・テキサス州で風力が伸びる理由は何か―固定枠制の成功事例
第6章 イギリス・競争入札制の光と陰―再生可能エネルギー普及政策の過渡的試み
第7章 ドイツにおける再生可能エネルギーの爆発的拡大―固定価格制の理想的枠組み
第8章 再生可能エネルギー政策の共通化をめざして前進するEU―再生可能エネルギー関連指令の策定をめぐって
終 章 2050年に向けたエネルギー政策のグリーン改革―持続可能な低炭素社会をめざして

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この本が出たのが2010年3月11日。奇しくも東日本大震災が起きるちょうど一年前。

その時点で刊行されたこの本では、非常に分かりやすく「原子力は再生可能エネルギーではない」「原子力は石油や石炭に比べても効率的でもなく、エコでもない」ということが明言されている。こういう冷静で客観的な議論ができるだけの事実が積み重なっていたにもかかわらず、どうして原子力は推進されてしまったのか、また、東日本大震災に伴う原発事故のような絶望的な人災が起きていながら、なぜいまだに原子力エネルギーの開発を継続していこうという機運が残っているのか、この本を読んだ今では理解に苦しむばかり。

本のタイトルが絶妙で、結局のところ、「環境負荷も低く客観的に見ても有効で、安全なエネルギー」が必ずしも常に選択されるわけではないという点で、エネルギー政策はまさに「政治」経済学であり、政治による恣意的な選択と傾倒により経済的な、あるいは倫理的な正当性が歪められるのだろう、ということが分かる。
せめて、選挙で政治を選ぶにあたっては、こういう視点について無知であったり盲目であったりしないようにしなければ、と思う。

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2021年12月04日

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