【感想・ネタバレ】ファースト・クラス<文庫版>のレビュー

あらすじ

下町の衣料材料店の販売員・吉成ちなみは、ひょんなことから有名ファッション誌『FIRST CLASS』で働くチャンスを得る。
「夢の世界」に胸を弾ませるちなみだったが、一見きらびやかなその世界は、野望を抱いた女たちが服のセンス、持ち物、お金、仕事のポジション、男など様々な要素で互いを値踏みし、蹴落とし合うマウンティング“人間の格付け”地獄だった…。先輩たちの過酷な嫌がらせをはねのけ、前向きに上り詰めていくちなみに、さらなる試練が次々にのしかかっていく…。

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Posted by ブクログ

 少し前にドラマを観た後、ノベライズの存在を知り購入。
 ドラマでも特有の典型的な設定や誇張された表現に共感性羞恥を覚えつつ見ていたが、ノベライズでも忠実に再現されていてドラマのシーンが思い浮かんだ。
 やはり映像と音声があるドラマと文章だけで伝えるノベライズは領分が違うため、ドラマを観た後だから伝わるものの、観ていないとわかりにくいシーンや表現が所々あった。
 悪女、というより自分だけで世界が完成してる視野が狭い人たちという印象が大きい。他人を蹴落として自分がのしあがろうとする野心の表れかもしれないが、他人が自分より先に行くのが許せない足の引っ張り合いという方が正しいかもしれない。そうじゃなくても単純に自尊心ばかりが膨れ上がった人たちの集まりには違いない。
 私はドラマを観ている途中から名作映画「プラダを着た悪魔」とどこか似たものを感じ取ったが、ファッション誌という舞台以外は共通点は感じなかった。
 主人公ちなみが、最初は健気に懸命に、後半になるにつれて強かに仕事をこなすようになっていった姿を文章で読むことができたのは純粋に嬉しかった。このドラマの中のようなあからさまな人間こそなかなかいないかもしれないが、ストレス社会の中で生き抜いていく様子は観ている人にとって共感を覚えやすくとっつきやすい。
 個人的には、ドラマで登場したオフィスやバーの景観が好きだったので、それを文章でどこまで表現されているのか期待していたのだが、やはり主題はヒューマンドラマのためそのへんは省略されていて少し残念。

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2020年12月06日

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