あらすじ
第13回SD小説新人賞大賞受賞作! オタクが“合法的な差別対象”となった現代日本。警視庁『焚書課』の高校生捜査官・維刀臥人は隠れオタクであり、焚書課を裏切っていた。臥人は反政府組織の無差別テロの阻止を依頼されるのだが……。
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Posted by ブクログ
作中世界の余りのオタクの規制ぶりに腹が立つ。ゲームやアニメを模倣した連続殺人事件をきっかけに、世間はオタク搾取に走る。漫画は50冊フィギュアは10冊までなどの所持制限の他、違法が見つかると現行犯で逮捕、所持品を破壊される。問答無用のオタク差別にはらわたが煮えくりかえった。
主人公はそんなオタクを取り締まる焚書課に所属していながら、隠れオタクであり裏ではオタク規制を細々と阻止する「エルガット」として義賊紛いのことをしている。そんなエルガットごと維刀臥人の元に過激派のオタク擁護軍団が核爆弾テロを起こすという情報が入る。
オタク文化というライトノベル読者に馴染みのあるテーマがあるから疎外感は感じなかったが、それがなければ主人公は正統派の、表と裏の両方の顔を持つ超人だ。表はやり手の武道派捜査官として、裏では焚書課の情報を横流ししオタクの味方である義賊とて、さらには一般的な高校生として、表と裏の二つの顔をもち、それぞれの腕も一流。あれだ、世間に知られず人知れず暗躍する感じの正義の味方だ。
キャラのたった悪役といい憎みきれない年下の上司といい、周囲のキャラ配置も悪くない。ベテラン作家のようなうまいまとめ。