【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫第十四世マタギ 松橋時幸一代記のレビュー

あらすじ

自然を相手に生きる人物を描かせたら右に出る者のいない作家・甲斐崎圭の筆が冴える代表作を復刻。
名マタギの一生にみる失われた日本。いま読まれるべき名著。

秋田県内陸部、マタギの里として知られる阿仁の里。
ここには、自然を活用しつつ、調和しながら生きてきた人々の暮らしがあった。
代々マタギとしてこの地で暮らしてきた家系に産まれ、シカリ(マタギの統領)として知られた第十四世マタギ、故・松橋時幸氏の一代記。

絶大な信頼と実績を残した実在のマタギの人生をたどり、失われつつある伝統的な山の民の暮らしを後世に伝え、現代への警鐘も鳴らす、甲斐崎 圭 氏の筆が冴えた秀作。

*本書は、1989年に筑摩書房より刊行され、その後、中公文庫として文庫化されたものの、その後久しく入手できなくなっていた甲斐崎氏の代表作を、ヤマケイ文庫として復刻したものです。
ヤマケイ文庫化に際しては、筑摩書房版を底本として、一部、新たに手を加えました。

甲斐崎 圭 かいざき・けい 1949年、島根県生まれ。
主に自然を相手に生きる人々のルポルタージュを手がける。
著書に『山人たちの賦 山暮らしに人生を賭けた男たちのドラマ』(山と溪谷社)、『海を喰らう山を喰らう 全国「猟師・猟師」食紀行』(日本経済新聞社)、『もうひとつの熊野古道「伊勢路」物語』(創元社)ほか多数あり。

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Posted by ブクログ

秋田県の山深い里・比立内で第14代のマタギとして活躍された松橋時幸氏の半生を追ったルポです。
時幸氏はマタギの他、農業、林業を営み、川に魚を追い、旅館も営むという方。
その生活は自然と共に暮らすなんて言う生半可なものではなく、自然への畏敬、恐怖、しきたりという名の保護、野獣から集落を守る気持ち、色々な思いがないまぜになったものです。
そして、山深い集落に押し寄せる時代の波、生活様式の変化、行政の束縛、高齢化、過疎…。
その中でマタギとしての矜持を保ちながら、変化に適合していこうという姿。
話は戦中から昭和60年頃まで。既に半世紀が経過しており、時幸氏もなくなりましたが、今は婿さんが15台を継ぎ、松橋旅館も営業中です。一度行ってみたいなぁ。

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2015年07月27日

Posted by ブクログ

秋田の阿仁地方に産まれ、マタギのシカリを務めた松橋時幸さんの人生を辿りながら、山の民の暮らしを描いたノンフィクション。

現代では望めなくなった、自然を崇め、自然と共に人間が人間らしく活きる日々が新鮮である。

筑摩書房の単行本を底本に一部加筆・訂正、再編集。

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2016年01月10日

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