【感想・ネタバレ】饗宴のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アンドロギュノスの話の原典が気になって購入してみた。
小難しい哲学書なのかもしれない…と少し身構えていたのだが、平易な文章で非常に読みやすく、登場人物それぞれの語り口も個性的で、文学作品として楽しむことができた。巻末の丁寧な解説のおかげで時代背景や文化の理解もしやすい。

「子孫を残すこと(体に宿す子を産む)・知恵や思想を遺すこと(心に宿す子を生む)、これらは不死性への欲求であり、エロスとは美しいものを永遠のものにしようとする欲求である。」という主張は、クリエイターである自分にとってかなり腑に落ちる考え方だ。

私は美のイデアに触れることができるのだろうか。私は美しいものを永遠に残すことができるのだろうか。
紀元前に書かれた本なのに、現代の私の心に深く問いかけてくる。読み終わったあとに、なんだか壮大な物思いに耽ってしまった。

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2023年08月30日

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古代ギリシャの饗宴(飲み会)でのオッサン達による戀バナ。
テーマはエロス(愛)古代ギリシャなので当然少年愛(パイデラスティア)エロさえも哲学なのだ。
成人した男性が少年と恋愛する事こそが最高の教育とか流石古代ギリシャレベル高すぎ。

今作ではソクラテス自身ではなくマンティネイアのディオディマ(多分腐女子)の言葉として語られている。
曰く戀とは、善きものと幸福への慾望である

エロスとは美しさと醜さ、良さと悪さの中間にあり、神と人間の間にある精霊である

エロスは既知の神ポロスと貧乏神ペニアの間に生まれた存在(マジで?)

肉體の美から精神の美、知識の美、美のイデアへと至るなどプラトン先生らしくここでもイデアは健在。

アンドロギュノス(両性具有)の元ネタはアリストファネスの演説だったのか。本書では解説が充実していて分かりやすくて助かる。

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2023年12月10日

Posted by ブクログ

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今までの対話編と違って、宴会で一人ずつが愛の神エロスについて話を披露するという形式。ソクラテスの話の内容も、今までのように論理的な対話形式でなく伝聞の話を延々語るというもので面食らった。しかし構成やストーリーとしてはいままでになく凝っていて面白いので、二重に面食らうことになってしまうのだ。ソクラテスの語るのは「エロスの奥義」という一見何ともうさんくさい話なのだが、中身はプラトンのイデア論につながる哲学的談義になっている(ただ、神話的・直感的な話が多い)。
美を求めるエロスとは人と神との中間である聖霊であり、美や良いものに欠けるがゆえにそれを激しく求めるという性質を持つ、というところから始まり、美の中でも肉体的なものではなく知恵が最も美しく、求められるということが示される。人間は永遠に生きて美を自分のものにすることはできないけれど、肉体的には子供を作ること、精神的には哲学的対話により徳を生むことで永遠が実現する。そのように肉体、精神、そして知恵へと上昇しながら美を追い求め、究極存在のイデアへ至る(ことができるかも)という話らしいのだが、なんだかいままでの著作の現実的な徳の話はいったい何だったのかと思うような壮大な、幻想的な話でとまどいがまず先に来てしまう。解説を読んでよくよく考えると、よくできているな、と思うのだけど。
最後に乱入者によって突如ソクラテス擁護の賛美演説が始まるのもご愛敬だが、当時の少年愛の習慣やソクラテス批判の状況などこれも解説を読んで勉強になったし面白かった。光文社訳、すごく読みやすくて親切丁寧で大好き。

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2023年11月25日

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パイデラスティア、美の梯子
 本文もさることながら、解説が詳しく書かれているのが本書の良い点である。歴史的背景と文化的背景がわかりやすく、理解の助けとなった。なかでも、パイデラスティア(少年愛)について誤解を与えぬよう配慮しながらの記述に多く学んだところがあった。
 古代ギリシャ人の性は、現代における性とは異なる側面をもっているため、現代的な価値観を通して評価するのは危険である。古代ギリシャ人の愛は近代的な価値観の枠組みの外にある。彼らの性的な愛は対等な関係を前提としておらず、不均等な優劣の中で成立する。それは少年愛に限らず、女性との関係においても動揺で、彼らにとっての性は能動—受動という関係によって把握される。そうした関係性が重要であり、性別は二次的なものとなる。
 アンドロギュノスの話をしたアリストファネスに興味が湧く。おもしろいし、なぜか納得できる。男男、男女、女女の組み合わせ。

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2018年03月24日

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ソクラテスらによる、愛の中でも性的な愛を意味するエロスについての演説。平易な言葉で臨場感が伝わってくる本編訳に加え、舞台背景やなどについて約100項にわたる詳細な解説が理解に深みをもたせてくれる。とはいえ、考えが大きく変わることはなかった。
私は、人間を「よい」と認識するのは肉体と精神の相互作用によるものであり肉体の美しさを軽視すべきでないと考えている。
本書に、あらゆる体における美しさは同一、とあるが論理の飛躍としか思えない。
真理を語ろうとするから、美しい体は瓜2つとなるのは必然だろう。黄金比のそれだろうから。そして、真理だから、それを愛するべき、となる。此処が決定的に間違っている。誰もが黄金比の体に恋い焦がれる訳ではないし、かといってそれは、体なら何でも良い、では決してないだろう。
真理に向かうことは真実を見失うように思う。
解説に違和感を覚えた箇所もある。エロスが求める「美しいもの」「よいもの」を「善」と解説されるのだが、「善」とすると道徳という名の臭みがついてしまわないだろうか。

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2016年12月01日

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なぜ男は女を求め、女は男を求めるのか?愛の神 エロスとは何なのか?悲劇詩人アガトンの優勝を 祝う飲み会に集まったソクラテスほか6人の才人 たちが、即席でエロスを賛美する演説を披瀝しあ う。プラトン哲学の神髄ともいうべきイデア論の 思想が論じられる対話篇の最高傑作。

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2015年01月08日

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