【感想・ネタバレ】晩年の子供のレビュー

あらすじ

メロンの温室、煙草の畑、れんげ草の群れ。香り高い茶畑、墓地に向かう葬列、立ち並ぶ霜柱など。学校までの道のりに私が見た自然も人間もあまりにも印象的であった。心を痛めることも、喜びをわかち合うことも、予期しない時に体験してしまうのを、私はその頃知った。永遠の少女詠美の愛のグラフィティ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

〈備忘録・ネタバレあり〉
たぶん20年ぶりくらいの再読。
生死や恋を題材に、幼少〜青年期の各主人公たちがそれぞれの目線で語る短編集。
山田詠美自身の経験や感覚が、この物語に大きく反映されているようだ。

自分軸で逞しく生きる男の子、大人びて憂いを含んだ男の子、そんな彼らの魅力を見つめる女の子たち、ちょっと不良で男女の真理に鋭いおねえさん…
山田詠美の小説にはそんな魅力的な人たちがよく登場し、出会うたびに憧れを抱くのだが、大人になった今もなお憧れてしまう。

晩年の子供、花火、海の方の子、ひよこの眼、がとても印象的で好みだった。

・晩年の子供
伯母の家の犬に噛まれた10歳の主人公は、狂犬病で半年後に死ぬのだと覚悟する。その日から、晩年をどう過ごし最期を迎えるかを考える日々を送る。感覚が研ぎ澄まされて季節や時間を色濃く感じるようになり、家族へ悲しみを与えず死にたい、嫌な目に遭わせてしまった同級生に詫びて愛情を伝えたい…と博愛精神で晩年への準備をしてきたある日「晩年を特別視する必要はないのだ」という悟りにたどり着く。
家に帰った彼女は穏やかな心情で犬に噛まれたこと、狂犬病なんてへっちゃらだということを母親に伝えると、飼い犬では狂犬病にならないことをあっさり告げられる。拍子抜けした彼女は、真剣に死に向き合ってしまった無駄な日々を憎み、数日後にはそれも馬鹿馬鹿しくなり、明るい学校生活を過ごすことを決心する。

突拍子もない事柄を大真面目に悩み考えるのって、子供の頃のあるあるだと思う。その真剣な様子が可笑しくてかわいい反面、博愛精神からの死は特別なことではない…という結論に至るまでの描写が、子供なのに真理に辿り着いているようで震える。さらにそれがあっさりと打ちのめされ元の日常に戻る様子にもリアルさを感じ、さすが上手だなぁと思った。

・花火
両親から破天荒な姉の様子を見るよう頼まれた妹は、姉と妻帯者である彼氏との情事に遭遇する。嫌悪感を示す妹に姉は、男女の関係は花火のようなものだと言ってのける。
その夏意中の彼と結ばれた妹は、性行為がとても自然で喜ばしいものだということを理解し、自分にも備わっていた思いがけない感情に酔いしれた。そして同時に姉の言葉を思い出し、自分も彼に対し、姉のいうような道筋を辿るのだろうか?という信じがたい未来が、甘い頭の中をよぎる。

おそらく女性の多くが感じているのでは?という感情と身体の変化がシンプル&的確に言語化されていて、、、これを書いたときの山田詠美は30歳くらいのはずなのに、既にこの境地に達しているのすごすぎる。

(引用)
はっきり言って、今、彼を見ても寝たいなんて思わないわ。体をくっつけていると、すごく安心する。それは、彼をとても信頼しているからよ。でも、それがセックスに発展すると、嫌悪感すら覚えるわ。前は、彼に触れられて、一番、感じていた部分が、今は、一番、最初に拒否反応を起こすのよ。
・・・
そういう思いやりを持つことが、男を愛するってことなのよ。あの人に会いたいって恋焦がれてる時って、自分を愛してるのよ。自分の欲望をなだめるためにその男を思うのよね。同じ会いたいと思うのでも、その人を愛し始めた時は違う。もっと、静かだし、もっと悲しいものよ。
・・・
男と女って、まったく面倒だわ。体で魅かれ合って、それに飽きた瞬間にら離れられない関係になる。体が離れられないなんていうのは、まったくの嘘。離れられなくなるのは心が結び付き始めるからよ。体も心も結び付いて離れられないのは、だから一瞬なのよね。両立しない。すぐに消えちゃう。まるで花火みたいなものよ。素晴らしい瞬間だけどね。

・海の方の子
偽善者でいる自分に酔うこまっしゃくれた主人公が、転校先で出会った嫌われ者で片眼が義眼の男の子・哲夫に接近する。当初は〝みんなに嫌われる可哀想な人にも分け隔てなく接する自分”に酔っていたが、自分の意思や幸せをしっかり持っている彼を知り、思わず「私、なんか、哲夫くんと結婚するような気がするな」と口に出す。こういう男の子が好きだなあと感じたのだ。「可哀想な人に首を突っ込む」のを止めた彼女の変化に気づいたのか、哲夫も彼女の言葉に対し素直に返事を返す。
やがてまた転校の日を迎えた彼女は、挨拶の席で涙が噴き出す。それは皆へのものではなく、哲夫のために流れた涙だった。憮然とした表情の哲夫を見ながら、口に流れ込む涙に「しょっぱいもんが好きなんだ」いう彼の言葉を思い出していた。

この歳で哲夫の格好良さに気づけるとはイカシすぎだし、幼い2人の恋とも言えぬ淡い関係なのに、まるで大人の話のような恍惚さを感じた。

(引用)
毎日、ふかふかのわらの山に寄りかかって、夕陽を浴びて、ぼうっとするのです。「誰もが私を好きになること」に向かって、努力することもないのです。そんなことをしなくても、私のだんなさんは、気にしないのです。私は、この思いつきに有頂天になりました。

・ひよこの眼
転校生の幹生の目を見た時懐かしい気持ちに包まれた亜希は、その理由を知りたくて日々彼を見詰め続けてしまう。周りは亜希が幹生を好きだと囃し立て、2人を学園祭の実行委員に推薦する。幹生は照れることもなく受け入れ、亜希を誘って下校する。幹生は亜希がいつも自分を見ていること、それが甘い恋心ではないことにも気づいていた。亜希は正直に理由を話し、幹生はそれを興味深そうに聞く。
次第に一緒に笑い合う時間が増え、あの目は影を潜めていく。ある日互いを好きだと伝え合う。幹生は繋いだ手を自分のポケットに押し込んだ。
幸せに包まれて帰宅した亜希は、母と妹の会話から過去に死んだひよこを思い出す。見覚えのあった幹生の眼は、死ぬ間際のひよこの眼と同じだったからだと気づく。幹生は死を予感し、諦め悟っていたのだ。
翌日登校すると幹生の姿はなかった。父親が病気を苦に自殺を図り、その道連れにされたのだった。

人生を歩むことを諦めていた幹生は、確かに希望を持ち始めていた。その最中で信頼すべき親によって未来を絶たれてしまうとは…なんと救いのない絶望だ。
親にいとも容易く人生を左右されてしまう、まだ子供だったことを思い知る。
2人の会話する言葉はとても綺麗で、素直な人柄がよく現れている。死の直前に交わした2人の美しい会話が、私の心をさらに痛めた。
また亜希の幹生への想いは、中学生とは思えないほど大人びていて、深い愛情に満ちており驚く。いや…大人びているわけではないのかな。純粋なぶん、シンプルに相手の幸せを願い、辛い想いはしてほしくない、と思えるのか。表裏一体って、大人と子供の間にも言える言葉かもしれない。
あらゆる文章が宝石のように輝いていて、絶望との乖離が引き立ち、泣けてしまう。本当に素晴らしかった。これを30歳そこそこで書けた山田詠美って恐ろしい。

(引用)
私を含めた些細な事柄に、とても興味を示すことなど出来ない程に、何かに対して心を砕いている彼の身の上を想像し、私は溜息をつかずにはいられなかった。私たちの年齢の人間が許容出来る大きさ以上に、なにかを背負っている。彼は、そういう人にみえた。
・・・
それでも、私は知っていた。私と言葉を交わしていない時、幹生がやはり、まばたきもせずに何かを見詰めているのを。私は、もう、その瞳を懐しいとは思わなかった。そう思うには、私は、彼に好意を持ち過ぎていた。その表情をする時、彼が決して幸福ではないことを、私は知っていた。彼が、幸福ではないのだと思うことは、私の心を傷付けた。私は、その時、既に、好きな男には、呑気な幸せをさずけたいと願う程に大人になっていた。
・・・
彼は、私の目の前で笑っている。それだけでいいのだ。だからこそ、余計に恐くなる。私の目の届かない所で、彼が、もし、つらい目に会っていたらと考えるだけで、私の心には暗い影がさす。
・・・
「おれは嫌いだった。なんか寂しいもん。でも、今はいいな。これからも平気かもな。おれ、寒がりだけど、吐く息が白くなって行くってことは、体の中があったかいってことだもんな」  私は、涙ぐみそうになった。私は、この先、どんなことがあっても、幹生に寂しい思いをさせたくないなあと思うのだった。彼の瞳には、相変わらず涙の膜が張っているように見える。けれど、それは、決して上の空の涙ではない。私が側にいることが、彼の瞳を濡らしているに違いないのだ。
・・・
「ほんとのこと言うと、高校は諦らめてたんだ。おれんち、貧乏だからさ。でも、なんか、大丈夫のような気がして来た。もしかしたら、なんとかなるかもしれない。働いたって行けるんだし」
・・・
彼は、あの公園で、確かに生きようとしていたのに。そして、私の手をきちんと握ったのに。あの人は、私が初めて出会った、人生に対して礼儀正しい人だったのに。

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2026年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった…。切なかった。
好きだったのは「堤防」「花火」「桔梗」「ひよこの眼」など。何人もの私がいて、何人ものあの人がいて。

「堤防」
「じゃ、おまえは、欲望のエネルギーが、運命の方向を変えるという事実をどう考える?」(p.44)
どう考えればいいのだろう、ある種類の瞬発力がこの世の中にはあるということを。そして何故か発揮できる時と、発揮できない時があるということを。

「私、ある男に夢中なのよ」
「へえ、いいじゃん。なんで、それで、投げやりになるわけ?」
「だって、奥さんも、子供もいる人なんだもの」
「まずいよ、それは」
「そんなの解ってるよ。解ってるから、腹立つんじゃない。どうして、あんな男を好きになっちゃったのかなあ。全く、どうかしてる。ねえ、これを運命だなんて言ったら、私、怒るよ。男と女の間ってね、そんなちゃちな言葉で、納得できるものじゃないんだからね」(p.49)
私にはこれこそが運命だと思うけれど。自分が相手に夢中なことも、相手のことが好きなことも認識して言語化できる京子の強さが眩しい。

「花火」
「だって恋に落ちちゃったのよ」(p.69)
「そういう思いやりを持つことが、男を愛するってことなのよ。あの人に会いたいって恋焦がれてる時って、自分を愛してるのよ。自分の欲望を宥めるためにその男を思うのよね。同じ会いたいと思うのでも、その人を愛し始めた時は違う。もっと、静かだし、もっと悲しいものよ」(p.80)
「あーあ、本当に、私たちどうなるのかなあ。男と女って、まったく面倒だわ。体で魅かれ合って、それに飽きた瞬間に、離れられない関係になる。体が離れられないなんていうのは、まったくの嘘。離れられ無くなるのは心が結び付き始めるからよ。体も心も結び付いて離れられないのは、だから一瞬なのよね。両立しない。すぐに消えちゃう。まるで花火みたいなものよ。素晴らしい瞬間だけどね」(p.81-2)

人を本当に愛すると、女は終わりを見てしまうものなのかもしれません。そして、その終わりが来ないように演技者であろうとする姉の気持ちが解らなくもありません。(p.82)

「桔梗」
彼女は、明け方、首を吊って死んでいたそうです。(p.108)
私の分身

「ひよこの眼」
彼は、あの公園で、確かに生きようとしていたのに。そして、私の手をきちんと握ったのに。…それから、何度か、私は偶然、ひよこの目に出会うことがあった。…片手を握りしめながら、私は、こう尋ねてみたい衝動に駆られてしまい、慌てる。もしや、あなたは、死というものを見詰めているのではありませんか、と。(p.214)

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。学生の頃、教科書か何かで読んだ『ひよこの眼』が衝撃で、家に帰ってすぐに調べて買ってもらった。山田詠美という作家を知ったのもこの本がきっかけだった。すでに何度か読み返しているが、その時々の自分の状態によって感じ方や理解度が全然違うので面白い。恋愛や生死について、その他諸々。子どもの頃にぼんやりと感じていたものを季節の細かい描写とともに丁寧に書き出してくれている。特に『ひよこの眼』と『晩年の子供』、『堤防』の話が好き。

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2026年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集

時間の都合で最後の『ひよこの眼』しか読めなかったけど、
めちゃくちゃ面白かった。
あのゾワっとした感じをひよこの眼で喩えたのか…

今度は全部読みたい。

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2024年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 本書にある短編『ひつじの眼』が、今月の読書会の課題。
 著者は、小説作品としては読まず嫌い(デビュー作を手にして、すぐに下品! と手放した)。
 でも、近年はエッセイは読んでいる(地元だからという理由が大半)。それと、芥川賞の選考委員としてのコメントは、他の選者と一線を画していて、時に痛快。
 そんな思いで読んでみたもの。

 読書会でも、「嫌い派」の先陣に立って論を張ったが、それはそれで面白かった。

 構成から分かるように、本作は回顧録だ。31歳の女性(本作を著したころの著者年齢だそうだ)が、中学生の頃の思い出を語るしつらえ。
 ゆえにだろうか、中学生らしからぬ述懐、感情、記述が目立つ。時折作者が顔を出すところが、イタタマレナいのだった。
 そう思う人も参加者の中に多かったようで、「本当の、ひよこの眼をしらない」と言い切る意見も面白かった。参加者のYさん曰く、主人公亜紀の妹が飼いたがっているウサギと、ひよこを比べて、ひよこの生命力の弱さを語るが、うさぎの仔のほうがよほど生命として弱いのだそうだ。

 31歳の著者は、はたして中学生に戻れていただろうか。村上春樹は10代の若者にも、80代の老人にもなれるというそうだ(映像ディレクターのISさん)。それが作家の才能のひとつだと。

 冒頭4行、そして末尾の4行で現在の亜紀が、過去を回想するが、結局、31歳の亜紀に成長がなく、学びというものが感じられない。ひよこの目に出会うと
「私は、困ってしまうのだった」
 と書いてしまう、オチの付け方に賛否両論だった。

 要は、本作は恋物語ではなく、生と死の物語。死といかに向き合うか。死をどのように見るか、あるいは死に見つめられるということはどういうことかを考えさせられるもの。
 31歳当時の著者の死生観は、この程度というものを露呈している。ある意味、作品を残すというのは残酷なことでもあると、思わされた。

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2026年07月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の前半だけの感想。


【晩年の子供】
主人公の私が可愛すぎる。撫でてあげたくなるぐらい、純粋で可愛い。人って変われるって改めて思えた。生死観って、人それぞれあるよね〜。生きるより、死ぬことにフォーカスを当てて生きる。っていう考えは私にはなかった。それも大切なのかもしれない。

【堤防】
堤防好き〜!運命に則ってふわふわ生きる運命論者の主人公。友達の自殺未遂によって、人生観が変わる。友達の京子がいい奴なんだよ〜。家庭を持つ男との間に、子どもを身篭るんだけど、妊娠しちゃったのにタバコ吸っちゃってるところも好きだよ〜!産めない、悲壮感が滲み出てて、いい。
主人公の運命と、人生に対しての考えが素敵だった。運命論も悪くないね笑

【花火】
お姉ちゃんが色気ムンムンでかっこいい。私もこんな大人になれるかな〜。恋に落ちるって本当に人を輝かせるよね。キラキラしてる。結局、否定し続けた妹もお姉ちゃんが言う恋に落ちるの意味が分かったのかもしれないね。大人の女万歳。余裕がある女万歳!!!!

【桔梗】
儚い物語だった。美しいものは儚いね。色と自然がマッチしてて、綺麗だった。美代さんを女として憧れを持つ私。
写し絵を貼る美代さん。最後の足掻きだったのかな。
私がいた証を…って。忘れないでねって。消えないでねって。決して美しい恋じゃないし、美しい終わり方ではないけれど私からしたらそんなの関係なくて。美代さんっていう存在に惚れてしまったんだよね。
桔梗の花言葉:「永遠の愛」「変わらぬ愛」「気品」「誠実」

【海の方の子】
転校が多い私は、周りから嫌われないように必死で、偽善者のような子だった。でもわかる。私も、高校生の時そうだった。それが大人、大人の対応だと思ってた。哲夫みたいにストレートに自分の考えをしっかり持ってて、人に言い切れるのは強いよね。自分自身をしっかり受け入れてる。そりゃ、惹かれるよ。だって、気を遣わなくていいんだもん。泣いてもいいんだもん。最終的には、私は転校しちゃう。けど哲夫とはまた会えそうな気がする。最後も良かった。哲夫は塩味が好きなんだよね。

【迷子】
これまた、いい話。この話を読む前に真梨幸子の本を読んだから、まさか…って思ったけどちゃんと最後、ほっこりできてよかった笑隣のお家のことなんて、知ったこっちゃないけど、知ってしまったら、疑問に感じてしまったら、やっぱり気になるよね。特に思春期の女性なら。

【蝉】
やらしいね。夏も蝉も、父も母も男も女も。
みんな、やらしい。夏は人をおかしくさせるんだよ。蝉の鳴き声に惑わされて隙を与えてしまうんだよ。自分を見つめてしまう隙を。私も、小学校の時、ゴスペルの体験に行ったことがあったけど、夜の町田はすごく嫌いだった。気持ち悪かった。薄着な男と女がねっとりとした夜に捕まっているような。

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひよこの眼が読みたくて読んだ。何度か読んだことがあったが、何度読んでも最後の一文の余韻がすごい。「私は、こう尋ねてみたい衝動に駆られてしまい、慌てる。もしや、あなたは、死というものを見詰めているのではありませんか、と。」確かに、「うれしい悲鳴をげてくれ」の「顔色」に似ている。死相というものは本当に出ているのか、だとすればとても恐ろしい。でも、死相の存在を恋と勘違いしてしまい、最後の最後に気づいてしまう切なさが、ひよこの眼にはあって、それがとてもよかった。正確な文章は思い出せないが、最後の一文の余韻が印象的な小説でよかったのは、これ以外だとサガンの「悲しみよ、こんにちは」と江國香織の「デューク」だった。江國香織、山田詠美あたりの切ない短編集を書く女流作家の本は時々読みたくなる。サガンのブラームスはお好き(?)もいづれ読みたい。

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2017年01月10日

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