【感想・ネタバレ】ピクサー流 創造するちからのレビュー

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Posted by ブクログ

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これまでに少なくとも70冊以上のビジネス書を読みましたが、この本が一番僕にはしっくり来ました♪世の中には、医師やパイロットと言った定型業務をミス無く遂行する事が要求される仕事や管理系業務をされている人も居るので、全ての人に対してBestな本かと言われるとそうでは無い気もしますが、少なくともクリエイティブさを要求される仕事をしている人は必見!!

ジャンルで言えばビジネス書ですが、ジョブズやルーカスを始め、ググったらすぐ名前が出てくるような人たちの発言が出てきますし、様々なピクサー作品&ディズニー作品の誕生秘話も出てくるので、ドキュメンタリー小説(多分ですが文章の清書はエイミー・ワラスさんというジャーナリストさんが行ったと思われます)としても楽しめる作品だと思います♪

耳障りの良い言葉を並べて分かったつもりになってしまうのが一番良くないと本著で主張されているのでとにかくまずは読んでみて欲しいですが、「あらゆるものは変化する」という事を常に意識すると共に、変わらないものに対する感謝の気持ちを忘れないようにしていきたいと思いました☆

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2021年03月13日

Posted by ブクログ

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 この作品の最も根本的な問題は、ジョンが最初にチームを呼び集めたときに言った、脱出冒険物語なのに先が読めて、さほど感情に訴えないという点にあった。『トイ・ストーリー』の出来事からおよそ三年後を舞台とする物語は、ウッディがはたして収集家のアルの言いなりになってちやほやされる(が、遊んでもらえない)「収集品」として生きるのか逃げ出すのかを中心に描かれている。持ち主だったアンディの元へ帰るチャンスをつかむために戦うのか戦わないのか。映画として成立するには、いつかは成長し自分を捨ててしまうアンディのいる世界に戻るのか、安全だが愛してくれる人のいない場所にとどまるのか、というウッディの迷いを、観る人が本当のことのように思えなければならない。だが、観ている人は、ピクサーとディズニーの映画だからハッピーエンドで終わる、つまりウッディはアンディと再会を果たすために帰っていくに違いないと思っている。必要なのは、ウッディが本当にジレンマに陥ってると思わせることだ。それには観る人が共感できるジレンマでなければならない。言葉を換えれば、ドラマが必要なのだ。
 物語のオープニング、ウッディがアンディとカウボーイ・キャンプに出かけようとするが、腕がちぎれてしまい、置いていかれる(アンディの母親の棚にしまわれる)のは原案どおりだが、ブレイントラストは、この時点で最初の重要な変更を二つ加えている。ペンギンのウィージーというキャラクターを登場させ、自分は鳴き声が出なくなってからずっと棚に置かれっぱなしだ、とウッディに告げる。どれほど気に入られたおもちゃでも、壊れてしまえば棚にしまわれ、相手にされず、ともすれば永遠に放っておかれる運命にあることを導入部でインプットするためだ。こうしてウィージーは物語の感情的な伏線を成立させている。
 ブレイントラストが行った二つ目の根本的な手直しは、カウガール人形のジェシーの物語を補強することだった。ジェシーは自分の持ち主の女の子が大好きだったが、女の子が成長すると、ほかのおもちゃとともに相手にされなくなってしまう。自分がどれほど望んでも、大切に思っても、アンディもいつかは子どもじみたものを手放す日が来る、という。ジェシーからウッディへのメッセージは、サラ・マクラクランの歌う「ホエン・シー・ラヴド・ミー」をバックにモンタージュ(複数のカットを組み合わせて映像に意味を持たせる構成法)シークエンスを使って悲痛な調子で語られることになった。ジェシーは、ウィージーが切り出したテーマを取り上げ、黙示的だったテーマをウッディとのマセた会話を通してオープンにするわけだ。
 ウィージーとジェシーが加わったことで、ウッディの選択は、より複雑なものになった。いつかは捨てられるとわかっていながら大好きな人のそばにいることもできるし、本来の愛のかたちではないがいつまでもちやほやされる世界に逃げることもできる。それは究極の選択であり、本質的な問いだ。クリエイティブチーム内ではこういう言い方をしていた。「あなたは永遠の人生と愛、どちらを選びますか」。その選択が持つ葛藤を感じることができて初めて、映画だと呼べるのだ。

 取っ手と本体が数本の糸でかろうじてつながっている古くて重いスーツケースがある。その取っ手は、一見、的を射た奥深い言葉のように思える「プロセスを信じよ」か「物語が一番偉い」を表し、スーツケースは、このフレーズに飲み込まれてしまったあらゆるもの――経験、深遠なる知恵、努力の末に得られる真実――を表している。我々は取っ手だけを持って、スーツケースがないことに気づかないまま立ち去ってしまっている。それだけでなく、置いてきたもののことを考えもしない。要はスーツケースより取っ手のほうが何倍も持ち歩きやすいのだ。
 一度スーツケースと取っ手の問題を知ると、それがやたらと目につくようになるだろう。人は格言や逸話が好きだが、実際の行動や意味をそれにすり替えているに過ぎない。広告は、商品の価値を伝える言葉を価値そのものの代わりに使用する。企業はよく、一流品しかつくらないという意味で、「卓越性を追求する」という。「品質」や「卓越性」といった言葉は使い古されてほとんど意味をなさない。マネジャーは、本や雑誌をあさって知識を得ようとするが、新しい用語を覚え、それで目標に近づいたと満足している。誰かが言った心に響くフレーズは拡散し、元の意味から離れて一人歩きし始める。

 初めて参加するブレイントラスト会議。熟練の優秀なメンバーが部屋を埋め尽くしている。先ほど上映された映像について議論するためだ。この状況で、発言に慎重になる理由はいくらでもあるだろう。礼を失したくない。相手の意見を尊重し、できれば従いたい、恥をかきたくない。知ったような口をききたくない。自分が発言するときには、どんなに自信のある人でも、一度チェックするだろう。これはいいアイデアだろうか、それともくだらないアイデアだろうか。ばかなアイデアは何回までなら言っても許されるのだろうか。その主人公は現実味がないとか、第二幕がわかりにくいとか、監督に言ってもいいのだろうか。思ってもいないことを言ったり、何も言わずに済ませたいわけではない。この段階では、率直さなどそっちのけで、ばかだと思われないためにはどうするかしか考えていない。
 もっとも厄介なのは、そういう葛藤と戦っているのは一人ではなく、皆がそうだということだ。社会的に自分より上の立場の人には本音が言いにくい。さらに、人が大勢いるほど、失敗できないプレッシャーがかかる。強くて自信のある人は、無意識にネガティブなフィードバックや批評を受けつけないオーラを放ち、周囲を威圧することがある。成否が問われる局面で、自分のつくり上げたものが理解されていないと感じた監督は、それまでのすべての努力が攻撃され、危険にさらされていると感じる。そして脳内が過熱状態になり、言外の意味まで読み取ろうとし、築き上げてきたものを脅威から守ろうと必死になる。それほどのものがかかっているとき、真に忌憚のない議論を期待するのはとうてい無理だ。
 それでも、ピクサーの創業プロセスにとって、率直さほど重要なものはない。それは、どの映画も、つくり始めは目も当てられないほどの「駄作」だからだ。乱暴な言い方だが、私はよくそう言っている。オブラートに包んだら、初期段階の作品が実際にいかにひどいかが伝わらない。謙遜で言っているのではない。ピクサー映画は最初はつまらない。それを面白くする、つまり「駄作を駄作でなくする」のがブレイントラストの仕事だ。

 作品の問題点を特定するのは比較的簡単だが、その要因を探るのはきわめて難しい。物語の不可解な展開や、現実味のない主人公の心変わりなどは、物語のどこか別のところに潜む些細な問題による場合が多い。この状況は、扁平足が原因だと気づかずに、膝の痛みを訴える患者にたとえるとわかりやすい。もし膝を手術したら、痛みは和らぐどころか悪化してしまう。痛みを和らげるには、根本原因を見つけて対処する必要がある。したがって、ブレイントラストの指摘は、特定の治療法を要求するものではなく、問題の本当の原因を浮かび上がらせるためにある。

 アンドリューが言うように、「それが批評と建設的な批評の違いです。後者の場合、批評すると同時に建設している。壊しながら建てている。たった今バラバラにしたピースを使って新しいピースを生み出している。それ自体が一つの技でしょう。どんな指摘をするにしても、相手を考えさせることが大事だとつねに思っています。『あの子に課題をやり直したくさせるにはどうしたらいいか』というふうに、だから学校の先生と同じことをします。問題点を言い方を換えながら五0回くらい指摘すると、そのうちのどれかが響いて相手の目がぱっと開く。『ああ、それやりたい』って思ってくれるんです。『このシーンの脚本がイマイチ』と言う代わりに、『見終わった観客にあのセリフよかったよねって言ってもらいたくない?』と言う。挑発ですね。『これがやりたいんじゃない? やってよ!』って」

 私がここで説明しようとしている試行錯誤の原則は、科学の分野では昔から重要だとされてきた。科学者は、疑問が浮かぶと、仮説を立て、実験し、分析して結論を出す。それをまた最初から繰り返す。その背後にある論法は単純だ。実験は事実の解明が目的であり、それが科学者の理解を少しずつ深める。つまり、だめな結果は一つもない。どんな結果も新しい情報を生み出すからだ。実験によって最初に立てた仮説が間違っていたことがわかったのなら、早くわかってよかったのだ。手に入れた新事実を基に、次の疑問に取り組めばいい。

 集まったメンバーで、なぜまちがった選択をしてきたのか、仮説を立て検証した。監督候補を選ぶ際にこれまで見落としてきた、今後注意してみるべき重要な資質があるか、それ以上に、新人監督に、その心折れる仕事に立ち向かえるだけの十分な教育をしてあげていたか。「監督に失敗はさせない」と言いながら、何度失敗を許してきたか。
 創業当初の映画の監督、つまりジョン、アンドリュー、ピートが皆、きちんとした訓練を受けずに監督になっていたことを当たり前のように思っていたが、それが特別なことだったのだと思えるようになった、ということも話し合った。アンドリューやピートやリーが何年間もジョンのすぐ隣で彼の教えーー決断から必要なことなどーーを吸収したこと、ジョンが相手と一緒になってアイデアを導き出すやり方についても話し合った。初めてジョンの後を継いでピクサーの監督になったアンドリューやピートは、その過程で苦労はしたものの、結果的に大成功を収めた。ほかの監督たちにも同じことを期待してきたが、会社が大きくなるにつれ、新人監督たちがそのようないい経験に恵まれる機会がなかったことは、事実として受け止めざるを得ない。
 それから将来に目を向けてみた。監督として有望だと思われる人それぞれの強みと弱点を挙げ、彼らを育て、経験を積ませ、支援するための具体的な計画を立てた。失敗の後だったが、前に進むだけの安全な選択はしたくなかった。クリエイティブとして、リーダーとして、必要なリスクを冒さなければ自分たちらしくないという思いがあり、そのためには、時に従来の映画監督像に当てはまらない人にも鍵を渡さなければいけない。それでも、今までとは違う選択をする以上は、映画をつくるために必要な能力を備えていると見込んだ社員を教育するための明確なステップづくりが必要だということに全員が合意した。
 そして、ベテラン勢が共有する経験値を監督の卵たちが自然に吸収するのをただ待つのではなく、ピートやアンドリューが、ジョンにぴったりくっついて仕事を覚えたようなことを再現できるような、正式な師弟教育プログラムをつくろうと決めた。今後、実績のある監督は全員、毎週、自分の担当スタッフの様子をチェックし、将来の長編作品になるかもしれないアイデアに取り組むスタッフに実践的なアドバイスや励ましを与えることになった。
 後になって、アンドリューとこの合宿ミーティングについて振り返っていたとき、アンドリューが非常に含蓄ある言葉を言った。自分を含め実績のある監督は教育係を務める責任がある。自分の映画をつくり続けている間も、それを一番の仕事にすべきだと。「そのとき抱えている制作チームのメンバーで最高の映画をつくる方法を、監督になろうとするスタッフにどう教えるか。それを見つけることが命をつなぐことなんです。僕たちは必ずいつかいなくなるんですから、ウォルト・ディズニーはそうしなかった。だから、ディズニー・アニメーションは、彼を失ってから一五年も二0年もスランプに陥った。僕たちがいなくなった後、次の監督たちが自力で考えてやっていけるように教育できるか、それが本当に目指すべきことでしょう」
 会社で一番その能力に長けている人以上に、適任者がいるだろうか。教えると言っても、講習会やかしこまった研修だけを指すのではない。先輩たちの行動や姿勢は、彼らに憧れと尊敬を抱くスタッフたちの生き方に、よくも悪くも影響を与える。そういうスタッフたちの教育や成長を会社全体の繁栄に貢献する望ましい方法だと望まれるような会社づくりをすべきだ。日常のあらゆることに教育のチャンスがあること、経験が効率的な学習方法だということを理解しているだろうか。会社の評価だけでなく、その志を高める社員を評価する組織文化を築くことも、リーダーが果たすべき最も重要な責任の一つだ。

 社内の一部のスタッフは絵が描けた(それもすばらしく)が、大半のスタッフは芸術家ではなかった。しかし、描画の訓練にはある重要な基本原則があり、それを全員に理解してもらいたいと思っていた。そこで、ベティ・エドワーズによる一九七九年の著書『脳の右側で描け』(エルテ出版、河出書房新社)に影響を受けて、描画のワークショップを行っていたエリース・クレイドマンに来てもらい、観察力の高め方を教わることにした。
 当時は、左脳思考、右脳思考という概念をよく耳にしていたが、それがのちにLモードやRモードと呼ばれるようになった。Lモードは「言語的・分析的」で、Rモードは「視覚的・直感的」だ。エリースによれば、多くの活動でLモードとRモードの両方が使われるが、絵を描くときにはLモードを遮断する必要がある。そのため、訓練の内容は、すぐに結論を出そうとする部分の脳の動きを抑制し、画像をオブジェクトとしてではなく単なる画像として見るものだった。
 たとえば、人の顔を描くとき、ほとんどの人が鼻、目、額、耳、口をスケッチするが、ちゃんとした訓練を受けたことのない人が描くと、バランスがめちゃくちゃになり、誰にも似ていない顔になる。それは、脳から見ると、顔のパーツは平等につくられていないからだ。たとえば、コミュニケーションを行う目と口は、額よりも重要で、それを認識することにより重点が置かれるため、描くときにはどうしても大きく描きすぎ、額は小さくなりがちになる。人はありのままの額ではなく、自分のメンタルモデルに従って描いているのだ。

 繰り返しておきたいことがもう一つある。社員に創造性を発揮させるためには、我々がコントロールを緩め、リスクを受け入れ、社員を信頼し、彼らの行く手を阻むものを取り除き、不安や恐怖をもたらすあらゆるものに注意を払わなければならない。これらをすべて実践しても創造的な組織文化を管理することは必ずしも楽なことではない。けれども、目指すべきは楽になることではなく、卓越することなのだ。

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2019年07月30日

Posted by ブクログ

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分厚い本なので読むのを後回しにしていたのだが、それを後悔するほど深い洞察力と人間愛、そしてアニメーションとそれらに携わる人たちの未来を守るために、ピクサーがどれほど全力を尽くしているのかが描かれた優れたビジネス書でした。

この本に出会えて良かった。トゥイーンにはいつもお世話になっております!

に最終章丸々さいてスティーブ・ジョブスへの尊敬と愛情(人々が思っているジョブス像は違うんだ!)については涙を禁じ得ませんでした。

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2019年05月26日

Posted by ブクログ

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英語のタイトルは Creativity, Inc. 。ピクサーの歩みを振り返りながら、創造的な組織をつくるエッセンスを述べている。ピクサーの映画を漏れなく観ていたらと、もっと面白く読めたかもしれない。巻末付録のポイントが仕事や生活の参考になるので、メモしておく。
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1. よいアイデアを凡庸なチームに与えればそのアイデアを台無しにし、凡庸なアイデアを優秀なチームに与えれば、それをテコ入れするかもっといいアイデアを返してくれる。よいチームをつくればよいアイデアに恵まれる。
2. 人を採用するときには、そのときの能力レベルよりも、これからの伸び代を重視すべきである。今できることより、将来できるようになることのほうが重要である。
3. つねに自分より優秀な人を採用するよう心がける。それが脅威に感じられる場合でも、つねによりよいほうに賭けること。
4. 組織の中に、アイデアを自由に提案できないと感じている人がいたら、それは損失だ。予想外のソースからのアイデアを軽視すべきではない。インスピレーションは誰にでもある。
5. 他人のアイデアを受け入れるだけでは不十分。能動的かつ継続的に社員の集団的知力を動員すること。マネジャーとして、スタッフからアイデアを引き出し、定期的な貢献を促すこと。
6. 職場で社員が率直に意見をかわさないのには多くの理由がある。その理由を見つけて対処するのはマネジャーの仕事である。
7. 同様に、自分に同意しない人は、理由があってそうしている。マネジャーはまずその結論の元にある理由を理解しなければならない。
8. さらに、組織の中に不安や恐れが生じている場合、それにも理由がある。マネジャーは、①その原因を突き止め、②理解し、③その根絶に努めなければならない。
9. 他の視点を遮断したいなら、自分が正しいと確信することほど効果的なことはない。
10. 一般的に、人は波風を立てるようなことを言いたがらない。自分の考えを言ってもいいということを強調するためにブレイントラスト会議、デイリーズ、反省会、ノーツ・デーなどがある。これらはすべて真実を明るみに出すための自己評価のメカニズムである。
11. 会議室より廊下で真実が語られているとしたら、会社として問題がある。
12. 人より後に部下から問題の報告を受けたり、会議で初めて問題を知らされたりすことをけしからんと思うマネジャーが多いときには、対処が必要である。
13. 問題を小さく見せようとして慎重に発した「メッセージ」を、社員はマネジャーに嘘をつかれ、裏切られ、無視されたと受け止める。問題を分かち合うことで社員に当事者意識や事業全体に対する責任感が生まれる。
14. 成功や失敗から最初に導き出す結論はまちがっている。プロセスを評価せずに成果を正しく測定することはできない。
15. ミスを防げば、ミスに対処する必要がなくなるという幻想に陥ってはならない。実際には、ミスを防ぐためのコストのほうが、ミスに対処するコストよりはるかに高く付く場合が多い。
16. 変化と不確実性は、人生につきものだ。それらを拒むのではなく、予想外の出来事が起こったときに回復できる力を養うことが必要である。つねに目に見えない問題を明るみに出し、その本質を理解する努力をしなければリーダーの資格はない。
17. 同様に、リスクを回避することはマネジャーの仕事ではない。リスクを犯しても大丈夫なようにすることがマネジャーの仕事である。
18. 失敗は必ずしも悪いことではない。むしろ、全く悪いことではない。新しいことをするときに必要な成り行きである。
19. 信頼とは、相手が失敗しないことを信じるのではなく、相手が失敗しても信じることである。
20. 計画実行の最終的な責任を持つ社員には、問題が起こったときに承認を得なくても問題に対処できる権限を与えなければならない。問題を見つけて対処するのは全社員の仕事である。誰もが生産ラインを止められるべきである。
21. 物事をなんでもスムーズに運ぼうとするのは、まちがった目標である。それは社員を問題解決能力ではなく、失敗に基づいて評価することにつながる。
22. 人に見せる前に完璧にしようとしないこと。早く頻繁に人に見せること。途中段階は見られたものではないが、だんだん見られるようになる。そうあるべきだ。
23. 会社の意思伝達構造は、組織構造を反映したものであってはならない。誰でも好きな相手と話せるべきである。
24. 規則をつくりすぎないこと。規則はマネジャーの仕事を楽にするかもしれないが、問題を起こさない95%の社員にとっては屈辱的だ。5%の社員をコントロールする目的で規則をつくってはならない。常識の乱用には個別に対処する。仕事は大変になるが、そのほうが結局のところより健全である。
25. 限界を課すことで創意工夫が促進される場合がある。卓越性は、厄介な状況や、理不尽とも思える状況から生まれることがある。
26. 並外れて困難な問題に取り組むことで、新しい考え方が生まれる。
27. 組織は、それを構成する個人よりも、集団として保守的であり変化を嫌う。基本合意だけで変化が起こることを期待してはならない。メンバーが揃っていても、グループを動かすには、それなりのエネルギーが必要だ。
28. 各部門のアジェンダは違えど、相互依存の目標を持つ部門によって構成される組織が健全な組織である。一つのアジェンダが勝れば、組織はだめになる。
29. 「すばらしいアイデアが生まれるためには、すばらしくない段階が必要」なことを理解しない人から新しいアイデアを守ることが、創造的な環境におけるマネジャーの仕事である。過去ではなく、未来を守ること。
30. 新しい機器の訪れを必ずしも嘆く必要はない。会社の進化を試し、実証するからだ。問題解決のプロセスは社員を結束させ、組織文化を維持させる。
31. 「卓越性」「品質」「優秀」は、自ら言う言葉ではなく、他社から言われるべき言葉である。
32. 間違っても安定を目標にしてはならない。安定よりもバランスのほうが重要である。
33. プロセスと目標を混同してはならない。プロセスをよりよく、より簡潔に、より効率的にする努力は不可欠で、継続しなければならないが、それは目標ではない。すばらしい商品をつくることこそが目標である。
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2022年07月13日

Posted by ブクログ

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ピクサーのお話。評価が高い通り、非常にいろんな要素が詰まった名著。時間があるときにまたゆっくり読んでみたい。

<メモ>
・問題は必ず起こると思って仕事をすること。問題の多くは隠れて見えないが、明るみに出す努力をすること。問題にぶち当たった時は全社全精力をあげてその解決に当たること。
・いいアイデアといいスタッフどちらが大切か。それはスタッフ。本当に重要なのはそうした人同士の相互作用。チームとしてのパフォーマンスが重要。いいアイデアよりも適切な人材と適切な化学反応を得ることの方が重要。

・学んだ教訓を集約すること
・水平展開をすること
・わだかまりを残さないこと
・反省会の「予定」が反省を促す
・次につなげること
・ミスを防ぐためのコストの方が、ミスに対処するコストよりもはるかに高くつく場合が多い。
・常に目に見えない問題を明るみに出し、その本質を理解する努力をしなければリーダーの資格はない。
・リスクを回避することはマネジャーの仕事出なくリスクを侵しても大丈夫なようにすることがマネジャーの仕事。
・失敗は新しいことをするときに必要な成り行き。
・信頼は相手が失敗しても信じること。
・早く頻繁に人似見せること。
・限界を課すことで創意工夫が促進される場合がある。
・並外れて困難な問題に取り組むことで新しい考え方が生まれる。
・素晴らしいアイデアが生まれるには素晴らしくない段階が必要。

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2016年10月26日

Posted by ブクログ

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ピクサーがいまにいたるまでに、どうやって創業して、どうやって各映画を作り続けてきたかという映画。

面白かったところ
・ひとつの失敗から全ての知識を得ようとしては行けない
暑いストーブの上に座った猫は、二度とストーブに乗らない
・優秀な監督は、問題がおこったあとにどうするかではなく、怒る前に未然に防ぐ方法を考える
・常に状況は変わる避けられないこと。問題は常に起こる。だから余白が必要。
ていいアイデア平凡なチームに与えたら潰される。優秀なチームに与えたら、テコ入れするかもっといいものにする。
・「最もいいと思ったところと、つまらなかったところは?」
・リーダーが失敗の重要性を話してくれれば、社員も恐れなくなる

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2019年09月15日

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