感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ピラミッドの新解釈にまさかの真相。
レオナと御手洗の関係は、すこし不思議。
古代エジプト、タイタニック号それぞれを舞台に語られる悲劇が前半を占め、現代起こる事件への因果を連想させられる構成。現代の事件にいたるまで別世界のお話にかなりのページが割かれるので、3作品分の物語を読んだような充実感。。然るに全体でかなりの長編ですが、遺跡ロマン、華やかな業界、鬱病に謎に冒険にと盛り沢山でどんどん読めちゃいます。
個人的には古代エジプトでの物語が悲しくて、現代までに起こる事件の端々に遺された想いの強さを存在を感じさせるような持ってきかたも楽しめました。
現代において、最後まで事件との特別な関わりを持たなかった指輪の存在も本作に占めるロマンの比重を象徴しているような。
被害者最期の言葉を幻と片付けられたときにはどうしようかと思いましたが、更なるどんでんがえしでそうきたかと。ある意味ほっとしました。笑
理屈とロマンが絶妙に共存したすてきな作品。
Posted by ブクログ
御手洗潔シリーズ
エジプト島にクフ王のピラミッドをまねた水晶のピラミッドを作ったポール・アレクスン。オーストラリアで発見されたポールの自殺遺体。ポールの後を継ぎ会社を経営する双子の弟リチャード。映画の撮影のため水晶のピラミッドを訪れた松崎レオナ。撮影中にあらわれた怪物。アヌビスのような容姿。ピラミッドの頂上の部屋で遺体となって発見されたリチャード。密室の中クロールをするように死んでいたリチャード。死因は溺死。ピラミッドの天窓の足跡。失踪した美術監督スティーブ・ミラー。事件解決まで映画の撮影を禁止する警察。御手洗に助けを求めるレオナ。雨の中の懇願。エジプト、オーストラリアでの調査。御手洗のピラミッドでの実験。解決された事件。試写会場で頭痛を訴える御手洗。介護についた医師ティモシー・ディレイニーの正体。御手洗の語る真相とレオナとの約束。
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再読。
前回読んだ時は、紀元前のエジプトの悲恋、いらなくね?と思った。ミクルというのが、ミソだったんだね。やっと気づく。でもー・・・いるか?
ハリウッドにわたったレオナ。アイーダ87という映画を撮っていたが、殺人事件が起こり、中断を余儀なくされる。ので、早期解決を御手洗くんに依頼。御手洗くんたら、飼ってた
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途中までは「あ〜これは壁本だな〜でもこれこそが島田イズム〜好きやわ〜」って思ってたのが、最後10%くらいで覆された。良い意味で。あれほどまでのトリックを捨て駒に使えるの凄いよ…。個人的に翼ある闇に次ぐくらいの衝撃。御手洗のロマンスじみた(?)ものが見られるのも珍しくて良かった。
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重厚長大という四字熟語がぴったりの、まるで辞書のような小説であったが、少しも疲労を感じさせなかった。
リーダビリティに関してはもう云うことはないだろう。冒頭のエピソードから、結局事件には直接関係は無かったのだが、物語に幻想味を持たせるためのファクターとなる古代エジプトの挿話とタイタニックの挿話がそれ自体1つの短編として機能するほどの質を備えている。
よく考えてみたら、なんと贅沢な一冊なんだろう、これは!!
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島田氏、また凄い本を書きよって。
『暗闇坂の人喰いの木』を読んだ時はスケールの大きさにびっくりしたけど、本作品はその比じゃない。
なんせ、古代エジプトの話と、タイタニック沈没の話と、現代の話がない交ぜに構成され、そこにピラミッドの謎が入り込んでくる。
現代に怪物も出てくるし、これ、さすがに収拾つかないのでは…と不安にさせられた。
アメリカのとある島に造られたクフ王のピラミッドをそっくり模した建造物で殺人が起こる。その現代ピラミッドに付属する塔の7階で溺死体が見つかるのだ。そこに『暗闇坂の…』に登場したレオナが絡んできて、レオナが御手洗に解決を依頼して、やっと御手洗登場。
ピラミッドに関する諸説の話は凄く興味深くて、専門書を読んでみたくなった。
『暗闇坂の…』の石岡君のスコットランド旅行記が、本作品ではエジプト旅行記に代わる訳だけど、これまた素晴らしい紀行文で、ギザに行きたくなる。島田氏、異文化に触れた人の感銘を表現するのホント上手い。
古代エジプトのターンも、田舎の娘が都会に出てくる高揚感とか、ギザの美しさとか、景色が目の前に浮かぶような文章で、なかなか読ませてくれた。ここに出てくるピラミッドの原型の様子はおそらく一説に基づく創造なんだろうけど、凄く説得力あった。
結局現代パートとのリンクはほのめかす程度のものだったけど、読み物として面白かった。
現代ピラミッドの下部に海からアクセスする通路や秘密部屋があることを御手洗が暴くあたりから「こんなの分かるか!」って気分にさせられて、現代ピラミッドの仕掛けを御手洗が解く場面では「バカミス!!!」とめちゃ突っ込みを入れた。殺されたはずのリチャードの声が幻?えっ、御手洗そんな非科学的な説明で済ませるの??みたいな。
しかし! そこからの大どんでん返しで本作品は逸品の仲間入りですよ。
まぁこれも突拍子もないし(禁断の双子オチだし)、密室のはめ殺し窓踏み外して脱出って!(褒めてる)とは思ったけど、ピラミッドポンプ説よりずっと現実味があって納得できた。
御手洗の頭の良さも堪能できたし。
レオナの突然の「ホモなの?」発言も良かった(?)。
島田氏の作品はいつも派手だ。
最終的には期待に応えてくれた、満足の一冊だった。
Posted by ブクログ
今回も長いお話だったけれど全く退屈しませんでした。ただ前半の所がもう少し暗闇坂のようにのちのち関連するのかと思ったからそれは残念。最後はお見事
御手洗の愛犬が死んだことがショック…御手洗が欝になるのもわかるよ
Posted by ブクログ
面白かったですが、前振りが全体の半分近くを占めてるという長さ
その前情報を知ってなかなか読めずにいたのですが、読んでみると案外その前振りも面白くてスイスイ読めました
御手洗シリーズだってことをつい忘れかけました…
タイタニックの話はあそこまでしなくても良かった気がしますが、古代エジプトの話は重要だし面白かったです
ディッカとミクルが切ない…
ミステリとしては見事にミスリードされました
どんでん返しにびっくり
まぁ何がびっくりってレオナが御手洗好きすぎなことと、「ホモなの?」発言の方が驚きでしたが…笑
Posted by ブクログ
綾辻行人さんの『どんどん橋、落ちた』を読んだら、島田荘司さんの本書を読み返えさずにいられなかった。『どんどん橋、落ちた』は本格ミステリの教本のような作品であり、その中の「フェア・プレイ」を巡る原則的なルールに触れた文章を読んだからだ。
「謎を解くにあたって、読者は探偵と平等の機会を持たねばならない。すべての手がかりは、明白に記述されていなくてはならない」
つまり
「解決の段階になってから読者の知りようがない事実を出してきて、『実はこうでした』とやるのは反則」
「三人称の地の文に虚偽の記述があってはならない」
「三人称の記述というのは原理的に、すべての真実をあらかじめ知っているはずである、いわゆる<神の視点>がその上位に控えていて、記述内容の客観性・正当性を保証しているわけです。だから、三人称記述においては、会話文以外の地の文ででたらめを書くことは許されない。事実に反することを事実であるかのように明記しておいて、『手がかりは出揃った』と云うのはアンフェアだろう」
「たとえば、秘密の通路などどこにもないと書いておきながら、実はその部屋には隠し扉があった」はアンフェア。
さて、大人気<御手洗シリーズ>の1冊である本書『水晶のピラミッド』はどうだっただろう。昔読んだとき、その部分でアンフェアな感想を抱いたことを思い出したのだが。
検証しながら再読すると、個人的にはギリギリセーフといったところか。アウトと判定する読者がいても仕方ないかと思えなくもない際どさではある。
しかし、本書はそんなことを些細なことと笑い飛ばせるくらい、奇想天外。人を食った話である。いろいろな意味で考えさせられ、驚かされる本格ミステリである。
結局は大いに楽しんだ。終盤を迎えたころ、“真の真相”が明かされる場面から終わりまでを一気に読んでしまおうと、喫茶店に入った。読み終え、“サイフォン”で丁寧に淹れられたコーヒーの最後のひと口を飲み干すと、いつもよりちょっと苦かった。
Posted by ブクログ
古代エジプトのエピソードが混ざってくるのは「これがどう事件につながるの?」と興味深く読めた。
物理的なトリックや建物の構造が頭でイメージしづらかったり、最後まですっきりしなかった部分はあったけどやっぱり御手洗シリーズは面白い。
Posted by ブクログ
エジプトの話とタイタニックの話がとにかく長い。面白いけど、真相とは別に関係ない。
そしてエジプトの話はすごく救いがない…
ミクル=アイーダ=レオナ×アヌビス=ディッカという構図?を仄めかしたかった?
御手洗が出てきてからは、さっさと物事が進んでスピード解決!ピラミッドを使った壮大なトリック!と表向きに思わせておいて、真相は手動。