あらすじ
百歳を過ぎた今も現役で活動を続ける美術家・篠田桃紅。墨や金箔などで構成する大胆な抽象画は、海外からも高い評価を得る。女学校を卒業したら、その多くがお見合い結婚する時代に、「くじびきみたいな結婚なんて、とんでもない」と独身を貫き、戦後、まだ海外へ行く人がほとんどいない時期に、単身ニューヨークへ渡って個展を開くなど、その行動は前例のないことばかり。「常識の世界に生きなかったから長生きできた」「人生というものをトシで決めたことはない」と断言する著者が、年齢に関係なく、いつまでも第一線で活躍するための秘訣を語る。【目次】はじめに/第一話 常識の世界に生きなかったから、長生きできた/第二話 苦労なんかしてないわね。したいこと、してるだけ/第三話 人間としてやることはもう全部やっちゃったみたい/第四話 人生というものをトシで決めたことはない/第五話 “美”とは、相反する両極を持つこと。そこに一切がある/第六話 人生の予測は立てられない。すべてなりゆきまかせ/おわりに
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Posted by ブクログ
とかく人間は他と同じでありたがる。一人でいることの寂しさから誰かと群れ、その中からはみ出さないようにと自分の考えをしまいこもうとする。私自身もそんな平凡な人間だ。だから彼女の生き方が羨ましい。あと数年で60歳に届こうとしている今感じることは周りの友人が少しずつ離れていこうとしているということ。でも人との協調性に欠けていたかもしれない作家は自分の美術家としての確固たるものを持ち自分を表現することで100歳を超えた今でもいろいろな人が彼女のもとへ集まってくる。彼女には自分というものを持ち続ける強さがあった。年を考えずに生きること、その年齢でなければできないことがあるのだということばに勇気づけられた。
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篠田桃紅さんの書が好きで、彼女の人生に興味があり手に取った。自立した女性、というイメージの通り、自由であることにこだわった生き方をされている。自由とは自分を客観視できていること。戦前・戦中・戦後と生きてきたなかで、その当時の雰囲気として困難や苦労に感じることも多かっただろうが、そういったものを感じさせない力強い言葉の数々だった。
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展覧会がとても良かったので拝読。抽象についての語りがスッと胸に入ってきて心地よかった。そして兎角格好イイ。感性が鋭く時を越えて最先端すぎる(作品がカラーでないのが惜しい。是非生で観た方が良い。「長生きした人」の一面でおさめてしまわず)
Posted by ブクログ
墨の線による抽象美術家・百歳を超えた篠田桃紅さんの語り下ろし自伝。文学にも造詣の深い桃紅さん。まだ独り身の私からすると、ずっと独身を通しておられる彼女の言葉には勇気付けられた。「自由とは自分にのみ依っていること」という言葉が印象的だった。人は皆、オリジナルで個性的でユニークかつ孤独な存在。本書からはそんなメッセージを受け取った。「運命だからあんな性格なのではない、性格が運命をつくる」という話も感銘を受けた。一度しかない人生はどう転んでもなるようにしかならない。たとえわずかでも心のままに生きたい。
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新聞の広告欄を見て購入。本書を読むまで、正直この方のことは全く存じ上げなかったのだが、103歳にしてなお現役の芸術家として活躍されている姿には只々敬服する。
文章はいたって読みやすく、語り掛ける口調で気負わない雰囲気が漂っている。しかしながら、芯の強さ、凛とした生き様はしっかりと伝わってくる。帯のお写真も素敵。
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NHK朝のニュースでも紹介のあった、篠田桃紅さんの著作。103歳でもなお現役の芸術家である篠田さん。女性は伴侶を得て家に入り家庭を守るというのが当たり前の時代にあり、人に依る生き方に疑問を抱き、自分本来の生き方を選んできた。
書の世界で身を立て、戦前戦後の厳しい時代を生き抜いてきた。墨を用いた抽象画の世界に導かれ、単身ニューヨークまで個展を開催しに飛び込んでいる。
その自由闊達さ、潔さを羨望するとともに、運命的な出会いも含め、永らえた生き方をとらえる視点は、肩に力が入らず柔らかくそして穏やか。
「常識の世界に生きなかったから、長生きできた」
「苦労なんかしてないわね、したいことしてるだけ」
「人生というものをトシで決めたことはない」
「人生の予想は立てられない、すべて成り行き任せ」
篠田さんのコメントに多くの方が共感しているとニュースは告げていました。
粋でおちゃめなおばあ様という感じですが、一筆の直線に秘める墨の濃淡、一度限りの形との出会い、向き合うまなざしは齢に無関係にキラキラと鋭い。
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大先輩からの大いなるメッセージ。
この本を読むまでは、どちらかというとあまり長生きはしたくないなぁと思ってきた。
けれど、百歳になったときに桃紅(とうこう)さんのような気持ちでいられるのなら、そんな人生も悪くないなと元気づけられました。
わたしもどちらかというと常識からはずれた、本書でいう日本人のうちの2割のほうに含まれた人間で、社会の常識に沿っては生きづらいと感じてきました。桃紅さんのように、自らの魂を貫いて生きていくことも悪くないなと、勇気を与えてもらいました。
最後の1/3の芸術に対しての考え方はまったく共感できる部分でもあり、いちばんの読みどころです。
自由な道を選べる人生が与えられている現代ですから、みなさんが幸せで充実した一生をまっとうされるよう、一度は読んでいて損のないと思えるオススメの一冊です
⁽˙³˙⁾◟(๑•́ ₃ •̀๑)◞⁽˙³˙⁾
Posted by ブクログ
自分も人生後半になり、諸先輩方の老い方を参考にしたいと思って色々な高齢女性のエッセイなどを読んでいるが、高齢女性でこれほど健康状態などについての愚痴や泣き言が少ないエッセイも珍しいと感じた。
100年以上も前の時代に生まれた女性が、芸術一本で国内に留まらず海外でも活躍できたのは、精神に留まらず肉体的なしがらみからも自由だったからなのかもしれない。
Posted by ブクログ
篠田さんは103歳でこの自叙伝を書かれた。2016年現在は105歳になられるのか。大変な長寿である。彼女は墨を使った水墨画家で、本書の各章末に白黒の絵がコピーされている。カラーで見ると、墨をメインにアクセントで金が入っていたり、非常にセンスが良いことがわかる。筆をスッと引いた線が特徴的だ。時に四角を描き込まれていたりする。もし展覧会があれば、是非生で拝見したい。彼女の絵からは無限に想像が膨らむなにかが発せられているような気がする。抽象画はそれほど興味のないジャンルであったが、ただの食わず嫌いだったようだ。篠田さんは未婚である。お子さんもいない。43歳から2年の渡米経験をお持ちだ。本書では、両親からしつけられたこと、主に母について書かれている。どうも自由奔放に生きていることが、長生きの秘訣だそう。着物を粋に着こなす、とても素敵な女性である。
Posted by ブクログ
2015.7.15 100歳でこれだけ元気でパワーがあるってすごい。戦争で死にそうになった体験談がぐっときた。あの時代で独身で活躍できて、いろいろあったのだろうなと思う。芯の強い女性で、個性的なのが文章でもよくわかった。