【感想・ネタバレ】西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇のレビュー

あらすじ

西洋史の泰斗ジャック・ルゴフが「先駆的民俗学者」と呼んだティルベリのゲルウァシウスによる奇譚集。南フランス、イタリアを中心にイングランドやアラゴンなどの不思議話を129篇収録。幽霊、狼男、人魚、煉獄、妖精、魔術師……。奇蹟と魔術の間に立つ《驚異》は「人間と世界の在り方の反省へと、謙虚に誘う」神聖な現象だった。中世人の精神を知るために必読の第1級史料。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

12~13世紀の聖職者・ティルベリのゲルウァシウスが著した"Otia Imperialia"(1209-1214)の第三部を全訳した書。アルル王国を中心とする世界各地の「驚異」譚、全129篇を収録する。
本書は、ティルベリのゲルウァシウスが主君たる神聖ローマ皇帝オットー4世の為に物した奇譚集(の第三部)を邦訳したものである。激務に勤しむ皇帝の気晴らしの為ゲルウァシウスが本書で紹介するのは「自然のものでありながら、わたしどもの理解を越えた物事」たる《驚異 mirabilia》、即ち世界各地の奇譚・伝説どもである。古代ローマの詩人にして「魔術師」たるウェルギリウスの伝説、煉獄より出でて生者に死後の世界の秘密を教える幽霊、異形の人種や豪華絢爛な宮殿のある「インド」の情報――。ゲルウァシウスが長きに渡り暮らしたアルル王国を始め、イタリア、ブリテンなど世界各地の奇譚が、時には他の文献を基に、時にはゲルウァシウス自身の見聞を基に多数紹介されている。語られる《驚異》の数々はどれも興味深く面白いものであり、また史料的にも貴重なものばかりである。それらの記述を通してゲルウァシウスたちが生きた時代の社会や価値観も透けて見える本書は、中世ヨーロッパの豊潤な伝承世界に触れる最適の書と言えるだろう。

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2015年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

129の奇譚集。主君に捧げる目的で、各地方で人々に語り継がれてきた伝説や物語を集めた著作のようだ。
数行のごく短い話から、数ページにわたるキリスト教に関わる話まで、好奇心をくすぐるものがいくつかあった。悪霊に連れ去られた貴婦人や、火災を告知する悪霊、イングランド海の人魚、家に侵入してくるラミアなど。必要な人にとってはさまざまな創作のヒントになりそうでもあり、興味深い。

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2025年12月01日

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