【感想・ネタバレ】聖書の読み方のレビュー

あらすじ

世界でもっとも多く読まれている書物であるにもかかわらず、ともすれば日本人には敬遠されがちな聖書。しかし、そこには意味深いメッセージが随所に秘められている。律法と福音、処女降誕、キリストの復活……。これらの真の意味は何か。「北森神学」で知られる著者が、聖書そのものに即して伝授する読み解くためのコツの数々。聖書初学者必読の書。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

『神の痛みの神学』で知られる著者が、旧約聖書および新約聖書のなかからいくつかのエピソードをえらび出し、その読み方を示した本です。

著者は、旧約聖書における神と人間との契約は破られ、新約聖書においてふたたび結ばれたといいます。このような両者の関係について著者は、旧約聖書に新約聖書が「すかし模様」としてえがかれているといいます。

また著者は、聖書にえがかれたさまざまな「奇跡」が、たんなる異常な現象すなわち「異象」ではないと述べています。「異象」は認識の対象であるにすぎないのに対して、「奇跡」は信仰の対象であり、しかも両者はただ異なるものとして区別されるのではなく、「奇跡」が「現象」に結ばれているところに、信仰の本質を見ようとしています。

著者のこうした「聖書の読み方」は、13の「ケイス・スタディ」によって具体的に語られることになります。著者は、愛に値しない者を愛するという不条理に神の愛を認め、また人間が神の律法を守ることで義認されるのではなくただ信仰によって義認されることに福音の意味を見ようとします。これらの「ケイス・スタディ」は、人間と神の関係がいったん切断されたうえでふたたび結びなおされるという構造をもっているということができるように思います。

さらに著者は、「生きているのは、もはや、わたしではない。キリストが、わたしのうちに生きておられるのである」というパウロの信仰において、人間と神との直接的な合一を否定したうえで「キリストとの合一」が説かれていることに着目します。ここには、否定を介しての肯定、あるいは死と復活をキリストの「神の痛み」という考えにもとづいて理解する著者の立場が示されているように感じられます。

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2020年04月28日

Posted by ブクログ

「かつて聖書を読んだけれどよくわからなった」「聖書に書いてあることが理解できない」という方には、捉え方の一助にはなるのかもしれません。
聖書の基本情報(新約・旧約のだいたいの内容など)を知らないと、何の話かわからない部分があると思いますので、まだまったく聖書を読んだことがないけど…、という方には不向きかと思います。
個人的には、以前「信じることは、ジャンプすることだよ」とある人に言われたことの意味が、この本を読んでみて、感覚でではなく、言葉として理論的に理解できたように思います。
なかなか信じがたい「奇跡」についての「奇跡(ワンダー)と異象(ミラクル)」の違いという説明には、おーなるほど、と、自分の中でいまひとつひっかかっていた部分を取り除いてもらったような感覚がしました。
とかいいつつも、求道中ですらないワタクシですが(^^;

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2013年01月19日

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