【感想・ネタバレ】肝臓先生のレビュー

あらすじ

町医者というものは、風ニモマケズ、雨ニモマケズ、常に歩いて疲れを知らぬ足そのものでなければならぬ――どんな患者も肝臓病に診たてたことから“肝臓先生”とあだ名された伊東の開業医・赤城風雲。戦争まっただなか、赤城は、蔓延する肝臓炎を撲滅せんと、寝食を忘れて研究に没頭、患者のために今日も走りまわっていた……。滑稽にして実直な、忘れ得ぬ人間像を描き出した感動の表題作のほか、「魔の退屈」「私は海をだきしめていたい」「ジロリの女」「行雲流水」を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

5編収録の短編集。これといって特に共通するテーマもなく、これといって特にオチもなく、全編主人公の男がうだうだ語るという体なんだけど、冒頭から読者を引き込む語り口の妙味が素晴らしい。ただし、表題作の「肝臓先生」だけは例外で、これはストーリィ、展開、オチ、キャラクタ全てが優れている。今でいう舞城王太郎を豊富とさせる突っ走り文体で語れる肝臓先生の虚実入り混じった(虚はないのか?)逸話は感涙むせび泣くこと必至というのはもちろん言い過ぎだ。伊東市に行ったら、肝臓石を探してみようと思う。それと「行雲流水」もアホらしくて好きだ。

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2014年07月10日

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