あらすじ
資治通鑑とは、
坂本龍馬、西郷隆盛、水戸光圀、北畠親房、
そして毛沢東が愛読した“幻の歴史書”
資治通鑑を読まずして中国は語れない! 中国人を理解することはできない!
紀元前500年から1500年間の中国の歴史を描いた『資治通鑑』(司馬光・編)は、1万ページ、全294巻にも及ぶ空前絶後の大作である。
長い歴史の中、幾度も繰り返される激しい権力闘争と粛清、そして桁外れの蓄財など、社会の負の側面は、現代中国にそのまま共通する。また、虐殺や食人など戦慄すべき悪行の数々……。その一方、命を捨てて義を貫く「スーパー善人」も数多く登場する。
この大著には、中国人の倫理観や歴史観に影響を与えてきた事実が詰まっているのだ。
私たち日本人の多くが持つ疑問、「孔子孟子の時代の道徳が、なぜ現代中国からは感じられないのか?」についても、その答えが見えてくる。
歴史から現代を知る画期的な一冊。
【著者紹介】1955年、大阪府生まれ。リベラルアーツ研究家、博士(工学)。京都大学工学部卒業、同大学大学院工学研究科修了、徳島大学工学研究科後期博士課程修了。1980年、住友重機械工業入社後、カーネギーメロン大学工学研究科に留学。2000年に独立し、ITベンチャーの顧問などを歴任。その後、カーネギーメロン大学日本校プログラムディレクター、京都大学産官学連携本部准教授を務める。現在は「リベラルアーツ教育によるグローバルリーダー育成フォーラム」を設立し運営している。また、講演活動や企業研修を行っている。
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Posted by ブクログ
いや、これはめっちゃ面白い。序章は読まなくて良いという方もおられたが、僕は序章が何より役に立った。今後古典を読み進める上で、ITの専門家がどのような工夫をしたのかが大変参考になった。自分も同じ畑で、同じようなことを考えていたので、すでにそれをやってる人がいたとは、やはり世の中は広い。参考になります。
中国的価値観を知るための良書
その書名は世界史の教科書にも登場する中国の歴史書ですが、全編翻訳されたことがないのとこと。本書はこの歴史書の特に中国的価値観の一端を知れる部分を抜粋したもの。
今後彼の国と対峙する場面が増えていくであろう我が国において、多くの方に読んでいただきたい良書です。
Posted by ブクログ
著者曰く、「中国人は善悪のレンジが非常に広い」とのことですが、この本では、日本人としての感覚では「悪」の部分がたくさん取り上げられています。
が、善悪はあくまでも相対的であったり、時代や土地によって左右されたりするもの。
そういう目で見た方が、中国人の本質が見えてくるように思いました。
確かに行為そのものだけを見れば「残酷」な事象がたくさん取り上げられていますが、そこに至る過程は、完全に同意ではないものの、納得できる部分が多々あるように思います。
そういう意味では、人間は、多少の時代の違いや土地の違いでは、変わらないのかもしれません。
Posted by ブクログ
主に資治通鑑を読み解くことで中国史を見る本。
残酷さのスケールの大きさに圧倒される。
だますことが悪なのではなく、だまされる方が愚かだという風潮は現代に通ずるところがあるのはわかる。
けれど、どこまで歴史が現代の精神のあり方につながっているかは首をかしげる。
例えば織田信長の例をだされて、現代日本の精神性について語られても、首をかしげる人は多いだろう。
資治通鑑は約1,000年も前に編集されたもので、織田信長より前の時代の話だ。
けれど、例えば戦争を回避する方法について歴史から学ぶのは大切であるし、やはり現代に通ずる部分も否定できず……本書にも書いてあることだが、同じようなことをやって、無罪放免になったり死罪になったりと結果が大きく異なる例は多い。歴史に学び、未来に活かすことの難しさ。
一方で、やはり歴史を学ぶことをやめてはいけないとも思う。