【感想・ネタバレ】日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

前半は東郷氏による講義形式で、後半は保阪氏との対話形式で各領土問題を解説、解決の糸口を探ります。
東郷氏は領土問題には「法的」「政治的」「歴史的」な3つの側面があると分類し、各問題に対して、前提となる史実、条約文書などをあげながら、一つずつわかりやすく解説してくれます。領土問題は「政治的」な解決しかありえなく、しかしそれが「歴史的な」問題からくるナショナリズムと結びついたときには、その問題を解きほぐし何らかの解決に導くという事にはきわめて大きな困難が伴う、と指摘します。

ナショナリズムとの結びつきという側面でとらえると
竹島>尖閣諸島>北方領土
という評価になるのでしょうか。

こと竹島に関しては、現在の日本が韓国同様竹島問題をナショナリズムと結びつけた際の危機的状況を、韓国側にも冷静に想像して考えてほしいと指摘し、本件のように政治的に冷静な議論ができにくい状況では、民間レベルでの冷静な意見交換が必要であるとしています。

韓国にとっては1905年の竹島併合を1910年の韓国併合の布石としてとらえられている状態であること、尖閣もまたその領有が下関条約による台湾併合の前座とみなされ得る時期にあることを踏まえ、尖閣は早期の対策が必要になります。「グロムイコの屈辱」を中国に味わわせることをやめなければならない、という氏の指摘には尖閣問題がナショナリズムとの結びつきに落ちることを回避する意味合いがあります。が、実際にその問題性を認め、道筋を作るには相当な胆力が必要となりそうです。しかし、今後中国との協力体制を構築し、中国に脅威を感じるすべての国との信頼関係を構築するためには尖閣問題の深刻化は避けなければなりません。

島国である日本に育つと、国境・領土問題に鈍感になってしまうきらいがありますが、逆にそれは自国の領土問題に対する冷静さを保ってくれるものとも思います。竹島に関する韓国の発狂ぶりを見て、その背景となっている国民感情、教育の実態を知り、自分が同様に発狂した際にどうなってしまうかを冷静に想像してみる、その素地が日本にはあると思います。

0
2013年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本のこれからの20年の基本戦略は明らかである。一つは、中国との間で、相互の基本的国益を害し合わず、可能な協力を実施する関係を構築することであり、それは本質的に中国の利益でもある。もう一つは、そのためにも、中国の台頭に顕在的・潜在的脅威を感じるすべての国とできうる限りの信頼関係を作ること。これは、いかなる意味でも「反中包囲網」をつくることを意味しない。安定した二国間の協力関係をつくるということ、との問題意識から書かれた一冊である。

0
2012年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【書評】
 本書の筆者である、ロシア担当の元外交官が語る声には重みがある。領土問題を語る場合、現在の日本がおかれた状況に、筆者は並々ならぬ危惧を抱いている。筆者が深く関わった北方領土返還交渉を始め、竹島、尖閣諸島を巡って、一連の関係国の日本への風当たりはどれも強くなっている。これは、日本の対外的な力が落ちていることを意味するとともに、世界が異なる秩序に入りつつあることを示している。
 実務家として領土返還交渉に携わった筆者によると、北方領土交渉の失敗の幾つかは日本の側に帰せられ、戦後の日本政府と外務省の進めた領土交渉は「ミッドウェーに匹敵する敗北」を喫してきた。「交渉者の判断を曇らせた大きな要因は、歴史の大きな力関係の中での、日本の力に対する過信である」(p69)。
 そして、日本は周りの環境が著しく変化する中でも、領土問題へのアプローチは「敵」の不当性を叫び、我が方に正義有りと「一貫」したものでありつつけている。しかし、領土問題への解決は、時間によっては果たされないどころか、日本の相対的国力の低下によって不利に働いている。「今なによりも必要なことは、交渉敗北の事実を仮借なき眼で見据えることである。それができなければな、今後の交渉にいかなる展望も開き得ない。起きる結果は、一層の敗北のみである」(p67)。
 
【感想】
 複雑な背景を持った領土問題に関心のある人は少ないか、関心があっても自国の正当性を疑わず、頑な態度を変えない人であるかのどちからだ。どちらの態度も領土問題解決にブレーキをかける存在となることを認識した上で、基本的な歴史的経緯を抑えつつ、枠にはまらないアプローチはないか模索した本であると言える。本書では、政治的、歴史的、法律的に絡まり合ったそれぞれの領土問題の特色が分かりやすい。基本的な歴史文脈を説明した上で、決して有利には働いていない現状を打開するために、幾つかの提言が成されている。
 それら提言は必ずしも、日本にとって耳障りの良い物でもなく、日本の正義を疑わない人には面白くない内容だろう。しかし、そうやって、かつての主張にしがみ付くことが解決につながらなかったことは火を見るより明らかであり、時間は有利には働いていない。実務家として実際に交渉に携わり妥結一歩手前までこぎ着けた者の主張には、少なくとも敬意を払うべきものがある。特に北方領土交渉に関しては、日本の国際社会でおかれた状況、そしてその弱さを冷徹に見つめるリアリズムが必要であり、その上で共同開発などで自然保護などを通して日本のルーツを探る必要もあるのかもしれない。もう残された機会の窓は多くはないのだから。

0
2012年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本の領土を如何に守り解決するか? 太平洋戦争終結後、日本は一貫して領土問題を避けて来た。 いや、逃げて来た。 もし私が結論を出せと言われるならば、淺知恵といわれてもひとつの結論を持っている。 まず、領土問題は、北方四島・竹島・尖閣諸島を並行して処理する方法。 まず、北方四島(択捉・歯舞・色丹・国後)は、歴史問題からしても、まず間違いなく日本の領土であり、譲る事は出来ない。 ロシアの不法占拠である。 尖閣諸島も歴史的にもこれも日本の領土である。 日本が実行支配してる。 しかし、竹島に関して言えばICJに訴える方法もあるが、韓国は竹島に関しては、非常に強行だ。 まず、韓国と妥協して竹島を認めるが商業権も認めさせる。 さらに、北方四島・尖閣諸島に関しては日本側の味方に付ける交渉をするべきである。

0
2012年04月24日

「社会・政治」ランキング