あらすじ
リーマン・ショックとそれに続く経済危機とは、人間の精神の荒廃が招いたものでした。
「祇園精舎」に始まる、琵琶法師が語った平家物語冒頭の一説。それはまさに覇道に走るウォール街のモンスター投資銀行の末路を示すものに、僕には聞こえます。
そして、それは、「今までの資本主義」が近い将来、その終焉のときを迎えることをも物語っています。
壇ノ浦の潮の目を前にした僕の目には、「今は壇ノ浦」のように見えました。見えるというより「確信」しました。こうした確信を持って今後の世界を考えるのか考えないかによって、人一人ひとり、企業一社一社、また国一国一国の将来が大きく異なってくると思います。
──バンカー(銀行員)として、インベスター(投資家)として、この四半世紀を、ウォール街のただ中に生きてきた著者が、「強欲資本主義いまだ死なず」と憂えつつも、世界の随所に見られる新しい時代の芽吹きを伝える。そして、若い人たちによる、「強欲資本主義」という名の「教会」からの人間性の復興──17歳からのルネサンスを呼びかける。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
思い当たる節が多くてかなり反省。
ウォール街で実際に働いていた人の話だからこそ、説得力がある。
(すでにこの書き方からし強欲のかけらがでてるけど)
最近目先のことを追いかけていることが多く、もう少し先のことも見据えなくてはいけないと思った。
Posted by ブクログ
【ポイント】
8/「今世界が潮の変わり目である」ことを伝えたい。
31/毎期増収増益という、永久に満足することのない利益の追求こそが「強欲資本主義」を支える根底のシステムである。
32/制限がある社会で、「無制限な利益の追求」は成立しない。
33/ダーウィン曰く、「大きいものよりも、環境に適応するものが生き延びる」と。
環境に夜企業の選択は始まっている。
57/米国に金融崩壊をもたらした背景
?行政・立法の問題、?金融市場の運営、?テクノロジーの発展と経済のグローバル化
?人類(先進国)全般における価値観の変化
「利他心の欠如と過剰な自己中心主義の勃興」「異常な金銭欲と物質主義への傾倒」
「人々の間の『共感』の欠如」
84/インフレの防止と景気維持、金融機関の監督という三つの役割は相互に矛盾する、
または対立するものであり、同時に完璧に果たせる人材はいない。
94/今、日本人がしなければならないこと。
一人ひとりが、「目を開いて、耳を開いて、心を開いて」先ずは現実をしっかりと捉える。
◆成長を望むなら、成長は技術革新をを通じてしかできないと腹をくくり、あらゆる部門で技術革新にチャレンジすべき。
115/問われる「価値観」
「人間の尊厳」こそが、僕たちが生活する上での規範の中心でなければならない。
我々一人ひとりの尊厳。「家族」である。
128/僕たち一人ひとりが、自分は何を望み、何を大事にしたいのかを自分自身の感性に問う。
134/「平和」を前提にしか考えられない日本経済・・・
161/「我々にとって共有できる価値観は何なのか」
173/ 何を基準に生きて行ったらよいのか?
「真・善・美」 「真の愛・善き心・聖なる美」 ←→「虚・悪・醜」
迷いが生じたとき その「迷い」はいったい何から発生しているのかを考える
「目を開いて、耳を開いて、心を開いて」先ずは現実をしっかりと捉える
197/◆トヨタでさえ、公開株式会社としての「常に増収増益、より大きな市場シェアの獲得、
販売台数世界トップ」といった計数目標にとらわれすぎて、本来の価値観(品質第一、顧客の信用第一)を見失ってしまっていたことを物語っている。