あらすじ
部屋の周囲に陳列された夥しい数のカード。モザイク、アラベスク、非対称なコンポジション、銅版画風、水彩画風、テンペラ画風……彼女はその部屋の中で煙のように消え失せてしまった。――洋館の密室から消え、屍体となって発見されたブリッジ愛好家。彼女の死を巡って仕掛けられた魔術的な企みとは? 瞠目の達成点を示すゲーム三部作完結編。少年探偵・牧場智久、戦慄の事件。
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Posted by ブクログ
日本では数少ない暗号小説の傑作。一冊の小説の中にブリッジの用語辞典がまるまる入っているという型破りなスタイルは、すれっからしのミステリ・ファンを心地よく挑発してくる。そして魅力的な謎が見事に解き明かされた後で、なお残る深い余韻。
「匣の中の失楽」でデビューした竹本健治という特異な作家にとって、本作を含む「ゲーム三部作」とは「ウロボロスの偽書」へ到る過程の作品なのか、それとも本格ミステリとメタ・ミステリが奇跡的にバランスした一つの到達点なのか。
いずれにしろミステリ・ファンにとっては、最高の悦楽を与えてくれる必読の作品であることは疑いない。