【感想・ネタバレ】覘き小平次のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 久々に再読しました。

 表紙は怖いけど、自分は読み終わって「夫婦ってなんだろう」みたいなことをずっと考えていた。

  何回も読み返して、味わい尽くしたい本。京極作品はいつもそうなのだけれど。

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2013年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どうやったらこんな文体でこれほど完璧に書けるのだろう。京極夏彦は実は昔の人なんじゃないだろうか…
と思ってしまうほど、慣れ親しんだ現代文章とは違う。しかし、戸惑うのは最初だけで、読み進めるに従いどんどん慣れてきて、むしろこちらがその世界に引き込まれてしまう。

ジャンルはミステリーではないはずなのに、伏線や人物が徐々にからみ合って行き、謎とは思っていなかったことが実は謎だった、そしてそれが解決されるカタルシス。

こっそり又市一味が出てくるのもファンには嬉しい。

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2013年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は結局、自分勝手に生きている。
そのズルさをわきまえながら、
図々しさにちょっと照れながら、
人間クサく生きている治平さんが好きです。

主人公の性格(モノの考え方・・・哲学?)がすごく魅力的だったのと比べ、物語自体はフツウだったので、☆4つ。


☆☆☆内容(ネタバレ)☆☆☆

主人公、小幡小平次(こはだ=こへいじ)は、
押入れの中に引きこもり、
ふすまのわずかな隙間から、女房をじっと見ている。

話しかけても答えないし、
語りかけても応じない。
奥さんが叩こうが蹴ろうがわめこうが怒ろうが、
何もしない。
ただただ、ずっと、押入れの奥から
覘いている。

「何とか云ったらどうなんだい!!」
女房は、益々荒れた。

--***--

小平次は役者だった。
何も演ずることができない、駄目な役者だった。

劇団の座長が死んだときも前妻が亡くなった時も、
腹の底から悲しくなった筈なのに、涙が出てこなかった。
泣くべきときに、何故か涙が出てこない。
もしかして本当は悲しくないのか。
悲しみとは何か。感情とは何か。
ひょっとして自分は何も感じないのか。
そう考えあぐねているうちに
・・・とうとう「自分がなんだか分からなくなっちゃった」人だ。

--***--

遺体に取りすがり、涙に暮れる遺族が居る。
「さぞ無念だったろう、さぞ悲しかろう、悔しかろう」
思いやる。
だが実際は、人の心が分かることなどない。
他人の気持ちが分かろう筈もない。
「自分の身近な人が殺されたらショックだろうな。。。」
「自分が殺されたら嫌だなぁ」
というイメージを自分勝手に膨らませ、
遺族に“なったつもり”の自分、
“『家族を殺された人の役』を演じる”自分、
悲しい気持ちになった自分を、
憐れみ、なぐさめる。

遺族を思いやっているのではない。
自分の演技に、酔うている。


小平次は自分が嫌いだ。
苦しむ人を見るにつけ、悲しむ人を目の当たりにするにつけ、
ふつふつと感情を湧き上がらせる自分が厭だ。
不幸な他人を“演じる”ことでハッキリしてくる、
ずうずうしい己が厭だ。
いつでも薄く冷ややかで、静かな状態で居たがった。

そうして、
小平次はしゃべることができなくなった。
自分のことを語ろうが、他人の事を話そうが、
しゃべるという行為は結局『自己主張』になってしまう。
自分のことをしゃべるのは、厭だった。

--***--

小平次は、他人を演じられない。
だから貶せない。褒められない。
呪えない。祝えない。
蔑めない。
怒れない。笑えない。悲しめない。
泣けない。
喜べない。


他人の心の内を、
覘くことしかできない。
そういう、悲しい男の物語。

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2014年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後はハッピーエンド?な終わり方だったので良かった。
治平さんが出てきましたね。あと徳次郎さんも出てきたんだけどどうも又市と出会う前のことらしく、又市自身は出てきませんでしたね。

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2011年09月17日

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