【感想・ネタバレ】カラスとの過ごし方【特別版】のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

幸一とカラス先輩はズブズブの共依存関係だなぁ……というのが一読しての感想。
生きる気力を完全に失ったカラス先輩にとっては自分を繋ぎ止めてくれる幸一は手離せない存在だったんだろうけど、半ば飼い殺しのように見えて辛い。
真剣に恋をしてお互いに向き合った結果として、こういう選択を選ばざるを得なかったんだろうなと。
「先輩を放って置けない、一人にしたくない」と友人や恋人との関係に支障が出るまで二人でいる事に逃げ込んで行くあたりは見ていて痛々しくて堪らなかった。
澱のようにぐらりと揺れる感情が穏やかにそっと掬い上げられていく透明感溢れる文章はどうしようもなく一つ一つが胸に突き刺さりました。
どうしようもなく悲痛でありながら、人と人がぶつかり合い、感情を重ね合う喜びがここにはちゃんとあって、そういった意味では幸一とカラス先輩の時間は幸福な時間だったとそう言えるのかもしれない。

幸一との別れのその後、互いの喪失の痛みを受け止め合い、共に生きていこうと思える光久に出会えてよかったね、という気持ちでいっぱい。
光久と二人で笑っている挿絵の屈託のない穏やかな二人の笑顔に胸がつぶれそうになりました。
光久のまっすぐな強さは、文字通り「光」そのものとして暗闇を照らしてくれるような清々しさが心地よかったです。
嫉妬や苛立ちをぶつけながら和隆の弱さも優しさも迷いも全て受け止めて、自分の中で生き続ける木生先輩ごと受け止めて愛そうとしてくれた和隆を可愛い、とまっすぐに愛して共に生きていく覚悟を決めた光久の強さと優しさは見ていて心地よかったです。
幸一の煮え切らなさに若干イライラしたのできっちり啖呵を切ってくれた辺りには「いいぞよくやった!もっと言え!」的なカタルシスがあったり(笑)
あとがきで朝丘さんが言っている「本当に書きたい物」が色濃く出た、清々しく穏やかな物語の締めくくりだなぁと素直にそう思えました。

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2015年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初に言っときます。
★5つの評価は、同時収録されている【ヒカル】に対してであり、
表題作への個人的評価は★1どころかゼロでも良いと思ってます。

実際とても評価の分かれる作品ではありますが【ヒカル】に登場する
光久が主役である【晴れの雨。】を読んでると、本当に
文句なしに光久と和隆が最終的に恋人同士になってよかったと
思いました。
あんなに綺麗で、切なくて、悲しい別れがあった光久が、
木生を心の中に大切に住まわせたまま幸せになる結末は、
これ以上ない素敵なハッピーエンドでした。

正直表題作の【カラスとの過ごし方】に出てくる幸一は
刺身のつまくらいでしかなく、読んでたらもう色々と胸糞悪いの
なんの……彼女まで死ぬほど鬱陶しいタイプの女で、
こういう子、職場にもいるわぁ……みたいな本当に色々と
腹立たしい。
一番腹立たしいのは幸一のどっちつかずな態度なのですが、
光久と結ばれた後にも和隆が自分を卑下して幸一を庇うのには、
光久じゃなくてもイラつきます。

辟易しながらダラダラと続く男女の痴話喧嘩と三角関係を
読みながらふと思ったんですが、はっきり言って幸一の存在って
別になくっても良かったんじゃ……。
絶望してたときに拾って飼ってくれた存在がいた、くらいに
匂わせて、全編【ヒカル】で構成してくれた方が嬉しかったです。
そんなわけで、もっとじっくりと光久と和隆が惹かれあっていく
過程を読んでみたかったです。
「死んじゃいたい」が口癖のようになってた学生時代の光久が、
「死にたくない」と願っていた木生を亡くした後に、どういう
風に生きてきたのか、そっちが気になって気になって!

もう一度【晴れと雨。】を読み返そうと思います。
新装版という形で出版されないかな、とちょっと期待しても
いますが、中々難しいんでしょうね。
絶版で入手困難ですが、この作品と合わせてぜひぜひ読んで欲しいお話です。
この作品だけ読んでたとしたら、私も幸一が和隆と結ばれたら
良かったのに、と思っただろうな……。

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2014年11月27日

Posted by ブクログ

出会いと別れ、絡まり重なる運命の恋。
「晴れの雨。」からの朝丘先生ファンには思いがけないプレゼントのような作品です。切なさと愛しさで胸がいっぱいになります。
いわゆる「BL」としては異色作。覚悟をして、ひとつひとつの言葉に滲んだ想いをじっくり味わうのに向いていると思います。

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2012年12月22日

Posted by ブクログ

異色と言われてなんで?と思うのは、私があんまりBLと呼ばれるジャンルを読んでいないからかもしれない。
BLの基本はハッピーエンドだというのは、ついこの前知りました。

確かにハッピーエンドじゃないのかもしれないんだけど、ドロドロと膿むような感情を、独特の透明感ある文章に仕上げる作家さんの力はさすがだと思いますし、そもそも本を読む時にBLだからというジャンル分けは必要なのか?とも思います。


さて、そういうわけで、これは、エロシーンとかハッピーエンドとかそういうBL必須要素を期待して読んではいけないということになります。
むしろBLというジャンルわけをすっきり追い出してから読んだほうがいいかもしれません。
でも問題は、BLじゃなかったらこの不協和音的なささくれた心持ちは生まれずに、作品の魅力もそのササクレ分だけ減っていたかもしれないという矛盾がここに在るということです。
そういう意味では充分問題のある作品でしょう。

ジャンル分けに関して問題を多く含む作品は実は私の好物の一種なので、朝丘さんと言う作家さんにますます持っていかれた気分です。

澱を沈めた透明感をぜひぜひ今後も味わいたい。

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2013年11月26日

Posted by ブクログ

まさに異色のBL。
今まで読んできたBL小説とは全然違う雰囲気のお話です。
ハッピーエンドが好き!という方は、ちょっと……なってしまうかもしれません。悲恋や切ないお話が好き!という方は良いかもしれません。
私は割と何でも好きなので、胸をきゅーっとさせられながら読みました。

男の先輩に惹かれつつも、常識、普通という枠から抜け出せず、覚悟もできずに思い悩む主人公の姿は、少々イラっとしてしまいました…。
ですが、それは誰しもがそうなのかもしれないと思うと、共感する部分もあり、なんとも言えない気持ちになりました。
というか、主人公の彼女だったり相手の先輩が綺麗な存在すぎて、悩んじゃうし比較しちゃうよな……。うん……。
そして、まさか「晴れの雨」のキャラクターが思わぬ形で出てくるとは!読みながら、やられた!とドキドキしました。

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2012年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好き嫌いが分かれる、人によっては地雷だらけの話。斯く言う私も、朝丘さん作品でなければ手を出すのを躊躇う。バッドエンドではないし、これはこれでハッピーエンドなのだと思う。これは様々な愛の形の話。それはわかるけど、やっぱり和隆と幸一で幸せになってほしかったと思ってしまう。

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2014年08月25日

Posted by ブクログ

透明感は流石だし、朝丘さんが本当にやりたいことだったんだろうけど
主人公は幸せにはなれてないよね
救済のページが少なすぎてみんなが幸せになれてない気がする

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2013年09月02日

Posted by ブクログ

終わりよければすべてよし?リアルの男子はこのくらいの葛藤があるのかもしれない。だがリアルを追求するわけでもないフィクションならあの終わりはないなとあたしは思った。ラストへの伏線だったならなんという細かい前置きなんだろう。最初と最後はよかったから☆3.5

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2012年12月29日

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