あらすじ
人類と〈機械知性〉とが死闘をくりひろげた〈聖戦〉から百年。地球の三分の一をおおう砂漠の中に、その少年はいた。古城宴。九年前、謎の壊滅をとげた東京シティの生き残り。現在は“大槻キャラバン”の一員として戦闘空母“箱舟”に乗り込んでいる。彼は今、仲間の少年たちとともに船を離れ、聖戦時の遺跡の発掘をしていた。作業用アームの先がなにか硬いものに当たる。丸いシルエット。“神格匡体”だ。人の想像力を現実の力にかえ、神話の神々を地上に顕現させる究極の兵器―。宴たちは期待と畏れに躍る胸を圧さえ、慎重にその白い匡体を掘り出していく。それが白猿神ハヌマーン、そして謎を秘めた少女シータとの出会いだった…。吹き抜ける風は熱く乾き、雷鳴は波乱を告げて轟く。少年よ、今こそ旅立ちだ。選考委員大絶賛のSF冒険ロマン。第六回ファンタジア長編小説大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
聖戦により地球の三分の一が砂漠になった世界。聖戦以前の超文明兵器の神格筐体は、人の想像力により神話の神々の姿を顕現させる。
9年前謎の壊滅をとげた東京の生き残り古城宴は、キャラバンの一員として戦艦空母箱船に乗る。聖戦の遺跡より発掘した神格筐体の中から、謎の少女が冷凍睡眠状態で発見される。そこに襲いかかる敵に対峙するため、宴は神格筐体に乗り込むのだった。
第六回ファンタジア長編小説大賞受賞作として、1995年に刊行された作品。実に90年代の魅力が詰まっています。ついつい90年代テイストで脳内CVキャスティングまでしてしまいましたよ。続きが出ていたらアニメ化していただろうなと思わされます。
そう、続きが出ていないのです。しかも謎はたっぷりと残したまま。謎のヒロインも何かあると匂わすだけで、出自も何もわからないままなのです。
驚くのはそういう内容なのに、ファンタジア長編小説大賞を受賞しているのです。巻末に当時のことが書かれているのですが、完結していなくとも大賞に推すだけの魅力の方が大きかったのですね。
確かに面白いです。魅力的なキャラクター、神格筐体の設定、そこにいのまたむつみによるイラストが付くのですから!
しかし刊行から25年、未だに続きは出ていないのです。どうやら続きを求める声は一定数あるようですし、電書化もされているようなのですが。なので声を大にして叫びましょう。続きを出して!!