あらすじ
“日本一チケットがとれない”演劇ユニット、大泉洋も所属する「TEAM NACS」のメンバー・戸次重幸の一人舞台『ONE』とのコラボ書籍。2014年1月から1人で全国1万2千人をも動員する舞台『ONE』(チケット即完売!)のサブストーリーとなる、6つの短編を、戸次重幸が「ダ・ヴィンチ電子版」で書き下ろし。その小説&舞台の戯曲&そして1万5千字にも及ぶロングインタビューを一挙収録。完全版「ONE」がここに。小説版と舞台版で「視点を変えて」楽しめる、“2度、面白い”本。本書には自らもTEAM NACSに所属する戸次本人が「これはドキュメンタリー」と語るほど、劇団事情のリアルさを織り交ぜた一編など、多彩な作品が並んでいる。みんな、そんなに偉くない。でも偉くない人たちで社会は成り立っている。戸次重幸が初の小説で描いたのは、そんな“しようがない”愛すべき人たち。ほろ苦くて、軽快で、舞台を愛する全ての人に贈りたい一冊。装画と挿絵は『変身のニュース』のマンガ家、宮崎夏次系(『モーニング・ツー』で連載中)が描き下ろし。
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Posted by ブクログ
彼の作るお芝居が好きだ。
一つのシチュエーション。
掛け違ったボタンの隙間から転がり落ちていく展開。
大笑いした後ほろっと来たり。
けれど、彼の作ったショートフィルムは、あまり好みではなかったし、彼の作る音楽も好みではなかったんだなあ。
だから、小説にもあまり期待はしなかった。
そうしたら思いのほか、いや、かなり面白かったんだわ。
短い戯曲と、それらのサイドストーリーということだそうだけど、前半が小説集、後半が戯曲集になっている。
この小説部分がね、決して上手ではないのだけれど、面白かったのだ。
好みだったと言ってもいい。
「チケットノルマ」
一番小説らしい小説かもしれない。
かっこ悪い人しか出てこない、かっこいい小説。
でも、「マンスリー呪い」とか「新人研修の日」のくだらなさが好き。
「悪魔の先輩」なんて、最後きれいにまとめなくても、ぶった切って終わっていたら、フレドリック・ブラウンの短編みたいで面白かったと思うんだ。
まあ、これはこれでありですが。
小説を読んだあと戯曲を読むと、これがまた面白い。
台詞とト書きしかないのに、なんとなく情景が見えてくる。
小説の残り香が、情景を見せてくれる。
小説は明朝体。戯曲はゴシック体。
でも、つながっているその世界。
初めての、不思議な感覚。