感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2014年07月10日
彼の作るお芝居が好きだ。
一つのシチュエーション。
掛け違ったボタンの隙間から転がり落ちていく展開。
大笑いした後ほろっと来たり。
けれど、彼の作ったショートフィルムは、あまり好みではなかったし、彼の作る音楽も好みではなかったんだなあ。
だから、小説にもあまり期待はしなかった。
そうしたら思いの...続きを読むほか、いや、かなり面白かったんだわ。
短い戯曲と、それらのサイドストーリーということだそうだけど、前半が小説集、後半が戯曲集になっている。
この小説部分がね、決して上手ではないのだけれど、面白かったのだ。
好みだったと言ってもいい。
「チケットノルマ」
一番小説らしい小説かもしれない。
かっこ悪い人しか出てこない、かっこいい小説。
でも、「マンスリー呪い」とか「新人研修の日」のくだらなさが好き。
「悪魔の先輩」なんて、最後きれいにまとめなくても、ぶった切って終わっていたら、フレドリック・ブラウンの短編みたいで面白かったと思うんだ。
まあ、これはこれでありですが。
小説を読んだあと戯曲を読むと、これがまた面白い。
台詞とト書きしかないのに、なんとなく情景が見えてくる。
小説の残り香が、情景を見せてくれる。
小説は明朝体。戯曲はゴシック体。
でも、つながっているその世界。
初めての、不思議な感覚。