【感想・ネタバレ】太陽黒点 山田風太郎ベストコレクションのレビュー

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ネタバレ

「遠隔操作 」の殺人
明も容子も自分の意志で選んでたのに…操られている当人さえも気がつかない…
自分が「遠隔操作」されてないか、不安になる本です。

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2014年09月24日

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ネタバレ

昭和30年代東京。
苦学生ながらも容姿淡麗、頭脳明晰、可愛らしい恋人もいる鏑木明は、ひょんなことから富裕層の集まるパーティーに参加。そこから彼の人生の歯車が狂いだします。

それまで平穏に過ごしていた明が、富裕層との格差に打ちのめされて野心を抱き、自分を失っていく様が滑稽でもあり恐ろしい。

高度成長期を迎えようとしている日本で、しかし将来に希望を見いだせない戦後を生きる若者の苦悩を背景にした、恋愛小説でもあります。

出来ればなんの前知識もなくいきなり作品世界に浸ってほしい小説です。
山田風太郎という作家自身を知るのにも、彼の書く小説がどういうものなのか知るのにも良い1冊だと思います。
読めば分かる、というのはなんでもそうなんですが、本書に対しては特にそうとしか言えません。
読めば分かる。

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生まれは平凡でも才能と容姿に恵まれた明にはサクセスストーリーを期待しましたが、享楽的なお金持ちの人々に振り回されるのが哀しいです。
そしてそれをどうしようもない思いで眺めている容子の健気さと執着。
若くて青い。その純粋さと頑なさが読んでいて非常に辛かったです。
ところで明を振り回す天衣無縫の恵美子はとても魅力的。豪胆で自由で、なぜか嫌味を感じませんでした。

そして最後で明かされる驚きの真相ですが、思えばいつも山瀬はターニングポイントで登場していたように思います。しかし、まさかこんな計画を胸に秘めていたとは分かるはずもありません。
彼自身の哀れな生活さえも利用し、必要とあらば散財も土下座も厭わなかった所に恐ろしさを感じます。

操作殺人は自身の安全は守られるかもしれませんが、目的を達する為の方法としては確実性が低く、時間もお金もかかるものなのであまり現実的とは思えないのですが、本書の一番凄いところはそんな疑問をも包括した動機でしょう。
これだけ手間暇かけて何人もの犠牲の上に杉麻子を追い詰めた理由には理解の範疇を超えるものがありますが、ここで改めて「誰カガ罰セラレネバナラヌ」という言葉が大きな意味を持って思い出されます。
作者自身の思いともとれるような戦争への強い憤りが感じられ、終盤の山瀬の独白には身震いする思いでした。

山田風太郎の作品には深いテーマとともに稚気が感じられるのが好きなのですが、本書でそれはあまり感じらなかったので、私の好みとしては本書は高評価ではありません。
しかし、操作殺人の真相、物語の構造、意外な犯人、そしてなによりも戦争や時代に対しての強烈な人間の心模様など、☆5をつけないわけにはいきませんでした。
読後、深く重く、いつまでも心に残る作品となりました

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2014年04月30日

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ネタバレ

恋愛小説が、青春小説が、一気にひっくり返される。
”操りもの”では間違いなく最高傑作だろう。登場人物それぞれの苦悩をしっかり描いているからこそできるトリックだ。まさかサラッと日記の中で書かれているビスマルクの外交政策が伏線になっているとは思いもしなかった。そしてその種明かしまでの部分もグイグイ読ませるのだからもう文句はない。

動機も、戦争に全くなじみがない自分たちの世代には実感はないが、確かに日本は戦争に負けたにもかかわらず「もはや戦後ではない」などともてはやされ、瞬く間に世界でも有数の経済大国にのし上がった。しかし戦争で命をかけて敵国に立ち向かい、その結果として青春を全て戦勝に捧げた人にとってはこれは喜ばしいこととは限らない。今までに考えたことのない新しい考え方だった。

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2022年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいる最中は、若者の破滅を描いた青春小説としか思えなかったが、最後にある人物の独白があり、ミステリー作品へと変貌する。
事件の構造と動機に特色がある。
また、戦争による犠牲の無意味さへの作者のメッセージが込められている。

(ネタバレ)
犯人はこの犯罪を「遠隔操作の殺人」と称しており、これがこの作品の狙い、特色になっている。作品の初めの方に出てくる、ある書物の内容が事件の真相に直結する核心となっているところが実に巧妙である。
「プロバビリティーの犯罪」で、遠大で相当大掛かりな計画に基づく犯罪であり、このようなタイプのミステリーを読んだときにいつも感じることだが、そんなに都合よくいくだろうかという疑問は持たざるをえないが。
各章の「死刑執行・〇〇前」という見出しがミスリードになっているところも面白い。
動機の間接性、屈折している点も、この作品の特徴である。犯人の戦争時の体験と、その後の人生で気づかされた戦争犠牲の無意味さ。「誰カガ罰セラレネバナラヌ」というメッセージに触発されて行われた「観念」による殺人である。

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2018年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あらすじから貧困層主人公の富裕層への復讐劇かと予想していましたが、男女の恋物語が始まって肩透かしを食ったわ~となってたらラストで見事にひっくり返されました。
このトリックの成立するバランスと犯人の語る幻想と観念に完全にねじ伏せられ一気に手のひら返しちゃいました……

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2016年12月28日

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