あらすじ
亡き父の後を継ぎ、万病に効くお灸「天祐子霊草麻王」を行商する「わたし」は、父の残した顧客名簿を頼りに日本海沿いの村を訪れる。土地の老人達、雑貨店のホットパンツの女、修験道者姿の謎の男……。人里離れた村で出会う人々は一癖も二癖もありそうな人たちばかり。やがて、帰りのバスに乗り遅れた「わたし」は、この村で一泊することになるのだが……。
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Posted by ブクログ
「やいと」とは灸、お灸のこと。とある理由でプロボクサーを引退することになった主人公は、川崎のソープランド街でふらふらと自堕落な生活を送っていたが、父の突然の死をきっかけに父の仕事を引き継ぐ、というところから物語は始まる。
父の仕事はお灸の行商。主人公は父が死ぬまぎわまで肌身から離さなかった全国の顧客名簿を携えてお灸の行商に出る。
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亡き父の後を継ぎ、万病に効くお灸を行商する「わたし」は、父の残した顧客名簿を頼りに日本海側の村を訪れる。帰りのバスに乗り遅れた「わたし」は、村で一泊することになるのだが…。全2編を収録。
14年上期芥川賞候補作。表題作は例によって魅力の薄い男が主人公のちょっとニヒルな展開の物語。芥川賞の選者たちは揃って戌井の力量は認めつつも何か足りない、的な評価だった。ただ短期間でこれだけ頻繁に芥川賞候補になるのだから大したもの。
(B)
2016年の読書はこれで終了。122冊(2冊は猫雑誌)読んでA評価は8冊(前年比+2)、B評価で☆5つが11冊(前年比+4)でした。
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人生の節目には、きっかけのような、機会を生み出すような儀式が必要なときがある。
この本の物語は蘖(ひこばえ)のような、死と再生の物語なのだと思う。
自分では切り落とせないものを、儀式によって取り払う。儀式とはいかないまでも、これからこうしていくというけじめをつける。それは、自らできる人もいるけれど、土砂崩れのようにはからずもまわりに流されてそうなる人もいる。
私は今、この本の始まりに立っている。自ら動かなければならないとわかっていても、なかなか踏みだせないでいる。
Posted by ブクログ
成井昭仁のゆるいロード小説が好き。これも表面上ゆるい感じで推移していくものの、いつからかある村から出られなくなり、そしてやがて…という展開がすてき。
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興味深い本だったというのが第一印象。
未来を切り開くのは自分自信であり、困難を切り抜けなければ勝ち取りたい未来はないのだ。
逆に困難がない未来はなくても同じであり、それは本当に望んでいたものではないし、どんな感動もあり得ない。
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ロードムービーのような、のんびりした感じでいくのかと思いきや、
途中からなんだか変な方向に...。
どこに辿り着くのか気になり、気づかぬうちに引き込まれる。
主人公の辿ってきた人生が少しずつ垣間見えて、
それとは似ても似つかぬお灸売りをするという設定がおもしろい。