【感想・ネタバレ】「奥の細道」をよむのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「古池や・・・」の句で蕉風開眼した芭蕉が、その俳句の実践の場として、選んだ場所が歌枕の宝庫である東北(みちのく)であった。
そして杜甫や西行のような旅に憧れて旅に出るのであるが、訪れた「みちのくの歌枕」の地での夢と現実のギャップそして失望、そして日本海側での「荒海や」の句で代表される宇宙的な体験、最後に人間世界への浮世帰りと、その旅の中で新境地を悟る。つまり、宇宙的なものから「不易流行」、人間世界への回帰からは「かるみ」へと、芭蕉の俳句が昇華していく旅であった事が平易に語られている。

若い頃は誰でも、希望に満ち溢れている、ところが、長く生きていると、どうも様子が違う事に気づき始める。そして現代のようになかなか死ぬことすら出来ない悲惨な人生をどう生きていけばいいのか?
著者は、「人生を幸福なものと思っていれば、ときどき出会う不幸は耐え難いものに思えるだろう・・・(略)・・・ところが、はじめから、人生は悲惨なものと覚悟していれば、ときどき巡ってくる幸福が素晴らしいものに思える。芭蕉が「奥の細道」の旅以降に詠んだ句はどれもこうした人生への深い諦念の上に立って詠まれている。あるいは、こうした諦念を下に敷いて詠まなければ、その味わいがわからない句である」
我々の今後の心構えとしても、押さえておきたい人生観でもあります。

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2013年06月11日

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