あらすじ
若く才能あふれる科学者フランケンシュタインは、死者を甦らせることに情熱をそそぐ。しかし、その結果生み出されたものは世にも恐ろしい怪物であった。その怪物は自らの孤独と悲しみから創造者フランケンの愛する家族を次々と襲ってしまう……愛する者を怪物から守ろうとする若者の苦悩と正義、醜く造られてしまった者の不条理な孤独と絶望の運命を描いた、壮大なゴシック・ロマン。
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Posted by ブクログ
フランケンシュタインって怪物を造った博士の名前だったんですね。知りませんでした。じゃあ、怪物の名前はというと名無しの権兵衛です(表現が古い?)
この権兵衛君は、こんな醜い生き物に俺を造りやがって!と博士を恨むんですが、博士を殺したのでは恨みがはらせないと、博士の親しい家族や恋人を次々と殺していってしまいます。殺しては、やーい、ざまーみろとばかりに逃げ回り、終いには南極まで逃避行、怪物を追った博士はあわれにも南極で息絶えます。
人から恨みを買うと後が怖いぞ〜、という古典的なお話でした。ある意味ゴシックホラーの傑作との評価は間違ってなかったです。
なんかけなしているような文章になってしまいましたが、すごく面白かったです。
Posted by ブクログ
フランケンシュタインといえばあの釘のささった怪物。
ではなかった・・・
生物学を究めた鬼才フランケンシュタインと、彼の創造した生物の物語。
人間であるフランケンシュタインの自己中心的な行動と、その手が作り出したものの極度な欲求のやりとりは、手の施し用のない魔のサイクル。
どちらの主張も、それぞれ立場で考えれば間違っていないのに、お互いにとって都合が悪いという、どうしようもなさ。
読んでいると気付くのは、これは今の社会そのものなのかな、ということです。
自分たちが手をつけたことに関して、なにか不具合を起こせばそれをフォローするために他の処置を施して、しかしそれによって他のものが犠牲になっていく・・・
でも結局のところ、知能と感情を以って繁栄し、世界を征服した私たち人間は、この一分一秒でも自分たちが幸せに生きられる方法を選択していきます。
そんなスケールでなく、もっと身近な自分の行動を考えてみても、同じことが言えるのだと思います。
とても絶望的なことだけれど、その事実は認識しておくべきものです。
この物語を読んでいて感じるゾクゾク感は、本能的にフランケンシュタインにも化け物にも共感し、自分と重ねあわせるからなのかもしれません。
物語としてスリルを味わいながら、現実の事象と真面目に向き合わされている、そんな気がします。
いい本だと思います。
Posted by ブクログ
結構長くかかってしまった、苦しい話だから。
怪物に同情するコメントが多く見受けられたから、社会的な読者が多いのかなと思いました。
ヴィクトルの恐ろしさも計り知れなかっただろうけどね。
科学者の使命を履き違えてしまった若きヴィクトルは、後世に偉大なる教訓を与えてくれました。
理屈じゃ世界は動かせないって言うけど、理屈で世界が狂うこともあるから、なんでも使い方次第ってことを思い知らされた1冊でした。
人間、いとも簡単に死ぬのね。
私も日々を豊かに満足に生きます。
いつ怪物が現れても、慌てず、話ができる余裕を持つために。
Posted by ブクログ
最初は古典特有の心理描写が続いて話が進まず、昔の人の心理なので、共感できるとこも多くなく読みづらいと感じる。途中のエピソードも話の本筋に必要?と思ってしまうが、反対に分かりやすい軟派な文章ばかり読んでいるから、そう感じるのだろうなとも思う。
人造人間が主人公に再会する場面から話に引き込まれ、人造人間の主張に共感し憐れに思う。もっと若い頃に出会ったならば、もっと心に響き感じるところもあったかと思う。
主人公の弱さと身勝手さがよりこの話の悲しさを大きくしている様に感じるが、正義とは人の数だけあるよなとも思う。
話の構成としても面白く、フランケンシュタインとは聞くが、このような話とは知らず(人造人間の名前かと思っていた)読んで良かったと思う一冊。
Posted by ブクログ
ヴィクトルの言動にイライラしっぱなしでした。
見た目が奇形なだけで決して怪物なんかじゃなかったのに…
怪物の生い立ちと人生を思うと悲しくてしょうがない。
ヴィクトル、何であんたが悲劇面してんだよ。
勝手に造られてこんな扱い受けてる怪物のが悲劇だよ。
ヴィクトルはちょっと自業自得じゃね?
とか思ってしまった。
Posted by ブクログ
フランケンシュタイン博士が生命としての"怪物"を生み出すまでの描写が希薄というかあまり掘り下げて書かれていないのが、逆に理屈臭さを排除している感があってよかった。訳にもよるのだろうけれど、個としての"怪物"の感情が、理性的な言から滲み出ているように思えた。また、博士にも"怪物"を生み出した科学者から、生み出した"親"としての微妙な変化が感じ取れたのが印象深い。
Posted by ブクログ
子供の頃は物語の内容を知らずに恐れていたフランケンシュタイン。
原作を読んだときは本当に驚かされた。読む年齢によっても感じるポイントが変化する奥深い人間のドラマである。
Posted by ブクログ
怪物を生み出した罪の意識と、それを肯定できない意識の狭間で苦悩する若き天才科学者フランケンシュタイン。
生まれながらに誰からも愛されず、生みの親であるフランケンシュタインに復讐を繰り返す名もなき怪物。
ストーリーの進行とともに、両者は孤独の頂点へ向かっていく。そして、互いを憎悪することにしか生の意味を見出せなくなり、二人の最期は悲劇に終わる。
フランケンシュタインといえば怪物のイメージが先行するが、原作を読んでみると人間の悲壮感溢れる物語だということがわかる。読んでよかった。
Posted by ブクログ
この作品をもっと面白く読むために、同時に中公新書の「批評理論入門」を読むことをおすすめします。このテクストにこんな意味がこめられていたのか、と驚くこと間違いなし
Posted by ブクログ
訳が、中学生の英語の授業のような直訳で目が滑る…
さて、日本人の感性だと怪物の方を応援したくなること必須なのではないだろうか。ヴィクトルが屑過ぎて理解に苦しむ。
化け物はどっちだよ。
Posted by ブクログ
この本は、人並以上の知性、情動、身体能力を持ちながら、その醜さゆえに人々に恐れられながら暮らしていた
怪物の話です。
怪物は、人間のように悩んだり、葛藤したりして、過ごしている。また、自らの存在に苦悶する孤独な状況下で生活をしている。
ちなみに、フランケンシュタインは怪物の名前ではなくて、科学者の名前です。
Posted by ブクログ
終始「ヴィクトルてっめえ……!」と思いながら読みました。創った人造人間がグロかったから思わず逃亡→戻ったらいなくなってて「やったー!」→と思ったら人造人間に弟殺されて「おのれ……!」ってお前。悲劇の原因って怪物じゃなくて育児放棄じゃねえか!
生理的嫌悪はどうしようもないもんだけど、フランケンシュタイン・コンプレックス(被造物が創造者に逆らう危険性を盲信すること)って言い得て妙だったんだなあ。元ネタだから当たり前だけど、怪物に対するヴィクトルの態度がまんまだ。被造物が邪悪だったから創造者に逆らったネタが多い中で、元ネタであるこれが被造物を邪悪と描いていないのは何だか皮肉だなあ。
解説によると結構著者の生い立ちが反映されている作品だそうで、著者が怪物=生まれながらの悪と書かなかった理由が腑に落ちてスッキリ。そしてやっぱり怪物に感情移入しちゃうからヴィクトルにギリッとなる。ギリッ。
Posted by ブクログ
モンスターを作るまでの具体的描写ってまったくないのだね。それと、モンスターといってもものすごいインテリで、「失楽園」「プルターク英雄伝」「若きウェルテルの悩み」を読みこなしたりしている。いくら頭良くても、生まれると同時にそれだけの理解力を身につけるとは考えにくいのだが。
いわゆるフランケンシュタインのイメージがもっぱら映画によって作られたものを確認。原作はかなり理屈っぽい。