あらすじ
日産自動車、ダイエー……大会社のリストラ策で切り売りされる子会社が、次々と「買収ファンド」の手に渡っている。彼らはハゲタカなのか、それとも経営革命の旗手なのか。
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Posted by ブクログ
もう17年前も前に出版されたバイアウトファンドの本。金融持株会社が解禁になったのが、1997年のことだから、ちょうど5年経った経過報告のようなもの。
結論として、ハゲタカではなく経営革命だったといえるし、ファイナンスだけの錬金術というわけではない。 そのあたりのファンドとしての進化を語るための本という目的で書かれた。
最初はそもそもファンドとは何か、から始まっている。MBOとは何か、バイアウトとは何か、等々。
例としては、特にカーライルの規模や顧問の豪華な顔ぶれで読者の目をひく。また、日本でのカーライルの展開の仕方を例に、ターゲット企業が大手企業のカーブアウトであることが示される。
ついでふれているのがリップルウッドだ。もう記憶もうすれかかっていたが、旧長銀を買収して、新生銀行に変えたのは、リップルウッドだった。その後の顛末はどうか。
シュローダー(松木氏)が、手がけたベンカンの事例。
企業価値を向上させるあたりは、APのアイクレオの事例が出てくる。ユニゾンらと比較し、コンサルティング系と評されているのが面白い。アービトラージの5つの軸は、改めて見ると納得感がある。
フィナンシャル
マネジメント
バリュエーション=マルチプル
コミュニケーション
タイミング
全体として、ファンドに対して好意的な論調といえるが、やはり、ファンドの可能性というの見極めるほど、社会経済環境全体の中での位置づけが見えているわけでもない。こうした認識をいかにアップデートするかが、これからのポイント。