【感想・ネタバレ】私たちが星座を盗んだ理由のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

北山猛邦先生の短編作品。
それぞれがクライマックスまで良い雰囲気を醸し出しているのにその後の展開で一気に萎えさせて嫌ミスに持って行くのがとても素晴らしく心地よいと感じました。
それぞれの感想
①恋煩い
これが一番怖かったかなという印象。恋の魔法に魅せられて怖いところに嵌っていく所がとても怖かった。まさかの未必の故意が関わっているとは、犯人の目的が恐ろしかった、しかも勘違いなのがまた悲しい。そしてラストのあの単純な「死ね」の一言。やっぱり人間は恐ろしい。

②妖精の学校
ネットで考察があふれている作品。ディストピア感や『約束のネバーランド』感がある。最後の数字が緯度と経度を表わしているのかなというのは直ぐにわかるが意味を調べてゾッとしました。情報統制とは恐ろしい。

③嘘つき紳士
一番オーソドックスかな?でも女性は怖いなぁと、そしてそれに引っかかる男も男だと感じた。

④終の童話
まさかのファンタジー。『Dr.STONE』味も感じる作風だが、破壊させた石像は元に戻せない模様。なぜ破壊されたのか、そしてエリナはどうなるのか、結末はどちらでもとれるような結末だが、どちらにしてもあのときの幸せは戻らないのだなという切なさもある。

⑤私たちが星座を盗んだ理由
星座を消すことはまぁ無理だろうなとは思っていたが、南十字星であるところがとても面白かった。そして姉の死の真相もまぁだよなぁというような真相だがその後の夕兄ちゃんの家族の描写がとても切なかった。姫子のやったことは何も意味が無いというのがとても悲しく切ないと感じました姫子がかつて追っていた男の子に似たそっくりな男の子が姫子を絶望させるという皮肉がとても素晴らしかったです。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
アキ:伊藤美来
トーコ:黒沢ともよ
シュン:畠中祐
海野隆:島崎信長
ウミネコ:花江夏樹
ヒバリ:種崎敦美
ツバメ:佐倉綾音
クイナ:内田真礼
男:諏訪部順一
ウィミィ:杉田智和
エリナ:茅野愛衣
ジャックネッタ:細谷佳正
ワイズポーシャ:子安武人
夕兄ちゃん:浪川大輔
姫子:安野希世乃
麻里:鬼頭明里

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2023年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『ダンガンロンパ霧切』シリーズを読んで、北山さんの本が気になり読んでみました。
5つの短編集ですが、どの作品もとても興味深い内容で、面白かったです。
「恋煩い」はラストの1ページだけホラーに変わったのは驚きでしたし、「嘘つき紳士」もいつバレるのかハラハラしながら読んでいました。
ただ、結末をあえて書かずに読者の想像に委ねている作品があり、そこは個人的にはあまり納得のいくラストではなかった為、星4つにさせていただきました。

でも、北山さんの他の作品ももっと読んでみたいと思えるような一冊でした。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋煩いがお気に入り
どんでん返しとして巧妙でオチのインパクトも強いかつ分かりやすかった
確かにおまじないの類がポンポンと噂になるのは不自然
プロバビリティの犯罪について知らなかったので勉強になった

妖精の学校はオチの意味がわからなかったので考察サイトを見た
構造としては面白いが知識が必要過ぎる

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2023年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 優しく,美しく,甘やかな世界が,ラストの数行で「残酷」に反転する衝撃と評価されている,5作の短編からなる連作短編集

個々の作品の所感は以下のとおり

○ 恋煩い
 主人公の女子高生の淡い片思いと,男女の幼馴染たちが登場する恋愛小説風の作品。幼馴染の男子からは好意を抱かれているが,主人公は,幼馴染どうしが付き合うことをひそかに望んでいる。幼馴染の女子は,幼馴染の男子と主人公の関係を気にしているが,主人公は,別の男性,高校の先輩に恋をしている…とひと昔前の恋愛漫画にありそうな,あだち充的な世界観の小説…と思わせておいて,その世界が一変する。主人公がおまじないにはまってしまう部分もきれいに描写されているが,そのおまじないが,幼馴染の女子が主人公を殺害するための「プロバビリティの殺人」であったというオチ。「プロバビリティの殺人」というものは,すっかり手垢がついてしまったプロットだが,幼馴染の女子の「私は…待つ」というセリフは「私がやっても意味ないよ」というセリフなど,伏線も鮮やか。何より最後の一行の「死ね」という描写は,忘れがたいインパクトを残す。傑作といっていいデキ。

○ 妖精の学校
 謎の島で妖精になるために生活することになった,過去の記憶を消去された子供たち。子ども達は鳥の名前のニックネームで呼ばれ,一定のルールの中,「島を変わらない永遠のもの」にするために生活を続けている。北の虚と東の虚とには入ってはいけないというルール。クイナという少年が,島での生活に疑問を感じ,禁を破り,虚を除くことを計画する。クイナに続いて,主人公のヒバリも虚を目指すが…SF的なオチが用意されているのかと思ったら,最後の一行にあったのは,沖ノ鳥島の座標を現す座標の数値。真相は,領土問題。沖ノ鳥島を領土として主張するために,子ども達を沖ノ鳥島で生活させていたという現実的なオチが用意されている。この世界では,敵国の軍と沖ノ鳥島をめぐる争いが深刻化していると思われ,子ども達を利用していると思わせる残酷がオチとなっている。SF的な幻想な謎を現実的なオチにで落とした構成が見事。傑作といっていいデキ。

○ 嘘つき紳士
 借金に苦しむ男が拾った携帯に送付される携帯の持ち主の恋人からのメール。男は,携帯のメールを送付していた女性を騙して金を巻き上げようとする。ニュースで,携帯の持ち主の男は交通事故で死んでいたことを知るが,その男のフリをしてメールを続ける。死んだ男のことを思ってメールをしてくる女性に好意を抱きつつ,100万円を振り込みさせた上で,別れ話を切り出す。女性からは,思い出として写真を送ってほしいと頼まれて,メモリーカードを送り,女性との関係をきれいに断ち切った…という設定かと思わせ最後に全てを反転させる。女性は,恋人を事故に見せて殺害しており,共犯者の男が映っている写真が入った携帯を拾った男から,写真を取り戻すための作戦として,死んだ男に恋する純朴な女性を演じていたのだと…。他の作品とはやや違った現実的な作品ながら,衝撃度は劣らない。これもなかなかの作品。

○ 終の童話
 一転してファンタジックな作品。小さな村にやってきた人を石に変えてしまう「石喰い」という怪物。村人は次々と石に変えられてしまう。ウィミィという少年が慕っていたエリナという女性も石に変えられてしまう。ジャックネッタという森に住む英雄の活躍で怪物は殺害される。10年が過ぎ,村長がワイズポーシャという男を村に呼ぶ。ワイズポーシャは,石になった人間をそのまま人間に戻すことができる「聖水」を作ることができる。ウィミィはエリナを治すことを希望するが…エリナはあまりに状態が悪く,既に「手遅れ」の状態であるという。エリナを治すと,意味も分からず死んでいくだろう。治すべきではないと。ワイズポーシャは,石喰いの呪いで怪物と化したジャックネッタに襲われ,ジャックネッタとともに死亡する。残されたウィミィは,エリナを治すのか。エリナを治せば,エリナは一瞬は生き返るが,その直後,意味も分からず死んでしまうだろう。いっそ,エリナの石造を破壊するのか。リドルストーリーとして物語は終わる。これも,なかなかに残酷で心に残る作品。エリナという非常に愛すべきヒロインが復活しないという理不尽さ。非常に残酷な作品である。

○ 私たちが星座を盗んだ理由
 表題作。「夕兄ちゃん」という隣に住んでいた憧れの男性。そして病弱な姉。主人公の女の子は,「夕兄ちゃん」が姉に好意を抱いていること,家族から姉ばかり優遇されることに嫉妬心を抱く。ある七夕の日に書かれた二つの願い。「看護婦になりたい」という願いと,「星の首飾りが欲しい」という願い。主人公の女の子が書いた願いは後者。しかし,「夕兄ちゃん」はこれを姉の願いだと勘違いし,星の首飾りを姉にプレゼントしようとする。主人公は,そのことを知り,嫉妬心が頂点に達する。そして,姉の様態が悪化したとき,そのことをナースに通報しないという消極的な方法で姉を殺害し,姉にプレゼントされた星の首飾りを手に入れる。姉への贖罪のつもりから,看護婦になった主人公。「夕兄ちゃん」と再会し,運命的な再開をしたことから,全てを告白するが,最後に,「夕兄ちゃん」の妻と子どもが現れるというオチ。及第点だが,他の作品ほどではないか。

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2022年09月18日

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ネタバレ

タイトルが好きだったので興味を持った。
タイトルだけを見て星に関する話なのかなと思ったが、短編が5本掲載されており、表題の話は5本目だった。
いずれの話もミステリーもので1本目の「恋煩い」が人間の恐ろしさを感じられたのと伏線回収の仕方が個人的には1番好きだった。
そのせいか2本目の話からはやや物足りなさを感じてしまった。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・どんな本を調べても星座は88しかない。ところで星座も地球でいうところの国境線みたいに線引きされている。その線引きされた区画の中に必ず一つ、星座が含まれることになっているんだ。1930年に国際天文連合で決められたんだ。この時、定められたのは全部で89区画。89区画に、88の星座。星座が1個足りないだろう?それはそうだ。だって僕が盗んでしまったからね。

・月が星を隠すことを、星食という。厳密には、あの夜、星食によって南の冠座が隠れたわけではないが、月の明かりが星を消したのは間違いないだろう。

表題作以外はあまり物語に入り込めなかったけど、「わたしたちが星座を盗んだ理由」はロマンチックで切なくてわたし好みだった。

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2023年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋煩い→怖い。ラスト1行読んで思わず後ろを確認してしまった。
妖精の学校→座標かな?と思ったけど私の思考力ではそこまでだった。ちょっと星新一っぽい雰囲気だった。
嘘つき紳士→わりとわかりやすい伏線を張っていた。
終の童話→小瓶か杖か。私は杖だと思う。
私たちが〜→表題作。すれ違いによって生まれてしまった物語

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2022年12月29日

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