あらすじ
東日本大震災から3年。これまでマスコミで報じられなかった震災犯罪が多く存在する。混乱に乗じ、犯罪者と成り果てた者から、やむにやまれず罪を犯すことになった者まで。彼らの震災裁判を傍聴して見えてきた人間模様とは?3年間、数多くの震災裁判を傍聴を続けてきた著者があの大震災で何が起きていたのか?明らかにする。【全18の事件裁判を収録】1)石巻ニセ医者ボランティア2)「被災地まで帰りたい」詐欺3)学校を狙う発電機窃盗団4)警備員による金庫荒らし5)飲料水買い占めパニック便乗詐欺6)親指一つで騙した義捐金詐欺7)被災コンビニのATM窃盗8)放射能パニック便乗商法9)職を失った被災者を狙う就職あっせん詐欺10)被災住宅の侵入盗11)役所を騙す被災者偽装12)もう一つの「ニセ医者」事件13)避難所で強制わいせつ14)復興予算と贈収賄15)原発職員が犯した詐欺行為16)原発警戒区域内で窃盗17)通行証偽造によるペット救出作戦18)津波被災した兄弟の虚偽申請
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Posted by ブクログ
東日本大震災に便乗した犯罪がいくつもあった。ただ、メディアが
大きく取り上げたのは本書にも収録されている石巻のニセ医者
事件くらいだろうか。
大地震・大津波、そして原発事故。大きな出来事の報道が優先
され、メディアがあまり取り上げなかった事件の裁判傍聴記。
掲載されているのは18例。小説仕立ての事件概要、裁判の
様子、そして著者の感想がワンセットで1章になっている。
出来れば事件概要はフィクションじゃなくて、事実を淡々と述べて
もらったほうがよかったのだが…。
あの大震災が発生した後、海外メディアはこぞって日本人の
モラルを絶賛した。略奪は起きないし、あれだけの大きな災害
なのにパニックも起きない。日本人は凄い…と。
しかし、略奪はあったし、義援金詐欺なども起きていた。それは
怒りよりも情けなさを呼び起こすよね。
被災者を食い物にした詐欺なんて最悪だけれど、被災地に
取り残されたペットを救う為に通行証を偽造した事件なんて
被害者もいないのに起訴するってどうなのよ?
あの大震災ではなくても火事場度聾的な犯罪は発生している。
まぁ、一番の大きな犯罪は原発事故なんだけどさ。
さて、本書でかな~り引っ掛かった部分がある。とある事件の
概要の部分。
「震災時に「火事場泥棒」的な犯行をするのは、外国人の窃盗団
に決まっているし、国外に逃亡されたら検挙は難しいだろうと
思っていたいからだ」
なぁ、これって著者がこう思っているってこと?なんで外国人と
断定しちゃうの?いや、フィクションなのは分かっているけど、
これはダメでしょ。