あらすじ
失敗行動や犯罪の原因は、“心”に求められることが多い。「あいつはやる気がない」「過去のトラウマだ」等々。しかし、これでは評価にこそなりえても、問題解決にはつながらない。行動分析学は、ヒト及び動物の行動を「行動随伴性」という独自の概念によって明らかにするもので、行動の原因を個体内部、つまり心ではなく、個体を取り巻く外的環境に求めていく。アメリカの心理学者スキナーが創始した学問体系である。介護や医療、ビジネス、スポーツ、家庭などさまざまな現場で応用されており、大きな成果をあげてきた。本書は、日本における第一人者による、わが国初の一般用入門書である。【目次】まえがき/第1章 心理学をめぐる誤解/第2章 行動の原理/第3章 行動をどのように変えるか/第4章 スキナーの思想と実験的行動分析/第5章 言語行動/あとがき
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Posted by ブクログ
随伴性というもので人の行動に合理性を持たせようとする.
禁煙が続かない理由や上司や教師の精神論を持っていして叱ることの無意味さに随伴性というメガネを通した解釈を与えてくれる.
Posted by ブクログ
入門よりも少し難しめ
しかし、一つ一つの言葉を噛み砕いて説明されているし、順番が疑問を解決されるような形でされているので、読みやすい
また実験や方法論まで触れられており、興味深かった
行動の原因を分析するために、好子、嫌子などを使う
フィードバックをよくする上司の部下は仕事が早い
目標達成するにはちょっとずつの目標が必要
随伴性を意識することで、何かを止めることや何かを始めることができる、例えばタバコをなぜ吸い続けてしまうのかを考え、吸う前と後のことを考える
反応がないことで、人は行動しなくなる、例えばナースステーションにきでた人が反応されなるなると来なくなる
Posted by ブクログ
行動分析学の第一人者である著者によって書かれた入門書。
すでにある程度行動分析学の本を読んでいたので、基本的な行動分析学のレクチャーに関しては既知のことが多かった。
行動分析学とは大まかにまとめると下記のようなことになる。
人間が行ある動をするかしないかは「心」「意志」といった内面的な部分ではなく、行動の後に起こる快、不快によって決まる。
ある行動の後に快が起こればその行動は強化され、不快が伴えば弱化する。
快が起こす要素を「好子」、不快を「嫌子」とよぶ付随する要素全般を行動随伴性と呼ぶ。
上記を応用した、様々な組み合わせがある(好子消失の防止など)
スキナーの思想や言語活動に関する部分に関してははじめてのこともあり、この部分は学術的な部分で参考になったかも。
Posted by ブクログ
心理学の一種である「行動分析学」の入門書。
専門用語もでてきますが、なかなかどうして読みやすいです。
どういった種類の心理学かというと、
本書から例を出せば、
冬場にこたつで朝食を取る家族のなかで、
高校生の男の子が左手をこたつにいれたまま、
ごはんを食べているというのがあります。
それで両親は男の子を「行儀が悪い」「だらしがない」のを理由にして、
両手で食べるように叱るのですが、
実は「行儀が悪い」「だらしがない」というのは理由と考えるべきではなく、
実際に理由でもないというのが、行動分析学の捉え方。
本当の理由は、男の子の席はドアの近くで、他の家族の席よりも2℃も室温が低く、
寒いのが理由で左手をこたつに入れたままごはんを食べるようになっている。
実験では、この弟の近くにストーブをもってきてやると、
ちゃんと左手をこたつから出してごはんを食べるようになっています。
このように、「こたつに左手をいれたままごはんを食べる」という行動の、
その随伴性を考えていくのが行動分析学です。
本書の大事なキーワードである行動随伴性とは、
<行動の原因を分析する枠組みで、行動とその直後の状況の変化との関係をさす>
とされています。
よって、さっきの例のように、
「行儀が悪い」「だらしがない」だとか、
「意志が弱い」「やる気がない」「欲求不満」
などの理由づけは本当の意味ではなくて、
それは行動にラベルを貼ったにすぎない、となる。
タバコをやめられないのは意志が弱いからだ、
と、心というものに原因を持たせるのは間違いだということ。
ただ行動にラベルを貼ったにすぎないものを、原因としてとらえるのが
不幸の始まりなんですね。
____
「意志」や「やる気」や「性格」は行動に対してはられたラベルであり、
実体はそれが指し示す行動と同じであるから、
これらが行動を説明する原因ではないのである。
ラベルを使えば、いちいち実体である具体的な行動を言及せずに、
ある程度の情報を伝えることができるし、便利な場合も少なくないから、
そのこと自体は問題ではない。
しかし、それを行動の原因と考えてしまうことには大いに問題がある。
ラベリングの危険性はこれ以外にもまだある。
行動にラベルをはる時、多くの場合、人は無意識のうちに
「こころ」を想定し、その「こころ」が問題行動を引き起こしている
と考えてしまう
____
と引用しましたが、そういうことになります。
そして、ラベルを貼ってそれを原因だとしてしまい、
非難するというのが問題なんですよね。
そんな個人攻撃の罠にはまらないための新しい見方を持とうというのも、
本書のねらいのひとつでした。
と、簡単な感想ですが、すごく面白かったです。
おすすめ。
Posted by ブクログ
行動のすぐあと、あるいは行動と同時に起こる状況の変化と行動の関係が、行動随伴性である。
「行動は、行動のもたらす効果によって影響を受ける」というのは、行動随伴性によって行動を見ようとする行動分析学の根本的な考え方である。
行動の直後の状況の変化によって行動の回数が増えることを、専門用語では「強化」という。
人間の行動は、行動の直後に出現の変化が起こると強化される、そして、この時出現したものを専門用語で「好子(こうし)」という(好子出現の強化:行動の直後に好子が出現すると、その行動は将来繰り返される)。
行動が強化される時に行動の直後に消失するものは、「好子」の逆の性質を持つもの、すなわち「嫌子(けんし)」である(嫌子抄出の強化:行動の直後に嫌子が消失すると、その行動は将来繰り返される)。
意識されなくても、随伴性が行動を制御しているのである。
行動しても何も起こらなければ、いずれ行動はしなくなる。強化されない行動はしないのである。強化随伴性がなければ、行動は消えてなくなる。