あらすじ
なぜ私は彼を憎むのか? なぜ彼は私を憎むのか? 対立を激化させてきた二つの性格傾向、〈人格系〉と〈発達系〉。それは我々に不信の種を植えつづけた犯人でもあった。本書は心理療法でもある〈想像〉の作業を我々の不信を解きほぐす手がかりとして提示し、二つの〈顔〉が和解に至る普遍的なプロセスを描き出す。太古からヒトの心を捕らえつづけた根源的対立を超えるための深層心理学的実践の書。(講談社選書メチエ)
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Posted by ブクログ
タイトルになっている「人格系」「発達系」というのは、著者の考える人間の二つの性格類型を意味しています。「人格系」は、将来を思い悩んだり過去を悔やんだり、あれこれの葛藤を抱えながら生きるという特徴をもち、その病的なものが「人格障害」と呼ばれます。一方「発達系」は、目の前のことに熱中してほとんど葛藤をおぼえず、衝動的であるという特徴をもち、その病的なものが「発達障害」と呼ばれます。
さらに著者は、ユング心理学の「アクティヴ・イマジネーション」を積極的に活用し、想像力を駆使することで、一人ひとりがみずからの心のなかの「人格系」の部分と「発達系」の部分との対話を通して「個性化」を実現していくことができるのではないかという主張を展開しています。
本書の後半では、出口王仁三郎の『霊界物語』を、想像力に基づく「人格系」と「発達系」の対話と総合の実例として解釈するという試みがおこなわれています。