今自分が生きている場所と、そこからあまりにも遠い憧れの場所。
何かの主人公として生きていくにはあまりにも平凡な女の子たちが、
憧れとほど遠い現状を打破しようと、時に恋愛や性に走ろうとするものの、
うまく夢中になりきれず、でもその中で
もがいたりしながら生きていく連作短編集です。
彼女たちにとって、ふたつの場所をつなぐ存在が「椎名」というひとりの男。
エピソードによっては半端ないイケメンにも、
ごくごく平凡な、どこにでもいるバカな男子にも見える不思議な魅力が
登場人物、そして読者である私たちを惹きつけます。
時々、それぞれの短編でリンクしているところもあるので、
気づいてちょっと戻ったりするのも楽しいです。
クラスにひとりはいた、やたら輝いていて自信に満ち溢れていた同級生を思い出しながら
読んでみてはいかがでしょうか?
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Posted by ブクログ
「ここで楽しくやってたら最初からどこにも行ってねーよバーカ だから俺にラーメン食わせろ!今すぐ俺にラーメン食わせろ!」
リア充はサブカルチャーを必要としないって、極端だけど一理ある。常に今いる場所と環境で居場所を見つけられる椎名のような人には必要のない世界な気がする。自分も地方出身だったら退屈から抜け出させてくれるアイデンティティを求めて東京に行っただろうな
Posted by ブクログ
富山県出身で地元では有名な作家の方。
5年ほど前は、いろんなところで姿を見たような気もするが、一時期よりは少し落ち着いたかな。
この本が出たのが10年前なので、ずいぶん経ってから読んだことになる。
最近、山内マリコさんの文章を見ることがあって、ジェンダーに関する意見も多い。
そんなこともあり、この本をこの前、古本市で見つけたので読んでみた。
8つの話が組み合わさった短編集。
どの話も基本的には主人公が地方都市で暮らす女性だ。
で、読み進めるとある人物が共通で出てくることに気づく。
そして、最後まで読んでやっと気付いたが、時間軸としては、過去に戻っていく流れになっている。
私が気付いたのは二つだが、同じエピソードが別の話で出てくる。
もっとちゃんと読めばさらに出てくるかもしれない。
内容は、完全に富山をモデルにしたと思える描写がいくつも出てくる。
雪の降る感じ、ロシア人が歩いているとか、明らかに当時の時代背景を表している。
よくこの本の解説で地方の閉塞感みたいなことが書かれているが、そういうことは自分が住んでいるからか、そこまでは思わなかった。
ただ刺激が少ない、知った顔が周りに多い、と言ったところで、皆都会に憧れるのだという現実がひたすら描かれている。
終わりに行くにつれて、より性的な話題が濃くなってくるが、最初に世間の注目を集めたのは一番最後の短編のようだ。
それがあって、実際にはそこから時を進めたのではないかとも思える。
他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
途中で、
あれ、これってもしかしてとんでもないクズ男の話?
と思ったり、
山下南っていったい全体どんなステキな女性なんだ?
と思ったり、
最終的には、
中学高校時代、どんなに憧れていた人も
年を取れば普通のおじさんになっちゃうってことだな〜と
女の子の夢は夢でしかないんだなぁなんて思ったり、、
おもしろい
連作小説ってこーいうこと?!
2節目から止まらなくなって、どんどんシーナに興味が湧いて
読み進めました
ひとりの人を、別々の時期に別々の視点から切り取ったお話
いろんな女の子に読んでもらって、感想を言い合いたい!
大人になって家族もできたシーナの、目を逸らさなきゃいけないほど胸を締め付けられるような切ない姿ってなんだったんだろう