【感想・ネタバレ】あめの帰るところ【電子限定版】のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

切ない系で最もベタな記憶喪失という設定ですが、能登と千歳の感情や考えに何度も泣かされます。
著者の朝丘先生の言葉の表現や台詞がとても好きです。
ドラマCDも出ていてそちらもおススメ。

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2014年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝丘戻が好きかと言われたら、即座に『違う』と言ってしまうと思う。
主だった作品は読んでいるし、新刊が出たらいそいそと買いに行ってしまうにも関わらずだ。
随分と上から目線で、何様?だけれど、『同族嫌悪』って言葉が一番しっくりくる。
朝丘さんの作品を読んだ時に味わう。〝痛さ〟みたいなもの。
それは木原音瀬作品とは全く別の種類の痛さで、普通、人はそれを切なさと呼ぶのかもしれない。
人には知られたくないものを、言い当てられるような。
心の中に手を突っ込まれて、痛いところを探られるような。
心の一番脆い部分にクリティカルヒットして、思わず血を流してしまうような、そんな痛さ。
よく小説の中でも出てくる表現だけど、好きと嫌いは限りなく一緒だ。

『あめの帰るところ』を読み終わった後、夜中にひとりでエフエフ泣いてしまって、でも泣かされてしまった自分に納得していないというような、理不尽な怒りみたいなモノ。
恐らくこれはHappy Endに分類されるお話なのに、なんでろう。悲しい。
理由も分からず、ただ悲しくて、しばらくは思い出すだけで涙が出てきて、レビューを書く気にもなれなかった。

高校三年生になって、予備校に通い始めた千歳は、ちょっと風変わりな予備校講師:能登に出会う。

先生はやる気もない、他人に興味もない、子どもっぽい、ダメな大人。
いや、むしろダメな子供そのもの。
先生は千歳に千歳飴から連想して『あめちゃん』というあだ名をつける。
先生の大人げない行動や言動に真面目に向き合って、時には叱ってもくれる真っ直ぐな可愛い〝あめちゃんに〟先生はたちまち恋に落ちる。
それは生まれて初めての恋だった。
この作品がダメだったという人は、生徒に半ば一方的に想いをぶつける先生の公私混同ぶり、危ない、気持ち悪い人ギリギリのキャラクターが許せないのだろうと思う。わからないでもないよ。

千歳は、一心に自分に向かって降ってくる愛のシャワーみたいな先生の暖かさに癒され、次第に心惹かれてゆく。
受験でとげとげした感情も不安もやさしく包み込むような陽だまりのような時間。
ふたりはやがてゆっくりと心を重ねてゆく。

受験も無事終わって大学に入り、念願の留学の夢を叶える千歳。
遠距離になっても、お互いを想いあう気持ちは決して揺らがない。
けれど、千歳が留学先で交通事故にあったせいで、ふたりの関係は決定的に変わってしまう。
事故のせいで、今までの記憶をすっかり失ってしまった千歳。
先生が愛した〝あめちゃん〟は忽然と消えてしまった。
でも、これからの千歳のことを想って、自分との関係を封印してしまう先生。
千歳に〝ちいさん〟という新しいあだ名をくれる。
もう〝あめちゃん〟はいないから。
『思い出して欲しい』と願うことが、思い出せない千歳を苦しめるから。
好きなのに、苦しいのに、あんなにダメな大人だったのに、先生は千歳の前から姿を消す決心をする。
自分がいることで、千歳が混乱するから。自分がいなくても幸せになってほしいから。
『あめちゃんとの記憶は、俺が全部持っておく。あめちゃんが俺の恋人でいてくれた日々のすべて、大切に胸にしまって生きていくよ』って。

何ひとつ思い出せないはずなのに、先生が近くに来ると、先生が離れてしまうと、千歳の中の〝あめちゃん〟が悲鳴をあげる。
そして時々、奇跡みたいなデジャヴをくれる。
何も覚えていないけれど、千歳はもう一度先生に恋に落ちる。
記憶を失っても、求め合う心まで消せない。

千歳は引っ越してしまった先生を追いかける。
先生の大好きな〝あめちゃん〟も、先生を覚えていなかった〝ちいさん〟も、やっぱり先生が大好きだから。

ふたりはまた一緒になれた。よかった。本当によかった。
なのに、ちょっぴり悲しい。
だって、やっぱりあの〝あめちゃん〟はもうどこにもいない。
先生と過ごしたふたりきりの教室も。夏の花火の夜も。
初めてふたりで見た朝焼けも。全部消え去った。
幸せだけど、胸がつぶれそうになる
先生と〝あめちゃん〟が過ごした時間のことを想って。
〝あめちゃん〟が消えてしまった時、絶望した先生のことを想って。

あとがき後に収録された書き下ろし、『あめちゃんへ』のラスト一行まで
必ず読んでほしい。滂沱の涙です。

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2012年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

泣きすぎて目が腫れた。
前半の『先生へ』は、あめちゃんがあめちゃんであれた章。
そこには、これでもか、これでもか、と後半への前振りのごとく、
ひたすらに優しく柔らかく、愛しい交際の模様が描かれます。
それはまるで、アルバムのページをめくるかのごとく、すべてが
尊く慈しみに溢れた優しい記憶。

後半の『きみの中、飴がなく』では、能登先生視点。
あんなに優しい『先生へ』のくだりはどこへやら。
全てがリセットされて、世界にひとり取り残された先生の絶望が
胸を掻きむしります。
この後半はラストに至るまでずっと泣きっぱなしでした…。
もう、ヤバイ勢いで涙が出てきてしようがない。
どんなセリフにも泣けて、ちょっとしたエピソードにも目頭が
熱くなる。まさに、能登先生が泣くタイミングと読み手が泣く
タイミングが一緒。すごいシンクロしてしまいます。
前振りの威力は絶大でした。
文句なしの☆5つ。10こくらいあげたい。

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2012年05月01日

Posted by ブクログ

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コバルト時代の朝丘さんが戻ってきたな、という感じ。
決して大団円ハッピーエンドというわけじゃないけれど、それでも主人公たちがした選択は最良でとても幸せなのだと思います。

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2011年03月26日

Posted by ブクログ

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秀逸…

切なくて切なくて甘いお話でした。
最初から最後までもどかしくて、読み終わってもなんか余韻が残ります。
「忘れる」って忘れられるのも辛いけど一番苦しいのは「忘れた」ほうなんですよね。



あと、「あとがき」って文字で読むのやめる人いると思うんですが、いっちばん最後の一行を絶対読むべき。

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2012年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「先生へ」での、先生が好き。あめちゃんに夢中になって何度も「好き」と伝える先生がよかった。あめちゃんの天然ぶりも重なっていいコンビだと思う。子供な先生が可愛かった。
「きみの中、飴がなく」では、予想外の展開。あめちゃん記憶喪失て・・・。先生はもっとがむしゃらにあめちゃんを振り向かせて欲しかった。今さら大人な態度取られても・・・。子供みたいな先生が魅力的だったのに。でも、今回は反対に千歳からアタックかけてる感じが新鮮だった。
「そして手のひらに月曜日の鴇色」はこれからの二人が気になる。大学あるし、結局先生が戻ってくるのか?
結論、先生のキャラが魅力的な話でした。

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2011年12月05日

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