【感想・ネタバレ】市民の科学のレビュー

あらすじ

公害、薬害、巨大事故。我々のあずかり知らぬところで進行し甚大な被害をもたらす悲劇は、なぜ繰り返されるのか。それを防ぐため、専門的能力を持たない市民に何ができるのか。科学者として生涯、原発の危険性を訴えつづけた著者は、市民が国家・企業・アカデミズムからも独立して専門的批判の能力を組織・維持・育成する方策を構想し、その実践報告とともに本書を遺した。三・一一後の日本に向けた最もポジティブな提言。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

原子力発電所という、多分にして専門的かつ閉鎖的な巨大システムは、得てして市民とは程遠いところで勝手に管理運用されています。それを担うのは政府と官僚機構、そして国家の忠実なる下僕と化した一部の科学者たち。この事実を正確に認識している市民は多くはないでしょう。科学者の中には原発の恐るべき実態を知りながらも反抗することが出来ない者もいると本書では述べられていますが、このような現状の社会は、非常に怖いなと感じました。
しかし、本書の著者は「専門的批判の組織化」という、専門的な原発システムに対抗し得る唯一の手段を確立し、あるべき社会へ向けて着実にその歩みを続けています。著者ご自身は現在はお亡くなりになってしまいましたが、そのご遺志は確実に原子力資料情報室や高木学校のメンバーに受け継がれていると思われます。
私たち自身も3.11を経験したことで、原発の在り方を考える「よすが」があります。本書を読むことで、人間と自然の関係などをもう一度考えるきっかけになることは間違いないでしょう。

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2014年07月11日

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