【感想・ネタバレ】蔦屋のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2021年03月17日

何かしらのエンターテイメントを愛する人なら、蔦屋重三郎の夢と意地にきっと感じ入るものがあるはず。
何かあればすぐ表現規制が叫ばれる今、すごくリアリティを感じる展開だった(作り話じゃなくて、江戸時代に実際いた人たちの話なのにね)
「何かを為したい・残したい」という気持ちは昔も今も変わらないもの。視点人...続きを読む物の小兵衛が現代人でも共感できる人物だからこそ、突飛で行動力のある重三郎も活きる。
自分も後の誰かの記憶に残る仕事を為したいな……なんて気持ちになれる読後感でした。

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Posted by ブクログ 2018年11月15日

蔦屋の名前の由来ともなっている、蔦屋重三郎の人生を、丸屋小兵衛という第三者の目で語ったている。
彼の考えを肌で感じられるような、ぐいぐい読ませる文章です。
最後の盛り上がりが(# ̄З ̄)ひとつほしかったけど、現状でも十分に、★5です。
普段時代物は読みませんが、お店のおすすめで気になって手に取りまし...続きを読むた。
たまには、全くちがうジャンルのものにも手を出すべきですね☺️
読んでよかったです!

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Posted by ブクログ 2017年07月26日

歌麿の「画本虫えらみ」を、たまたま電子書籍で見つけたときは衝撃でした。虫だけでなく、草花や野菜が精緻にいきいきと描かれていて、歌麿の観察眼と写実性に驚きました。ツユクサのおしべまで描いてるし(しかも,これ版画なんだよね)。奥付けは彼の蔦重!という訳で、作中にこの本が出版(板)される経緯が出てきたとき...続きを読むは、ゾクリとしました。虫好き少年のような歌麿,わっかるなあ。(狂歌はさっぱり読めなかったけど,その気で見直したら,作者名が四方赤良…とか読めるのがあった)

江戸の出版界に一代旋風を巻き起こした蔦屋重三郎の半生を、雇われ店主小兵衛(地本問屋豊仙堂の元店主)の目から描いた物語。

寛政の改革の影響は他の本でちょっと知っていたので、途中で先を読むのがつらくなりましたが、納得して読み終えました。

カバーイラストは,葛飾応為の「吉原格子先之図」を3Dにしたみたいな雰囲気

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Posted by ブクログ 2017年03月18日

日本橋の本屋主人、小兵衛と吉原の本屋主人、重三郎による「本屋改革」の話。
蔦重の読めない言動に翻弄されつつ、時には本屋としての情熱を真っ直ぐに表現する小兵衛のやり取りとそれを取り巻く歌麿、京伝をはじめとする江戸を席巻した絵師達のやり取りが面白かった。
ストーリーに引き込まれるうちに、松平定信の治世に...続きを読むおける社会状況、吉原の特別な立ち位置など自然と理解することができた。
これほどまで魅力的な人々が登場人物として出て来る話はなかなかない。

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Posted by ブクログ 2016年04月29日

江戸時代のプロデューサーとして知られる蔦屋重三郎のお話。
勤務先企業の展開する店舗の屋号としてもゆかりのある人物。
本を売ると言うこと、商いとして沢山売る事が目的でありそうだが、その本質にあるものをうまくストーリーとして仕立てられています。
登場人物も最初は誰?と思ってた人たちが当時の著名な作家だっ...続きを読むたりして、まんまと乗せられて一気に読んでしまう。
吉原と江戸の関係などあまり普通の日本史では知り得ない情報もありましたが、その間にある埒を外すという概念を、不埒と表現していると頃なども、先程の登場人物の明かされ方などと合わせ、江戸という町に存在した粋という概念を表現しているのでは?といろんな側面から楽しめます。
高尚な想いを持ち、それを実現するために精一杯努力する。素晴らしいこと。
高尚な想いを持てるかはわからないが、色々と思い悩みながらも、想いを実現するため精一杯努力することなら出来そう。
良いタイミングで出会えた良本です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年09月08日

一度は倒産して、蔦谷重三郎に拾われた日本橋の本屋の元主人の視点から見た蔦谷重三郎の話。

「世の中には色んな人がいます。時代の流れに器用に乗れる人もいます。でもその反面、自分の生き方を自分では変えられない人もいます。偏狭な枠組みの中でしか生きられない人っていうのは沢山いる。それを、あたしァ吉原で知り...続きを読むました。だからあたしァ決めたんです。そいう人たちの側に立つって」
こうして、重三郎の哲学が浮かび上がってくる。
世間から一段低く見られていた吉原で育った重三郎が、江戸中を吉原化して、世間を見返してやろうという壮大な理想の下に物語は進む。

前半は吉原の酒池肉林?の中での気違いじみた乱痴気騒ぎに明け暮れ、その時の人脈を見事に仕事に結び付け、型破りな企画でヒットを飛ばしまくる重三郎。
後半は、前半とは打って変って、寛政の改革で取り締まりにあい奈落の底へ突き落され、苦悩する重三郎。
この落差と、がらりとイメージの変わる重三郎の描写が半端ではない。
最終場面で重三郎から本屋の元主人に焦点が移るのが若干の違和感があるが、こういう描き方もあるかなとも思う。

生き方とは何であるか? 如何に仕事を進めていくのか? 何のために生きるのか? 等々を考えさせられます。

また、登場人物を生き生き描写し、江戸時代にタイムスリップしたような感じにさせてくれる文章は見応えのある映画のようです。

著者は若干27歳にしてこの本を書いたという。
恐るべき逸材だと思います。この著者の他の本も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2014年05月19日

★4~4.5だが、二十代という今後の歴史小説を背負って立つであろう才能に感謝の意味を込めて。やはりどんな時代でも才ある若者は出てくるなぁ。
さて本作の感想ですが、確かに筋などに粗い部分はあります。でもそれらを補って余るほどのキャラクターの際立ち方など魅力があり、ぐいぐい読ませてくれる。
特に終盤の写...続きを読む楽という素材の扱い方には感心しきり。蔦屋重三郎を主人公にしていればさもありなんという意見もあろうが、写楽と言う誰もが飛びつきそうな材料をここまで「軽く」描写した作品はあまりお目にかかったことがない(当方の読書量不足はひとまずさしおいて)。
とにかく今後の活躍を切に願う作家さんです。

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Posted by ブクログ 2023年06月03日

豊仙堂(ほうせんどう)丸屋小兵衛(まるや こへえ)が経営の傾いた日本橋の地本問屋を畳もうとした時、一人の若者が店を買わせてくれ、とやって来た。
そして、あんたをまだ隠居させるつもりはない。本当は本屋をやめたくないのでしょう?一緒にやりましょう、と言った。
それが、蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)...続きを読む
この時から、丸屋小兵衛の、蔦屋重三郎に振り回される日々が始まった。

重三郎の発想が常に新しい。
まず、小兵衛の日本橋の店を買うのに、まだ金が無いから分割で、年間二十両あなたが死ぬまで払い続けますよ、と言う。
小兵衛が何年生きるかによって、支払う金額が変わってしまうがそれでいいと言うのだ。
それはあなたへの給金です、と言って、店主ごと買い取ってしまう。
こんな発想、誰がするだろうか。
重三郎がこの店と店主に並々ならぬ思い入れがあったことは後に分かるが・・・

重三郎はビジネスの仔細を小兵衛には明かさず、常にサプライズとして公表する。
「なんで隠していたんだ!」となじる小兵衛に「だってその方が面白いでしょう?」と笑う重三郎。
後から思い返すと、重三郎、どんだけ小兵衛さんが好きなんだ!?って。
しかし順調な日々は長くは続かず、老中松平定信の政策により厳しい出版統制が始まり、戯作者が、絵師が、本屋が、次々と折れていった。

終わり良ければすべて良しのエピローグだった。
重三郎と小兵衛、そして歌麿の物語は、極彩色の夢を見ているようだった。

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Posted by ブクログ 2018年08月09日

これは拾いものだった。
蔦重は、ずっと気になっていた人物。
脇役では、顔を出すこともあったけれど、彼を主人公にしている作品は初めて。
とても面白かった。
歴史小説とまでは言えないけれど、ただの時代物とも違う。
日本の出版文化の黎明期。
だからこそ、そこにかける人々の思いは熱いし、出版の持つ純粋な力を...続きを読む感じることもできる。
物事が発展していく時の清濁入り交じった上昇感。いいなあ。
同業者であり、先輩であり、雇い人でもある小兵衛の視点で描いていくというところも良かった。

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Posted by ブクログ 2018年05月30日

江戸って本当に情熱的で、人間的!

この時代の本屋さんが頑張ってくれたから、今の本屋さんがあるんだなぁ。と、しみじみでした。
実際にいた人物だから、余計に心に残った。

小兵衛さん、みんなのお父さんみたいで、素敵な存在でした!

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Posted by ブクログ 2015年07月14日

大田南畝や山東京伝、歌麿に写楽といった面々の仕事をとりまとめたプロデューサー蔦屋重三郎を、相棒となった本屋商売の先輩・丸屋小兵衛から眺めた姿で描き出す。狙いが当たって賑やかな前半が、寛政の改革で鬱屈したものとなり、それとともに小兵衛は自らの来し方を振り返る。人が残すものは何なのか。自分は何を残せるの...続きを読むか。重三郎は何を残そうとしているのか。
形に残るものはなくても、縁を残していくのだな、と感じ入る。

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Posted by ブクログ 2015年02月03日

時間かかりましたが、やっと読み終えました。
谷津さんがいつも作中に込めている、既存を壊そうとする力が、はっきり感じ取れる、良作でした。
表現活動は怖いものです。
どんな人がどんな受け取り方をするのか。世に出すまで検討もつきません。
誰かを傷付けるのは確かに良くないことだと思いますが、どの方向に牙を向...続きを読むけているのかも、大事なことのように感じます。
自由と言いつつも、どこかに遠慮してしまうような世界なんて、来なければよいのですが。現代は情報に溢れていて、想定ターゲット以外の人が、場違いな情報を手にしてしまうこともあり、難しいものです。
お気に入りは小兵衛さんでした。
終わりかけた人生……なんて思っていたところに現れた重三郎や勇助、他の戯作者のみなさんも魅力的ではありましたが、正体不明で感情移入できぬところもあり、残念。
ラストには涙しました。
やっぱりね、小兵衛さん目線だったのと、それによる人物の厚みがものを言った感じです。
他の出版作品も積ん読中ですので、ぼちぼち読み進めようと思います。

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Posted by ブクログ 2014年10月21日

江戸の本屋の版元・蔦屋重三郎が“つまんない世の中”に風穴をあける!!
~そっちの方がおもしろいからに決まっているでしょう?~

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Posted by ブクログ 2014年08月11日

蔦屋というタイトルですが、「蔦屋をめぐる物語」というのが正しいかも。主役はある意味「重三郎」ではないです。
面白くは読めましたが、「これ」とは言えないんですが、なんだかちょっと深みがなかったかな~というのが読後の感想です。

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Posted by ブクログ 2014年07月09日

山東京伝、喜多川歌麿、東洲斎写楽らを擁し、時の老中松平定信による寛政の改革という逆風の中、蔦屋重三郎と丸屋小兵衛は次々と問題作を出版し続ける。出版界にとって疾風怒濤の時代を生きた二人の無垢の信頼関係に心打たれた。
著者谷津矢車27歳の作というのも感嘆せずにはいられない!

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Posted by ブクログ 2014年06月22日

蔦屋重三郎、いわずとしれた江戸時代の本屋で大プロデューサー。吉原での蔦屋、日本橋での蔦屋、数々の当時の文化人との交流とその発信力を丹念に物語としても綴る良い作品。笑い有り涙有り。生き生きと当時を表現した文章は見応えのある映画のよう.おすすめです。

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Posted by ブクログ 2021年10月22日

今勢いのある若手時代小説家ということで、谷津矢車さんに手を出してみました。
本書は江戸時代における綺羅星のような戯作者・絵師達を世に送り出した、敏腕出版プロデューサー・蔦谷重三郎が題材ということもあって、これは鉄板でしょ。と、かなりハードルを上げて読み始めました。

日本橋にある、経営難の地本問屋の...続きを読む主人・小兵衛と、小兵衛の店を買い取りにきた重三郎の出会いから始まり、話は小兵衛目線で進んでいきます。
若かりし喜多川歌麿(優助)はじめ、山東京伝、太田南畝、そして恋川春町らとの交流は興味深く、老中・松平定信の質素倹約令による締め付けで、前述の作家達が次々と心折れていく様は胸が痛みました。特に春町さんのくだりは切なかったです。
そんな“お上”からの弾圧に負けじと、“江戸の民が楽しいと思える出版物を出したい”という姿勢をつらぬく重三郎。昔馴染みの歌麿とも疎遠になってしまい、ピンチの時に見出したのが、東洲斎写楽でした。
この写楽のくだりは、重三郎が起死回生をはかる山場的な部分なのに、割とあっさりしていて拍子抜けでした。
実は終盤まで、「設定はいいのに、展開が淡泊だなー・・期待しすぎたかなぁ」と思いながら読んでいたのですが、第六章後半部分、そう、歌麿視点の語りになってから、急にキャラが生き生きしだした印象で、ここからエピローグまでは面白かったです。「遅いよ!」という感じですが、ま、終わり良ければ総て良しということですかねー。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年02月02日

人生を仕事にささげた人物の小説。
自分も切に仕事で実績を残したい・・という思いがあります。その意味で共感するものがありました。
ただ、それにしてはちょっと軽いようにも感じました。
司馬遼太郎のような重厚な感じの読み物ではありませんでした。
ただ、一方で仕事に賭ける熱い思いもありました。
人は(本文で...続きを読むは男は)自分の人生は何のためにあるのかに悩む。自分の人生では何か残るものを残せたのか?死んだ後も残る職人やアーティストをうらやむ。
ビジネスマン、サラリーマンとして何を残せるのか?それも一つのテーマになっているように感じました。
 結論としては、ビジネスマン、サラリーマンであっても自分の思いや上司の思い、組織の思いを下に、関係者に伝えること。世の中を変えようとしたこと、これが自分がやってきたことと自慢できること。それが、人生だ‥と言われているように感じました。
 共感。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年11月15日

言論統制は江戸時代の創作でなくても、つねに身近に存在する問題。その時代をいかに“したたかに”生き抜くか、そういう巷の物語。人間の「知」と「楽」を求める欲求は押さえられない。それに、それを人々へ届けたいという思いと使命も消せないもの。

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Posted by ブクログ 2015年06月09日

江戸、吉原から派生した物語。
主人公の心遣いの描写がリアルで、あたかも息づかいを感じるかの様な内容。
やはり個人的に江戸舞台モノは面白い!

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Posted by ブクログ 2015年05月20日

蔦重の本、しかもストーリーものなんてあまり見かけない。日本のコンテンツビジネスの原点ともいうべき、面白い人物なのに。ということで、貴重な蔦重小説。

飄々と粋で大胆、アイデアあふれる編集者兼プロデューサーとしてのイメージは裏切られない描写で楽しく読めた。ただ今回は、蔦重よりも春町自死で憤り、編集者と...続きを読むしての矜持に震える豊仙堂丸屋小兵衛に共感してぐっときた。

吉原での立ち上がりプロセスや日本橋での展開など、事業での活躍とかがもうちょっと読みたかったが、全体に心理描写や情感に主眼があるから仕方なし。ただ、エピローグはやりすぎというか、私にはちょっと甘みが強すぎた。

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Posted by ブクログ 2014年10月25日

日本橋の本屋を閉店しようとしていた小兵衛の前に現れたのは吉原の本屋を成功させていた蔦屋重三郎。
寛政の時代、出版統制により弾圧を受けながらも夢を追いかけた2人の物語。

爽やかな読後感。表紙にいるのは引札を配っている重三郎でしょうか?
時代小説の若い書き手として次作も楽しみにしています。

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