【感想・ネタバレ】海の底のピアノのレビュー

あらすじ

ピアノの英才教育を受けてきた和憲と、幼いころに誘拐された水雪。音楽を通じて運命的な出会いをしたふたりは互いに惹かれて行くが・・・。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ラジオで「村上龍っぽい」とおすすめされていたので買ってみた。…たしかに。冒頭からおぞましく濃厚でソリッド。あらゆるものは音を発するというアイデアがおもしろい。いったいどこに向かうのだろうとドキドキしながら。でも一気には読めず、いっても40pほど。ちょっとずつ味わうように。…次回作も楽しみ。

1
2014年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この小説はヒーローものです。そしてヒーローは水雪です。

ヒーローの条件とは何か。それは、不屈と孤独です。

水雪は不幸ですが、決してそれに屈せず、むしろ一人で立派に生きてやると決意します。白馬の王子様なんて待ちません。多数の男とセックスして監禁時の性的虐待を無意味なものにしようとしたり、嫌いなピアノに自ら関わりを持とうとしたり、様々に試みます。自分が変化することへの恐れを一切感じません。しかしそんな彼女を理解する者は一人もいなかったし、彼女の本質的な部分は何も変わりませんでした。和憲に出会うまでは。


和憲はヒロインです。

彼は母親に呪われています。彼の行動原理は母・鈴子に支配されており、鈴子が望んでいるという理由だけでピアノを弾きます。呪縛の効果は絶大で、彼自身にやりたいことなど思いつかず、自らの意思で選択したものといえば、ピアノの挫折による自殺未遂ぐらいなもの。一度死ぬことで(殺すことで)多少の積極性を彼は手に入れますが、それでもピアノの音は変わりません。水雪に会うまでは。

この二人は出会い、それは様々な化学反応を生みました(異常聴覚の喪失と味覚の獲得、恋愛感情など)。

物語終盤、水雪はついに誰にも言ったことのない秘密を和憲に打ち明けます。自分はこんなにも進もうとしているのに、なぜあなたは逃げてばかりなのか、と。

最終的に二人は“自分の音”を手に入れます。水雪はゴムマスクの男たちを殺し、和憲のピアノを通して。和憲は、、、


和憲は?


そう、ここだった。僕はこの小説で分からないところが2つあります。その1つがここです。

和憲は水雪に会っても母性の呪縛から逃れられなかった(義指を吐き出す)し、キドニーパイを食べてもらってないし、自力でノラを捕まえられなかったし、彼女を殺す力も失った(異常聴覚と味覚のやつ)。なのに、どうやって自分の音を手に入れたのだろうか? それとも、彼は彼女に救われたおかげで自分の音を得て、そのせいで彼女を救えなくなった、という話なのか? 自分の音とは、普遍性のようなものなのか。和憲は凡人になった話なのか(だから水雪に音を与えられた、とも言えるが)。


もう1つは、鈴子が水雪を誘拐していたという点。つまり黒幕は鈴子で、この物語全編は彼女の歪んだ母性が支配していたと言えます。

最初このシーンを読んだときの違和感は半端無かったです。誘拐した事実自体はいい。僕は物語の展開を100%受け入れるタイプだからです。分からないのは、それが暗示するものです。

なぜ鈴子が水雪を誘拐した張本人でなければならなかったのか?(おそらく)ただ読者をびっくりさせる仕掛けではない気がします。何かしらの必然があったのだろうという直感があります。だけどそれが分からない。母性のディストピアで起こった悲劇? とかそういう話? 違うよなぁ、、、


この中途半端な状況で感想をまとめると、ヒーローがヒロインを救うけど、ヒロインにはヒーローほどの器がなかったんだな、というところに落ち着いてしまいます。

読解力が欲しいです、、、泣

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2014年03月27日

ネタバレ 購入済み

お前に涙は似合わないと言って

私は井上作品が大好きだが時々嫌いになる。
鈴子=555の花形が自分のエゴで人々の人生を歪めつつ自己満足で人生を謳歌するのが腹が立つ。
しかもそういうキャラに限って誰も敵わないような作中最強クラスなのが厄介だ。
その腐った思想でも草加雅人のように一貫してればまだ好感が持てるが
こいつらはコロコロ考えを変えてその都度周りを巻き込んでいくのが最高にサイコ。


水雪はリマジ結城凱だ。
凱は爽やかさすらあったが水雪に同情しまくってしまうのは可愛い女の子だからだろうか。


登場人物のバックボーンが丁寧にドロドロと書かれていて好感が持てた。
歪んだ人間達と、歪ませた衝撃。
私は小説版龍騎が特に好きだが、好きな龍騎の小説だからだけでなく
胸焼けする細かい人物描写だから好きなのか。
名護さんは最高です

須藤という名前で某蟹を連想して草が生えた。
あとは所々で仮面ライダージオウのルーツを垣間見る事ができるかも…しれない


水雪達の日常が面白くて先が読めなくてワクワクほんわかした。
555の日常パート並に心を潤す。
氏によると元は3倍以上の長さがあったが短くしてよくなったらしいが
元の長さのものをダラダラ読み耽ってみたい。
井上敏樹著だから結末を読むのが怖い、
いっそ読まずに世界に浸っていたいと思える作品だった。


同じ井上氏著の小説版龍騎や異形の花々もハードな展開で好きだが
所詮はライダーという殻を被っていてまだマイルドだったのだと思い知らされた。
小説版龍騎のファムがエ○チとか平然と言ってるのを見て「キャーなに言わせてんのよ井上のバカー!」と赤面した私が恥ずかしい。
この本こそ、むき出しの井上敏樹の渾身のファイナルベントなのかもしれない。







俺も水雪と求めあいまくりたくなった。

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2020年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても解釈が難しい本だとおもうけど、いくつかの感想を読んで考察
これは、こどもの 生まれる前のこどもの 胎児の時の
夢ではないだろうか
腹のなかで丸まって眠っている胎児の夢
もしかしたら水雪と和憲は、双子だったのかもしれない
どちらか一方が時に、吸い取ってしまう双子
形になれえなかったのは、水雪のほうなのか 和憲か
音に溶けて溶けて海の中にいる ずっと、お互いの中にいる

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2018年07月17日

Posted by ブクログ

 感想が書きにくい。水雪と和憲二人とも特異な生い立ちをしているのに、作中の人物が特異な人ばかりなので、二人に強烈な(精神的)個性を見いだせなかった。
 否定的な感想なのに、でも、と思うのは、なんでろう。逆に二人の内情が赤裸々に書き出されると、タイトルが崩壊するなと思った。
 もっと読解力を付けて、ゆっくり読めたらよかったなと思った。

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2015年09月09日

Posted by ブクログ

 海と対峙してはいけない、海を見つめるときっと人間は狂ってしまう、海と付き合う唯一の方法は海に潜ることに違いない、潜ってしまえば海は人間を見つけることが出来なくなる。
(P.181)

「芸術というものはね、祝福であると同時に呪いでもあるのよ。芸術家はそのふたつの世界を行ったり来たりしなければならない。そしてより強い呪いを受けた者にはより輝かしい祝福が与えられる。今のあなたなら私の言葉が分かるでしょう? あなたは今深い呪いの中にいる。誕生の前に闇を通らなければならないのと同じようにね」
(P.199)

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2014年08月11日

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